第五章「御仮屋書店にて」⑤
五月晴れ。
でも、夜は深々と冷え込み。
さ、また一週間頑張らねば!。
ということで。
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第五章「御仮屋書店にて」⑤
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「ふ~~ん、感心。」
睦は、男の子の緊張を和らげてあげるために、くだけた口調に変えた。
「きみ、紫尾高でしょ。朝補習から、放課後補習まで。おまけに、宿題もど
っさり出るんじゃない。それだけこなすのも大変なんじゃない?」
「あっ・・・はい。でも、おねえさん・・・ッテ、瞬のおねえさんは、高校
の時に、準一級を取ったとか・・・・」
(そりゃあ、私のことだ)
「そうか。きみ、瞬のお友達ね?」
「はい、・・なかよしです。」
睦の弟、瞬(しゅん)はただ今、県立紫尾高校の二年生だ。ただし、部活動
には所属していない、いわゆる“帰宅部”。その代わりに、確かに学業の成績
は優秀であるようで、今も自室に篭って、勉強?いや、パソコンに向ってプロ
グラミング中?。もうしばらくしたら、自室から引っ張り出して、近所のスー
パーへ買物に行かせて、睦がタダモトの散歩に行っている間は、店番をさせる
つもりだ。そんな瞬に、この男の子のような、いかにも「運動部に所属してい
ます!」という雰囲気の子が友達とは、ちょっと意外だ。
「へ~~、意外。瞬に、きみみたいな友達がいるなんて。」
睦は、ストレートに疑問を口にした。
「あっ、そんなことないっですっ。」
男の子も、睦の疑問の意味がすぐ解ったのだろう。
「瞬は、クラスの中でも信頼されているし・・・、気が利くし・・。今日
だって・・・あっ」
なにやら言ってはいけないことを、口走りそうになったのだろう。あわてて、
手で口を覆った。だが、睦は解った。
(はは~ん。さては、今私が店番をしていること、瞬がこの男の子に教えた
な~)
(つづく)
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