自作小説『続 新米館主・御仮屋睦』(10/28)
スーパーヒロイン・むっちゃんに、水着姿でどう大暴れしてもらおう・・・・
まだまだ思案中なのですが。
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駆けっこ(2)
「高校生にも、憂鬱なことってあるでしょ。そんな憂鬱なことを忘れるために!。夏には、最高の楽しい思い出を作るのが必要なのよ。で、それってやっぱり、みんなで海へ行く!で、決まりでしょ。ねっ、祝子ちゃん」
聡は、すっかり行く気になっている。弟・瞬なんぞは、有無を言わせず連れて行く。最大の難問は、某新興宗教の信者・祝子だ。
「えっ、あの~、海ですか・・・」
(やっぱりね・・・)
その宗教の教えに、なんでも『女人、ふしだらな身だしなみをすべからず』というのがあるそうで、水着姿になるなぞ、言語同断らしい。日常生活でも、華美な服装は禁止。今日の祝子は、白地のブラウスに、臙脂色のブリーツスカートという、学校の制服の方が派手じゃない?と思わせる装いだ。
「祝子ちゃん、どう?最近お母さんと上手くいっている?最近、ちょくちょく紫尾支店にいらっしゃっては、私に『いつも祝子が、お世話になってるわね。オッホホ』とおっしゃっていかれるんだけど・・」
女手ひとつで祝子を育てる母親は、もちろん熱烈な信者だ。祝子と“お友だち”付き合いする睦なんぞは、忌むべき“悪魔”となる。
「母は、よくぼやいています。『これが、男にたぶらかされた・・・だったら、どんなに楽だったかしら』って」
「でも、お母さんは、私と付き合っちゃいけない、とは言わないの?」
「はい、そうなんです。・・・・母も、学生の頃は、友だちがいなくて、とても寂しかったそうです。あっ、母は、紫尾市の隣、水山(みなやま)の育ちなんですけど、高校生の頃は、授業をサボって、市立病院の中をうろうろして、時間潰しをしていたそうです・・・」
「・・そうなんだ。・・・ということは、今のところ、私のことは、黙認なのかしら?」
「はい・・・。母は私に、同じような青春を過ごして欲しくない、とも思っているようで。・・・でも、その一方で、睦さん、ごめんなさい。その母は、睦さんに『お知らせ』があるよう、毎晩お祈りしています」
「よ~しっ。それならば、祝子ちゃんは、お母さんに自慢できるくらいの、夏の思い出を作ろうよ。祝子ちゃんは、スタイル抜群だから、水着がばっちり似合うはずだからさ・・・。
タダモト。祝子ちゃんと一緒に海行きたいよね?」
タダモトが「賛成」の意思表示に、ワン!とひと声鳴く。ところが、弟・瞬が
「米櫃さん、姉ちゃんが調子いいこと言ってるけど、無理しなくていいから。こう見えても、姉ちゃんが高校生の時なんて、水着なんてトンデモナイッ!だったんですよ」
なぞと暴露しやがる。
「え~~っ、睦さんに、そんな頃があったんですか~」
祝子が驚く。
「そう。水着どころか、学校で体育の授業がある日は、ブルーになっていたんだから」
瞬の暴露は続く。
「えっ、睦さんなら、身体動かすことって、なんでも得意そうだけれど」
「そう、思うよね。ところが、姉ちゃんはさ・・・」
瞬は、自分の胸の前に手のひらを持ってきて、上下に動かしてみせる。
「揺れちゃう胸が恥ずかしい~~ってさ」
「もう、瞬!。ホント、恥ずかしいじゃない・・・」
今度こそは、しっかり愚弟の二の腕に、拳を叩き込んでやる。
「痛っ!」
そんな姉弟のやりとりを見る、二人は
「瞬、やっぱり睦さんがお姉さんなんて、うらやまし過ぎるぞ~」
「お二人の家って、とってもにぎやかそうで、うらやましいです・・」
とのこと。
「もう~っ・・・。でも、たしかに、地元に帰って来て、就職できてよかった~と思うことかな・・・」
(私が都会で就職していたら、家族五人顔を揃えるのは時々になっていたのよね・・・)
「あ・・・あの~、私、しゃべっていいですか?」
祝子が、ふいに訊いてきた。ちょっと話題を変えるつもりらしい。
「うん、もちろん」
「あ、あの・・・です。私、最近、胸がまた大きくなり始めたみたいなんです」
「えっ!」
睦は、ついつい祝子の胸元に視線がいってしまう。祝子は腕を脇にどけて、胸をはってみせてくれる。
聡と瞬、そしてタダモトのオス三匹も、つい視線を一点に集中させた後、あわててバラバラの方向に、視線をはずす。
「私、ガス代節約のために、いつも母と一緒にお風呂に入っているんです。ところがですよ、ある日、母がいきなり、私の胸を握ってきたんです・・・)
「ちょ、ちょっと、それ、男の子には刺激強すぎるシーンなんじゃない・・・」
ゴクリッと、オス三匹が生唾を飲み込む音が聞こえたように思う。
「あっ、ごめんなさい。私、あんまり男の子と、って、しゃべったことがないんで・・・」
「ううん、いいよ。これも、明るい男女交際って、ことね」
「・・・それで、母は言ったんです。『祝子、最近、急におっぱい大きくなってない?』って」
(うわ~~・・・)、睦もついつい頭の中で、母娘の女同士のシーンを思い浮かべてしまう。
「で・・・、それで、実際のところ、どうなの?」
「あっ・・・、本当に、胸の奥がちょっと痛いんです」
祝子は、そっと手を胸の前に持ってきた。
「・・・・あっ・・・・う・・・、それ、姉ちゃんのせいだ」
なんとか興奮を抑えたように、声を振り絞ったのは、わが弟。
「それ、姉ちゃんのフェロモンだ。姉ちゃんが発散する強力なフェロモンが、米櫃さんに影響を及ぼしているんだ・・・」
「・・・ということは、米櫃さんも、いつしか・・・」
「私も、睦さんみたいな立派なバストに?」
「も、もうっ~!!。そうじゃないわよ~~。適度に運動して、しっかり食べて、よく寝る。身体にいい生活をしていれば、自然とそうなるのよ~っ」
「あっ、それも・・・。『あなた、最近よく食べるじゃない?』って、言われています」
「そうでしょ。・・・・だから、せっかく、女の子として生まれたからには、女の子として人生を楽しまなきゃ、って、ようやく最近思えるになったの。人生一度っきりの祝子ちゃん十七歳の夏なんだから。もったいないこと、しちゃダメよ」
「あっ・・・・、はい・・・・」
(そうそう。説得成功?かしら)
「ねえ、聡くんに瞬。祝子ちゃんの水着姿、見たいよね?」
「えっ・・・・」「う・・・・」
そりゃあ、同級生の女の子を前にして、意思表示しづらいだろうが。
「なに?。はっきりと男らし~く!、見たいよね?」
「・・・はい」「は・・・はい」
「声が小さ~いっ!Do you want to see her swimsuit?(水着姿、見たいよね?)」
「Yes!,sir.(その通りです)」
今度は、二人の声が元気に揃う。
「ね!、祝子ちゃん、二人の男の子のご期待に応えてよね」
「は、はい。わかりました」
祝子も、はっきりと答えてくれた。
「そうこなくっちゃ。今度、二人で(鹿児島)市内まで、水着を選びに行こう」
(祝子ちゃんに、ぴったりの一着を選んであげなきゃね)
(つづく)
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