第四章「新米館主、初仕事」⑥
午後6時40分ごろ。
で、照れずに。
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第四章「新米館主、初仕事」⑥
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(さてと・・)
睦は、手にしていたバックを置き、その中から道着を取り出した。
道着といっても、新納流には正式な“道着”なぞない。睦が十代の頃の
“稽古”といえば、もっぱらジャージ、夏場はTシャツに短パン姿で、あった。
「いやいや、やっぱり形(かたち)も大事じゃないの」と、高校一年の時、お
年玉をはたいて購入したものだ。上下真っ白な剣道着でも、と思ったのだが、
刺子地の剣道着では重過ぎる。胴着は、帆布地の空手着にした。
もっとも、これまで数回しか着たことはない。
高校での勉学が大変になってきたから、という理由ももちろんあるが、急激
に“女”の身体へと変貌していくわが身への戸惑いが、睦の「新納流(にいろ
りゅう)」への熱意を失わせたのかもしれない。
(つづく)
わ~~い、まだ照れています・・・・。
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