第五章「御仮屋書店にて」⑭
出勤途上、広瀬橋で欄干にくくりつけられたノボリを見て、
気がつきました。
今度の日曜は、鮎解禁日だ!
自分はねぐらで晩酌をしながら、早朝の花火の音を聞くのでしょうね。
さ、今日は効率よく「寝て・起きて」が出来マシタ・・・。
で
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第五章「御仮屋書店にて」⑭
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「そう。私のお友達、聡君」
睦は、“お友達”の部分をことさら強調して言った。坂道も、満足げだ。
「なんだ、なんだ~。聡、うちの姉ちゃん、確かにチビなくせに胸がでかく
て、顔も・・・まあまあとしよう。だから、男心を刺激する外見、だとする。
けれど、弟として一緒に暮す身として見れば、性格なんて、ホント、どうし
ようもないからな・・・。聡、“お友達”なんて呼ばれて、鼻の下伸ばすの
はやめとけ。大体、男と女の間に“友情”なんて成り立たないって、この間
話したばかりじゃないか・・・・」
「あらあら・・・。じゃあ、私と聡君とで、その“友情”が成り立つって、
証明しよう。ね、聡君?」
睦はじっと坂道を見ながら、訊いた。
「はいっ!」
坂道は、力をこめて答えてくれた。
「ああ~~、聡。お前の目、ハートマークになってるぞ・・・。学校じゃあ
“硬派”で通っているオマエがな・・・・。姉ちゃんと会う段取りをした俺の
痛恨の失策か・・・・」
弟・瞬は、ブツブツ言っている。睦は、そんな弟にはお構いなしに、
「そうだ!。聡君、今日は家で夕飯、食べていかない?うちの両親、今夜は
出かけていていないのよ。瞬とも話すことは、たくさんあるでしょ?男同士
の友情も、ちゃ~んと尊重してあげる」
「ほ、ホントですかっ?・・・・で、もしかして、夕飯作るのは・・・?」
「そう、私」
「押忍!頂きます!」
確かに、坂道聡の頭上にはハートマークが飛び交っている。
(つづく)
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