第七章「女三人+犬一匹」⑥
さ、今日から7月。
「あ~~、忙しくなるし・・・、体力の消耗が・・・」
と悲観的に考えるのではなく、
やっぱり
「夏が来た!!」
と、叫ぶべきなのでしょう・・・。
近頃は、“甘いもの”に対する関心が薄れて、暑い時はもっぱらビール!に、
焼酎ロック!派なのですが、疲れた身体には、やっぱり糖分!という時がある
かもしれませんね。
さて、ふと気がついてしまったこと。
タダモトには、しっかり静かに“聞き役”に回ってもらわないと、女三人組
の会話が薄れてしまうな・・・・・。で、軌道修正中・・・。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
第七章「女三人+犬一匹」⑥
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)
約束の時間午後八時には、少々遅刻することになってしまった。教えてもら
った、小雪が借りるアパートまでは、急ぎ足で約十分。タダモトを従え
て急ぐ。
アパートの敷地内駐車場にたどり着いた時、二階の一室のドアが開かれ、
小雪がなにやら男性と応対しているのが見えた。
(なにかしら?)
階段を上がって、部屋に近づいた。小雪と話をしていた初老の男性が、睦の
姿に気づいて振り向いた。そして、ギョッとした表情をした。睦に、という
より大型犬であるタダモトに、驚いたのだろう。
「あの~~。私、その部屋の水溜さんの友人なんですが・・・・」
睦は、小雪とその男性との関係がよく解らないものの、一応挨拶をした。
男性は、ちょっとうろたえたのだろう。小雪の方に向き直ると、
「あっ、お邪魔してしまっているようで・・、私はこれで。なにかあった
ら、いつでも相談しにいらっしゃい」
と言って、あたふたとその場を離れた。それでもすれ違う時に、睦とタダモ
トをまじまじと眺めていくことを忘れなかった。
「ありがとう、御仮屋さん。近所の“おせっかいオジサン”ってヤツ」
怪訝そうな睦を察した、小雪が説明してくれる。
「私の父って、“市内”で・・・、あらあら・・ここも立派な“紫尾市内”
よね・・。鹿児島市内の団地で、自治会の役員をやっているのよ。だから、娘の
私も、アパートを借りた時、こっちの自治会にも入ったのよ。そりゃあ週中(しゅ
うなか)しか居ないんだけど、でも、やっぱり『ゴミだし』とかするじゃない。
ところが、女の一人暮らしなのに、自治会に入るなんて~~って、珍しがられち
ゃってさ。親切心と好奇心がごちゃ混ぜの“おせっかいオジサン”のご訪問を、
しょっちゅう受けることになっちゃった、てとこ・・・・」
一区切りをつけて、小雪は表情を改めた。
「さ。そんな話より、ようこそ、いらっしゃいました~。御仮屋さんにタダ
モトくん。お待ちしておりました」
明るい玄関に、招き入れてくれた。
ふと横を見ると、キッチンにはエプロン姿の茜が立っていた。
「よっ。遅いぞ~、睦ちゃん」
(つづく)
コメント