第十章「新米館主、後輩を得る」⑨
米ノ津川河川改修工事。ようやく旧い堤防の取り壊しが始まった
ようです。
ああ・・、酒を飲む量を減らさないと・・・
と思ったこと。
さきほど、交番のお巡りさんが、巡回に訪れたのですが、
「んん・・、飲んでますか?」
と。
オイ!、飲んだのは、もう5時間以上前だぜ~~!!
・・・って、たぶん、いつも飲酒検問をしているお巡りさん
には、わかるのでしょうね・・・・・。
さて、少しでも前進。
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第十章「新米館主、後輩を得る」⑨
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
を是非に。m(__)m
「祝子ちゃん、お化粧、上手じゃない?」
祝子の顔を間近に見て思った疑問を、口にしてみた。睦としては、宗教と
お化粧は、あまりイメージが一致しない。
「そうでしょうか・・・。同級生からは『男を誘っている』と、思われる
こともあるようですね・・・。『神に仕える身は、美しく装うべし』と、母か
ら厳しく教えられています。もちろん、『勧誘』にも役立つ、という母の考え
のようですが・・・。まだ、『お教え』に興味を持って話しかけてきた男子は
いませんよね・・・。
でも、睦さんも、とってもおきれいですよね。昨日みたいに、男の人を押さえ
つけちゃう人には、とても思えませんよ」
「そうか・・・、“Beauty is Force”なんだ・・・・」
「えっ!?」
「“Beauty is Force”。美は力なり、って意味。
そうだ、祝子ちゃん。私ね、新納流っていう、古武道って言えばわかって
くれるかな・・・、武道をちょっとやっているの」
「あっ、それで、強いんですね。・・・『美は力なり』というのは、その
武道の教えなんですか?」
「ううん。・・・そう、これは、私独自の考えかな・・・。私みたいな、
チビな女が、単に“Power”、ちから、だけで男の人に勝てるわけないじゃない。
美しさって、堂々とした女の武器なんじゃないかな・・・・って」
「わあ・・・・。睦さんって、自由なんですね~」
祝子が、感心したように、すこし声が大きくなった。
「自由?・・・」
そう感心されてしまうと、睦は戸惑ってしまう。
「あっ・・・・。私なんか、『お教え』がすべてで、日常生活のあれこれ
も、『お教え』に従った解釈が教団本部から指示されているんです・・・。
だから、自分で考える・・・って、ないんです。
・・・・・・そうか、美しさって、堂々とした女の武器か・・・・・・・」
妙なところを感心されてしまい、睦は少々恥ずかしい。
「あっ、電気を点けるね」
睦は、祝子のそばを離れて、電灯のスイッチを押すために、立ち上がった。
(つづく)
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