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2011年6月30日 (木)

第七章「女三人+犬一匹」⑤

 夕方、同僚の青年俳優に
 「虹が出てますよ」
 と言われたものの。そういう時に限って、お客さんが多く。
 で、ようやく大慌てでデジカメを撮り出して、外へと・・・。
 左半分はやや薄いものの、空に立派なアーチを描いた虹でした。

1106301s

 なにか幸運を運んできてくださらないものか・・・・。

 ふ~~~。
 「立ちっ放し」(決して、下ネタではありません)の弊害。
                        膝の痛み。
   なんとかならないものか・・・・。

 さ、“体の故障”とは無縁であって欲しい、
              わが愛しのヒロイン・むちゃん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑤
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 タダモトは、賢い。かなりの割合で人語を理解している、と睦は思う。そし
て、“上手な駄々のこね方”というのも、よく心得ている。頭ごなしに「ダメ」
と言ってしまえば、とても悲しそうな表情をするのだろう。どうしたものだろ
う・・・・・。
 「ダメだよ~。どうせ、おまえなんて、すぐ退屈して動き回り出すに決まって
るじゃない」
 「どうかの・・。こいつは、わしとテレビで映画を観ることもあるが、終い
までじっと座っておるぞ。まあ、じっとしていると思うと、実はスースー眠っ
ているということもあるがの」
 そうなのだ。一人暮らしの“じいさん”の話し相手として、タダモトは晩酌
の相手もしているらしい。
 「まあ、じいさんとだったら、静かにしているかもしれないけど・・・。
小雪先輩に、茜さんまでいるんだからね。きっと、タダモトなんか、興奮しち
ゃって大暴れよ」
 タダモトが、いかにも「そんなことないよ!」という風に、首を振ってみせる。
 「ははは・・・、確かに、そりゃあ、わしが育ててきたヤツじゃからの~。
じゃが、きちんと紳士として育ててきたつもりでもあるよってな・・・」
 ここで、タダモトは、ピシっと“おすわり”の姿勢を決めてみせる。
 “じいさん”こと義彰が改まった表情で、睦の方を向いた。
 「非常識なのは、解っておる。ワシの名代として、タダモトを連れていって
くれんかの。なに、玄関にでも入れてくれれば、それでいい。タダモトは、
じっとそこで聞き耳を立ててくれるだろう。そうだ、幸運にも、今日の昼間に
風呂にも入れてやったわい」
 「う~~~ん。じゃあ、一応、二人に電話して相談してみるから・・・」
 睦は、携帯電話を取り出して、まずは小雪に連絡を取った。小雪はまだ、
スーパーで買物中であるらしい。やや大きな声で、タダモトを連れて行って
よいか、相談した。
 「そうか、タダモトくんがね・・。ちゃんと私のこと覚えてくれているだ。
うん、いいよ、いいよ。タダモトくんも、招待する。玉ねぎ抜きの料理を
考えないといけないんだな・・・」
 どうも小雪は、かなり張り切って料理を作ってくれるつもりらしい。
 続いて、茜だ。こちらは、子ども二人の相手をしている最中だったらしい。
「ちょっと静かにしててね・・・」という声を、携帯電話は拾った。「はい」
という返事が返ってきた後に、事情を話すと、
 「そう。これで、私もウワサのタダモトくんに会えるんだ。大歓迎よ」
 「よかったです。茜さんが、犬嫌いだったらどうしよう、と思ってました」
 「なんの、なんの。タダモトくんが、初対面の私にどんなリアクションを
してくれるのか、楽しみだわ・・」

 睦は、携帯電話を仕舞った。そして、
 「よかったね。その前に、タダモト。しっかり運動よ。さ、出発!」
  タダモトの首輪に、引き綱を繋いだ。
                     (つづく)
 

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コメント

「虹」久しぶりに見ました。願いが叶うとイイなぁ!そう私も思いました。幼い頃、虹の橋の真ん中には宝物が有ると聞かされて、真ん中はどこだと探した覚えが有りました(笑)
流れ星に願いは出来無いですけど、虹には願いを届けました。叶うとイイです(笑)

お疲れ様ですnote私も虹みましたdelicious端っこだけのでしたが。鈴木さんの書く女性3人+1匹の会話楽しみにしときます。

 コメント、ありがとうございます。

 虹を見上げた方、たくさんいらっしゃったようですね。
 虹って、結構たくさん見ているつもりですが、あそこまで立派に半円を描いたのは、
う~~~ん、あったかな・・・・・。
 皆さまの願いが、叶いますように。

 年齢はバラバラなれど、気の合う女性三人組の会話。どう盛り上げようか、思案中です。

 

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