第1章「新納流試心館」③
実のところ、頭の中での構想が壮大になり過ぎて、
構想倒れ確実なのですが・・・・・・。
またまた私が産み出した“愛しのヒロイン”御仮屋睦チャンに、
少しでも活きてもらわねば・・・・。
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第1章「新納流試心館」③
有事の際には、ひとつの城塞として活用することを目的として造成
された武家屋敷街であるが、玉石垣で囲まれたひとつひとつの武家屋敷
もまた、ひとつの砦だ。「かくれんぼ」とは、そんな造りを利用した、
文字通りの「かくれんぼ」だ。隠れているのは、この屋敷の主。鬼役
に誘われているのは、もちろん御仮屋睦(おかりや・むつみ)だ。
どう読まれたのか?。今の睦の脳内を読み取った家主が、睦を誘って
いる。
「御仮屋睦、参る」
睦は、奥に向って呼ばわった。返事代わりに、確かに屋内の空気が
揺れたように思う。
(とはいってもね・・・)
今日は、通勤用にと新調したスーツ姿。下は、タイトなスカートだ。
もっとも、それも家主からすれば「油断」なのだろう。
仕方がない。とりあえず上着は脱いで、ブラウスの袖をまくり上げる。
パンプスから足を抜きながら、そっと板の間に上がる。脱いだパンプス
を、かがみながら揃える。なるべく静かに動いたつもりなのだが、足裏
の板が、かすかにたわんだ。この屋敷のどこかに潜む家主には、その一枚
の板のたわみが、伝わっているはずだ。
玄関を上がってすぐが、昔の作業場を改造した十二畳ばかりの板の間、
つまり道場だ。屋内は、すでに薄暗い。しばらく、薄暗さに目を慣らす。
意を決して動く。
(つづく)
わっ、ここで時間切れです・・。
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