第1章「新納流試心館」②
昨日、今日と連休を頂いております。
しかし、シカシ・・・・・。
寒い・・・!
こういう時、古ぼけた空き店舗ってのは、ひたすらに・・・。
気を取り直して。
わがFX挑戦。
【店頭FX】
米ドル/円 83円12銭
83円34銭 「売り」ポジション。
【大証FX】
豪ドル/円 81円87銭 「買い」ポジション。
計3万通貨保有中。
「売り」は、じっと保有していると、それだけスワップ金利を“取られる”
わけで・・・・。今週中に、また“利益確定”のチャンスが来てくれますよ
うに・・・・・。
さて。
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第1章「新納流試心館」②
21世紀の今となっても、金融機関の店舗は「午後3時閉店」が大部分だ。
「銀行って、いいですね~。3時に仕事が終わって・・・」
なぞというイヤミともとれる、冗談を聞かされることもあるが、3時を過ぎて
からが『勘定の締め上げ』という、一日の集計作業だ。1円の帳尻が合わないた
めに深夜まで残業・・・という話は、新米預金係の御仮屋睦も、すでに何度も聞
かされている。
今日は、午後3時過ぎから防犯訓練があったため、その『勘定の締め上げ』作業
は忙しさを増したが、新米である睦は、午後6時前には帰宅を許された。
(といっても、
「しっかり検定試験の勉強をするのが、睦ちゃんの仕事だからね」
と釘を刺されているわけだが)
マイカー全盛の地方都市であるが、今のところ睦は徒歩通勤をするつもりだ。
道すがら、ふいと睦は考えてしまう。
「もし本当に、相手が拳銃を持っていたら・・・」
「犯人が複数だったら・・・・」
まったく女の子らしからぬ考えが、頭をよぎる。
ふいと、家に帰る前に、寄り道をすることにした。
行き先は「新納流試心館(にいろりゅう・ししんかん)」。
戦国時代、薩摩大隅地方を支配した島津氏が領国支配の要として設けたのが
「外城制度(とじょうせいど)」といわれる。領国内各地に、普段は武士団が
居住し、有事の際には城砦に一変する武家屋敷街を整備した。
睦が住む紫尾市にも、「麓(ふもと)」と呼ばれる武家屋敷街が、今も現存
する。地元の人間に言わせれば「(観光地として名高い)知覧の武家屋敷街より
も、立派だ。だけれでも、観光資源として活かしきれていない」そうだ。
そんな武家屋敷街であるが、観光地にもなりきれず、新建材で建てられた一戸
建て住宅、アパートが混在する、現在は閑静な住宅街だ。
「新納流試心館」は、その中の一角、昔ながらの武家造りを今に伝える一軒に、
古びた看板を掲げている。
睦は門をくぐって、玄関の前に立つ。普段なら睦の姿を見れば、大喜びでじゃ
れついてくる、この家の飼い犬・タダモトは、どうしたのだろう・・・、今日は
神妙な面持ちで、玄関の方に目配せをしてみせている。
なに?と、玄関の中を見てみれば、一本のろうそくが点されている。
『かくれんぼ』の合図だ。 (つづく)
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