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2011年10月 1日 (土)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑥

 山上でゆらめく、鬼火!?

1110012s
 ・・・いえ、電灯のようです。
 でも、なにか徹夜での工事をしていたんでしょうか。

 さて、自作小説。
 あっ、くどくお断りさせて頂きますが、
 あくまでフィクションです。
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     第十章「新米館主、後輩を得る」⑥
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「わ~~っ、部屋に招待してもらえるんですか。嬉しいです」
 祝子が、大袈裟に喜んでくれる。
 「その前に・・。ちょっと待ってね」
 もちろん、じいさんとタダモトへ連絡だ。さりげなく、睦の「ただいま~っ」
という声を待っている時間だ。数回の呼び出し音で、すぐじいさんが出た。も
ちろん、タダモトの飼い主であるじいさんにも、昨日の件は報告していたので、
話はすぐ通じた。
 「ごめん。タダモトのご飯はちょっと遅くなるし、散歩は暗くなってからね」
 携帯を切って、祝子に振り向いた。
 「さ、どうぞ、上がってね」
 「いいんですか。・・・・睦さん、お忙しいみたい」
 「なんの。わざわざ私を訪ねてきてくれた、大事なお客さんですから。
                              さ、行こ」
 祝子を促して、店の奥の住居部分へ通じる階段を上がる。
 再び「ただいま~っ」と居間へ入ってみれば、運よく弟の瞬(しゅん)が
いた。
 「おっ、瞬。いいところにいた。私、お客さんがいるの。そうだな・・・、
ココアふたつ、持ってきて」
 「なんだよ~。いきなり・・・」
 と顔を上げた瞬は、祝子の姿を認めると、明らかに狼狽した。
 「ああ・・・。なんで・・・・・・」
 「はじめまして。お邪魔します」
 祝子の方は、きちんとお辞儀をする。
 「じゃあ、瞬。頼むね」
 瞬の狼狽ぶりを無視して、睦は自室へと祝子を案内する。

 睦の部屋は、北向き。そして、四畳半のスペースだから、けっして広くない。
ベットに、学習机、そして“女の子の部屋”には少々不釣合いの本棚まである
から、床の部分はほとんどない。
 「あっ。あのタダモトくんでしたっけ。ここにもいるんですね」
 祝子が言ったのは、ベットの上にある大きな犬のぬいぐるみのことだ。
 「あははっ。お恥ずかしいけれど、小学生の頃から、いつも一緒に寝ている
相手。祝子ちゃん、ちょっと待ってね」
 睦は、かばんを机の上に置き、通勤着の上着を脱いだ。
 「ちょっと、ごめん」
 とぬいぐるみを動かして、ベットの上に二人が座れるスペースを作った。
 「さ、どうぞ、座って」
 と祝子を促したのだが、
 「ええっ、えっ・・・・、どうやって・・・」
 と迷っている祝子は、なんとベットの上に正座した。
 「あの~。正座は、ないんじゃない。もっと楽な姿勢になろうよ」
 「ごめんなさい。私、正座以外の座る姿勢って、よくわからないんです」
 「えっ!?」
 昔の武家の娘でもなかろうに・・・・。
 「もう・・・・。それならば、と。祝子ちゃん、ちょっとごめんね」
 睦は、祝子の身体を抱えあげるようにして、膝を崩させた。祝子の身体は、
睦より身長はあるものの、軽くて、とても華奢な感じがする。
                            (つづく)

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