『ローカル線で行こう!』(第2回)
午前3時55分。
今日は、これからお天気下り坂であるとか・・・。
で、密度のある一日を過ごすべし、
と毎朝思うべきですが。
出版業界に詳しい方に言わせれば、
「月刊文芸誌なんて、作家先生に“お仕事”をあげるために、
あるもんですよ・・・(笑い)」
となるのでしょうが、
はい。
・真保裕一著『ローカル線で行こう!』第2回
を目当てに、購入しました「小説現代6月号」。
この表紙も、グットです。
スミマセン。第2回の冒頭と最後を引用させて頂きます。
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午前六時。取り散らかった狭い部屋に、目覚ましのベルが鳴り響く。
布団を払いのけて、篠宮阿佐美は大きく伸びをした。よし、今日も一日が始まる。
いつも決まった時間に起きるのは、何と楽なんだろう。肌の調子も少しよくなって
きた気がする。
何しろ十年も不規則な生活を送ってきたのだ。新幹線の車内販売は、朝六時の始発
から、夜は二十四時着の最終まで、延べ十八時間にもわたって行われている。ローテ
ーションで一番列車に当たろうものなら、駅近くの宿泊所に前泊し、早朝四時に起きて
いたのだ。若ければまだ何とかなるが、体にはきつい仕事だった。
ーーーーーーーーーーーー(中略)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日、車内販売の売上をまとめてみると、十八万円を超えていた。一人千円強を
支出した計算になる。
驚くべき数字なのに、篠宮は唇を噛んで悔しがった。
「くそっ。二十はいかなかったか」
あくなき商魂。恐るべき負けず嫌い。常に高い目標を自分に課し、仕事に向かう。
「何だか勝負に勝って、試合には負けた感じね、悔しいけど」
よくわからないたとえ方をして、篠宮は腕を組んで笑った。
わかっているのは、彼女にとって車内販売は、客との真剣勝負らしいことだった。
(つづく)
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いや・・・・・。正直、自分なんぞは新幹線を利用しても、車中で飲み食いするものは、
絶対事前に買ってから乗る派なのですが・・・・・。
で、決して私は“真面目”コンビニ店員ではなく。
“常連のお客さんとは、うな重等予約商品をお奨めしやすい方のことである”
という雰囲気には抵抗があった者なので、「くそっ」というヒロイン・篠宮の足許
にも及ばないのですが。
~だけど、しょせん、売り子さん(アテンダント)じゃん~
という目を、どう跳ね返していくのか?
今後のストーリー、ますます楽しみにさせて頂きます。
文芸誌って、他に読みたい作品が無いと、とってもコスト・パーフォーマンスが
悪いというのが、難点ではありますが。
(途中から読む羽目になる連載小説って・・・)
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