プロローグ「拳銃を持った男」
なかなか風邪も治りませんが、日差しは徐々に春へと・・・?
さて、2011年早々“試練”の連続ですが。
大証FXにて、豪ドルを『買い』。
今のところ、
さあ、どこで“利確(利益確定)”できますやら・・・。
まあ、まだ懲りずに米ドルは『売り』ポジションを持っているのですが。
で、書こうと思った小説の出だしだけでも。
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プロローグ「拳銃を持った男」
「そこのお姉さん、ちょっと書き方が解らないんだけどさ~、教えてくれ
ない?」
そう呼びかけられた、鶴亀信用金庫紫尾(しび)支店預金係(つまりは窓口
係)に二日前に配属されたばかりの、御仮屋睦(おかりや・むつみ)は仕方な
しに「はい」と返事をして、記帳台のあるロビーに出た。
「あっ、ここなんだけどさ・・・・」
指差された預金預入票の一番上の欄は、なんのことはない、預金者の氏名と
住所を書くだけだ。
「はい。ここは、お客さまのお名前と住所、それに連絡先の電話番号を・・・」
と、仕方なしに説明している最中にだ、
目はサングラス、ご丁寧に口はマスクで隠した男が、店内へ入ってきた。
そして、やおらジャンパーの懐から、“拳銃らしきもの”を取り出して、
「みんなッ、動くんじゃねえ~っ!!」
と大声で叫んだ。
(な~んだ、プラスチックのおもちゃのピストルね)
と睦は思ったのだが、男はズカズカと歩み寄って来て、空いている左の手で、
睦の肩をつかもうとした。
極自然に睦は、その左手をかわしながら、相手の体のそばを通り抜けて、相手
の背後へと出た。
男は睦を見失ったようだ。一瞬、時が止まった。
「だから、動くんじゃねえ~~ッ!!」
気を取り直したのか、男は反時計回りに身体を回転させながら叫んだのだが、
睦も男とは逆に時計回りに動いて、再び男の背後に移動した。
また一瞬、時が止まった。
三度目。あきらかに男はいらだちを覚えたようだ。
「ちっ!」
と舌打ちしながら、睦の方へ身体の向きを変えた。
睦も、今度は正面から向かい合ってやる。
男は、手に“拳銃”を持っていることも忘れたように、ぐっと腰を落として
構えてきた。
(なるほど、特技は柔道ってわけね)
二人は、鶴亀信用金庫紫尾支店のロビーで、対峙した。
「睦ちゃんッ!!。ダメ、だめ~っ。あなたは“ひ・と・じ・ち”。人質役
なの~」
と、声を掛けてくれたのは、先輩預金係の田所茜(たどころ・あかね)だ。
そうだった。
携帯ライトを明々と点したテレビカメラが、睦に焦点を合わせている。おまけに、
他金融機関からの視察者も、ロビーに多数。
「ごめんなさ~い。私、人質役になりますっ!」
と叫んだものの、それは、かえって逆効果?
4月中旬の午後3時過ぎ。今日は、防犯訓練の日だった。
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