第七章「女三人+犬一匹」⑳
なんとか、大慌てで御幣を切って、下げることができました。
ま、しがないコンビニ店員としては、黙々と店番をする外はなく。
しかし、そこは、ちょとの意地。
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第七章「女三人+犬一匹」⑳
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「さ~~て、タダモトくんにも試食してもらうよう作った“タマネギ抜き
グラタン”の出来はいかに~」
台所で、茜がレンジから取り出したグラタンに箸を突き刺して、出来上がり
具合を見ている。
「でもさ。犬にタマネギを食べさせてはいけない、というのは知っていたん
だけれど、改めて調べてみると、乳製品もあまりよくない、ってね・・・・。
それじゃあ、結局ホワイトソースを使ったグラタンも、あまりよくない、って
ことになるのよね・・・・」
小雪が、タダモトの頭を撫でながら、つぶやいた。
「ふふふ・・・。これも傑作でさ~。睦ちゃん、小雪さんが私にどんな“ご
命令”を出したと思う?」
「えっ?、そんな~~。タダモトのために、そこまで気を使ってくださらなく
ても・・・・」
「あはっ、『田所さん、ホワイトソースを使わないグラタンしてください!』
ですって。そうなっちゃたらさ、もう一からレシピを考えなくちゃならないじゃ
ない。さすがの、私も、降参でございました・・・・・」
「もう・・・・、茜さん、恥ずかしいです・・・。でも、睦ちゃんは、ちゃん
とタダモトくんの食事、作ってあげているんだって?」
小雪が、睦に訊いてくる。
「はい。何日か分をまとめて作って、冷凍して、一食分を解凍して、タダモト
にあげるようにしています。でも、栄養的には、結局は、ドックフードをあげた
ほうが、いいようなんですよね・・・・・」
「そっか・・・・。でも、タダモトくんは、睦ちゃんの手作りのほうがいい
よね?~~」
小雪は、タダモトに訊いてみる。タダモトも、かすかに肯いたように見えた。
「さ~~て、私と小雪さんの力作“タマネギ抜きグラタン”、
さあ、召し上がれ~!」
茜が、台所から宣言した。
(つづく)
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