第三章「新規顧客=新弟子?」①
3種類・・・。ついつい揃えてしまいたくなり・・・。
3/12,九州新幹線全線開通。
ふいと夜のコンビニへ、着物姿の女性客がいらっしゃって、オジサン
店員ドキドキ・・・という場面があるのですが、この日は出水市でもいろ
いろとイベントが開かれるとか。“総踊り大会”のようなものをある??
さてさて。新章です。
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第三章「新規顧客=新弟子?」①
都市部の金融機関店舗の場合、正午から午後1時までの「お昼休み」の
時間帯こそ、来店客で混雑すると聞くが、ここ鹿児島県北部の町・紫尾市
は、そういう意味ではやっぱり“農村部”なのだろう。「五・十日(ごと
おび)」等金融機関が忙しくなるとされる日以外は、「お昼休み」の時間
帯、ことに前半三十分はぱったりと客足が途切れる。鶴亀信用金庫紫尾支
店の窓口を担当する三人の女性も、お昼休みの間に交代で昼食時間をとる
ことになるのだが、特に前半三十分は裏の休憩室で、二人が少しはのんび
りできる。
「なによ~。御仮屋さん、私、なにか変?」
と、先輩預金係・水溜小雪(みずたまり・こゆき)からにらまれ、新米
預金係・御仮屋睦は、大慌てで首を振って、愛想笑いを浮かべた。
親しみやすい、もう一人の先輩預金係・田所茜(たどころ・あかね)に
対して、こちらの先輩は、どうにもこうにもとっつきにくい。小柄な睦に
対して小雪はすらっとした長身、そして名前の通り、南国鹿児島らしから
ぬ白い肌の持ち主。そして美人ではあるが、ともすれば「気が強そう」と
いう印象を与える、きりっとした顔立ち。年齢は、怖くてまだ訊いたこと
がないのだが、二十代後半、いや三十目前?、そして独身。
なによりも睦が苦手意識を抱かせるのは、小雪が“(鹿児島)
市内組”であることだ。
地方金融機関の女子職員の新規採用といえば、それはよかれあしかれ
“コネ”“縁故”がものを言う。睦自身も、それを否定しない。しかし、
「市内」といえば県庁所在地「鹿児島市内」のことを指すほどに、鹿児島
県は、一極集中が激しい。いきおい新規採用者の割合も、「市内」出身者
が圧倒的に多い。そんな「市内」出身者は、市内の店舗での勤務を希望し、
紫尾市のような地方部店舗への転勤は“左遷”に等しい屈辱と受け取られ
るらしい。
二十代後半で紫尾支店勤務を命じられた小雪は、その悔しさを日頃から
隠そうともしないように見えるし、また、睦のような「地元採用組」なぞ、
はなから相手にしない、という意思を、ついつい睦は感じてしまう。
(つづく)
ふ~~。
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