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2011年5月26日 (木)

第五章「御仮屋書店にて」⑩

 なんのかの。やっぱり“堅い本”を読む気になれないのは、気力が衰えて
いるからなんでしょうね・・・・。ふ~~。
 せめてもの抵抗で読了した小説。
 有川浩(ありかわ・ひろ。女性です)著『レインツリーの国』。
           新潮文庫・定価400円(税別)

1105261s
 内容は、難聴者と健聴者の恋。とはいえ、普通に男女が付き合っていく上
でも、すれちがい・いらだちって多々あるのだろうし、“難聴者と健聴者の
恋”といっても、それは特別なものではない、と思わせてくれる(少なくと
も自分はそう思いました)作品でした。
 とはいえ、やっぱり地方在住者のヒガミなのでしょうか・・・。それでも、
もし作品中の(難聴者)ヒロインが地方在住であったら、もっと人知れずひっ
そりと暮す生活を余儀なくされてしまうんじゃないだろうか・・・・、
 そんなことも思わざる得ませんでした。

 さ、プロの作家の方には遠く及びませんが、わがヒロイン・むっちゃんに
大活躍していただきましょう・・・。

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       第五章「御仮屋書店にて」⑩
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 「もっと、私のスーパーテクニックも見せてあげようか・・・」
 睦は、思わせぶりに坂道に言った。
 「は、はい」

 店内は、意外に奥行きがある。約十五メートルぐらいだろうか。間口は約
五メートル。壁沿いに設けられた書棚以外に、二列棚が設けられ、フロアを
三列に仕切っている。店内を壁沿いに一周してくると、四十メートルくらい
だろうか。
 睦は、改めて
 「しっかり帰ってくるのよ」
 と、スーパーボールに話しかけた。そして、
 「よっ」
 横の壁めがけて、ボールを放った。壁に当たったボールは向きを変えて、
店の奥目指して、フロアを跳ねていく。
 「私だって、本屋の娘よ。商品である本には、一切当たっていないのも、
ポイント。よく見ててね」
 坂道に、解説を加えた。奥の壁に到達したボールは、そこでまた向きを変え、
今は奥の通路を跳ね進んでいる。
 「まさか、今度もここに戻ってくるとか・・・・」
 「さあ、どうでしょう・・・」
 睦は、にっこり微笑んでみせる。
 そして、確かにボールはまた向きを変え、こちらに戻るべき進路を取り始めた。
 「ああ・・・、さすがにここまではちょっと無理だったわ・・・」
 少し身体を動かして、ボールが進む通路の位置に立った。
 「さあ、しっかり帰ってらっしゃい~」
 ボールに手招きをする。
 勢いを失って、膝丈くらいの高さまでしか跳ね上がらなくなったボールを、
 「よし、よし、いい子~」
 とすくい上げて、キャッチ。

 「どう?」
 睦は、再び坂道に微笑んでみせた。
                          (つづく)

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