第八章「新米館主、お見合いする?」⑳
月曜日は、午前5時前の帰宅となり・・・。
ふいと空を見上げれば、キラキラを通り越して、
ギラギラと輝く、シリウスひとつ。
スミマセン。橋の丸い欄干の上にカメラを置いて、手で押さえつけながら、
15秒露光だったので、ブレております。
もう少し上方には、オリオン座が。
さ、また一週間が始まりました。
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第八章「新米館主、お見合いする?」⑳
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
を是非に。m(__)m)
「わしが審判を務めて、しんぜよう」
じいさんが名乗り出てくれた。
「お互い、ケガはしたくないじゃろ。まず、お互い上段に振りかぶってみい。
そして、わしの合図とともに、相手の頭をめがけて振り下ろす、そして頭の上で
ピタッと止めてみる。よいか」
「じいさん、ちょっと待って。さすがに、これは、脱がさせてもらいます」
睦は、ハイヒールを脱いで、脇に置いた。
(本当は、ストッキングも脱ぎたいんだけど・・・)
ぐっと、睦がまた小柄になった。
「失礼します」
と、さっと近づいてきて、そのハイヒールを手にして、またさっと離れた
のは、坂道だ。その“年下のボーイフレンド”ぶりが、睦には面映い。
「あっ・・・・。これも、撮影してよろしいでしょうか・・・」
遠慮がちに訊いてきたのは、桐嶋だ。もちろん、この遠慮の相手は、睦で
はなく、対戦相手の慎三郎に対してだろう。
「あっ、自分にはお構いなく・・・」
断っては“漢が廃る(すたる)”のだろう、慎三郎も同意した。
「よし。それでは、お互い構え」
睦は棒で、慎三郎は竹刀で上段の構えをとった。そして、睦は竹刀が振り下ろ
される位置まで、慎三郎に近づいた。
「おおおっ・・・。結構、見栄えのする組み合わせじゃの。
さあ、よいか、それでは、一・二の三じゃ。
一・二・三っ!!」
「やっ」「おっ」
棒と竹刀が、お互いの頭めがけて、ヒュンと振り下ろされる。
睦は、ピシッと慎三郎の頭上数ミリで止めてみせたが、慎三郎の方は、竹刀
の軽さに戸惑いがあるのだろう、実はコツンと睦の頭にぶつかってしまった。
(しまった~)
という表情に対して、
(大丈夫。上出来)
睦は、にこっと笑い返す。
「慎三郎くん、気にしない。上出来じゃ」
じいさんも、同じ判断だ。
(つづく)
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