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2011年10月 7日 (金)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑩

 出勤途上の橋の上にて。
 ふわりと浮かぶ、雲と月。

1110071s
 同じく出勤途上、横断歩道にて、信号待ちの最中。
 軽トラから、さっと手を上げて、挨拶を送ってくれた白髪の男性。

 ・・・・・あ~、
 自分、5ヶ月しか続かなかった植木農家の若旦那ドノ。
 川端通りのスナックへ「飲みに行く」ということを、教えてくださった
方です。
 あれから、もう10年以上・・・・・。
 そりゃあ、お互い歳をとりますわな・・・。

 で、自作小説の続き。
 とある宗教の信者の人が、いきなり他の人に悩みを打ち明けられるもの
だろうか・・・。
 そして、その結末は・・・・・・。
 かなり、思案中です。
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     第十章「新米館主、後輩を得る」⑩
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 北側の部屋は、暗くなるのが早い。気がつけば、かなり暗くなっていた。
 電灯のスイッチを押して、室内はいきなり明るくなり、睦も祝子も一瞬目が
眩んだ。
 「きゃっ、まぶしいっ!」
 祝子は、少しリラックスしてくれたのだろうか、ふざけたような大げさな
動作で、大きく目を閉じた。
 (そうだ!)
 「How far that little candle throws his beams!」
 睦は、立ち上がっているのを活かして、あたかも役者のように、抑揚を込め
て言った。
 「今度は、どんな意味でしょう?」
 祝子が、興味深そうに訊いてくれた。
 「あんなかすかなろうそくの光が、こんなに遠くまで届くとは!
   ・・・・・シェイクスピア『ヴェニスの商人』の一節ね」
 「・・・・あ、それって、ろうそくの光を“ひと”に例えていませんか?」
 「さすが。祝子ちゃんって、やっぱり頭いいんだ・・・・」
 「いえ。『お教え』の中にも、似たような一節が、そうえいばあったな~
って、思ったもので」
 「そうなんだ・・・。うん、私と祝子ちゃんのろうそくの光、今日、お互い
目に見えたんだよ。暗闇の中、お互いの光に、これから近づいていこう」
 (わ~~、何、こんなこと言ってるのかしら・・・)
 またまた恥ずかしくなった睦は、今度は祝子の横に座りなおした。
 「祝子ちゃん、友達になろう!」
 ちょっと乱暴に、いきなり祝子を抱きしめた。祝子の華奢な身体が、ビクッ
と震える。
 「でも・・・、あの・・・・」
 「平気よ。私、新納流試心館の館主なの。“呪い”くらい、怖くないわ。
そうだ!、今度“合コン”するのね。ところが、どうも男性陣の方が、人数
多そうなのよ。祝子ちゃんも、ぜひ参加して。ねっ?」
 「えっ!“合コン”ですか・・・・」
 そりゃあ、祝子にすれば、“合コン”=ふしだらなこと、なのだろう。
 「あは。実は『皆さん、よろしくお願いします』ってお願いする、パーティー
みたいなもの。みんなで何をしようか、あれこれ考えているところなんだ」
 「でも・・・・。私、普通の男の人とって、あまりしゃべったことありま
せん・・・」
 「大丈夫。結構、シャイな男ばっかりなんだから」
 睦は、祝子を抱き締める力を、さらに強くしてあげた。
                          (つづく)

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