第二章「新館主の朝」①
2月15日。2ヶ月に一度の年金支給日。
・・・・というわけで(って、なんのこっちゃ?でしょうが)
久しぶりに真昼間の出水の街を、アッチャコッチャ、トコトコと。
ふ~~、以前は当たり前のように歩いていた距離も、
ツカレマシタ・・・。
まあでも、「青空の下」は、やっぱりいいですね。
さて、懲りずに。
で、つまらない念押しですが。
当自作小説はあくまでフィクション(創作)であって、登場する人物・
企業等は架空の存在です。
(と、わざわざ書かなきゃならんのは、やっぱり“モデル”が存在するから
・・・・の裏返しでもあるのですが)
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第二章「新館主の朝」①
御仮屋睦(おかりや・むつみ)は、商店街の一角「御仮屋書店」の
長女だ。本屋の朝は午前六時前、雑誌を配送するトラックが倉庫の前に
急停止して、ドサッドサッと束になった雑誌・単行本が荷下ろしされる
音で始まる。以前ならば、人気週刊マンガ雑誌の発売日ともなれば、それ
を楽しみにしている子ども達が、登校前に買いに来ていた。御仮屋家も、
荷が着いたと同時にその束をばらして、あわただしく店頭に並べる・・・、
が一日の始まりだった。
そんな本屋に生まれ育った睦だから、他人は「朝は苦手」なぞと言うが、
早起きは得意だ。午前五時、今朝は余裕を持って目覚まし時計をセットして
いた。パチッと目が覚めた。
(とはいってもねえ~。これが冬場じゃないから、いいのよね・・・)
さっと布団から出て、洗面台へ向う。
歯磨きをしながら、鏡の中の自分と向き合う。
(大丈夫。私は、ノーメイクでも人前に出れるわ・・・)
それでも、口紅は薄く塗った。
ジャージ姿に着替えて、スニーカーに足を通して、「新納流試心館(に
いろりゅうししんかん)」へ向う。
睦が門をくぐる前から、家主・新納義彰(にいろ・よしあき)の飼犬・
タダモトが、こちらに向って吠えている。滅多に吠えることなぞないタダモ
トだから、これは睦に対する歓迎の意なのだろう。門をくぐって、
「おはよう、タダモト。ほ~ら、ちゃんと私来たんだから、静かにして。
まわりは、まだ寝ている人だっているんだから。」
とにかく、タダモトを静かにさせる。
義彰はと見れば、表の間の縁側で新聞を手にしている。睦が来るのを待って
いたのだろう。
「おはよう、むっちゃん。来たのう。タダモトも、大歓迎のようじゃの。」
「おはよう、じいさん。まずは、庭掃除からでいいのよね。
あっ、その前に、タダモトの朝ごはんか。」
(つづく)
女の子の朝支度・・・って、いうのが、実はよくオジサン、
想像できません・・・・・。
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