第八章「新米館主、お見合いする?」⑤
う~~ん、ナンデデショウ?
近頃店番をしていると、“外人さん”がいらっしゃることが多いような・・・。
先月「See you next month!」とおっしゃっていた方が、確かに8月になって
から、また来てくださったし。
昨日は、「カナダから来た」というお客さまが。
頂いたボタン?
下の紙は、「カナダノ、ドコカラ、キマシタカ?」と訊いたら、説明のために
書いてくださったもの。
・・・・・・こんな自分が、英語が得意の愛しのヒロイン・むちゃんを描こう
としているワケデ・・・・・・。
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第八章「新米館主、お見合いする?」⑤
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睦自身、短大を卒業して、さっとそのまま地元・紫尾で就職できたわが身は、
とても幸運な部類であること、自覚しているつもりだ。睦と同じ年頃の者には、
不安定なバイトで、なんとか生活している者も多い。タツばあさんの息子さん
とやらの境遇も、よくわかる。
これが、やっぱり睦の性格なのだろうか、ついつい、
「あの~~、私が出来ることでしたら・・・・」
と言ってしまった。
「そう・・・・、あなたって、とってもやさしいのね。ありがとう。うん、
“お見合い”なんて、上から目線の言い方よね。う~~ん、慎三郎を、あなたの
ボーイフレンドにしていただけない?」
(ボーイフレンド!)
睦は内心では、昨夜の茜・小雪とのやりとりを思い出して、思わず笑みをこぼ
しそうになったが、ぐっと抑えた。
「ボーイフレンドですか・・・」
「そう、『まずは、お友達から』って、ヤツかしら・・・・。
近頃の慎三郎は、ますますパソコンのゲームの世界にばっかり浸りこんでいって、
現実の世界とは関わりたくない、ってのかしらね・・・・・・。
それを、なんとかして、引き戻したいのよ・・・・・・」
タツばあさんは、ポツリポツリと語った。
“引きこもり(ニート)を社会復帰させる”、そんなテレビの特集番組を、以前
睦はチラッとながら見た記憶がある。それには、生半可でない努力と専門性が必要
であるらしい。
「・・・・、それは、カウンセラーなのでしょうか、専門家の方に相談された
ほうが、よくはないでしょうか」
「そうよね。それが、正論よね。でも、本人に『カウンセリングなんて、ヤダ!』
って、言われちゃうと、おしまいなの・・・・・」
「私が、できることか・・・・・・」
睦は、小さくつぶやいた。
(つづく)
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