寺沢新子サンの、“水中戦”シーン
Amazonで注文した、新潮文庫版『青い山脈』。
イヤ、それこそ神田の古本街で探せば、一冊50円なのでしょうが。
さっと開いてみたら、「字が小せえ~・・・」。
(左は、今読んでいるMW文庫『ドラフィル2』)
奥付を見ると「平成18年10月20日 97刷」ですから、そんな“昔”ではないですよね。
さて、問題の、ヒロイン・寺沢新子さんの、水中戦シーン。
石坂洋次郎氏に敬意を表しつつ、引用させて頂きます。m(__)m
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「ようし。手を貸すぞう!」
ボートの中から、もう一人の若者が水に飛びこんだ。と、間髪をいれず新子も飛びこんで
いた。まるで強い綱でひっぱられたもののようだった。
ここでは、腕力も暴力も水にとかされてしまい、水といっしょでなければ何事もなし得な
いのであった。その環境が、水に慣れた新子に、男の暴力に対する恐怖を感じさせなかった
のである。
二番目の若者は、自分の方に向ってまっすぐに泳いで来る新子を見て、意外な顔をした。
新子が連れの六助の命ごいにやって来たのだと思った。だが、新子が一言も発せず、きびし
くひきしまった顔をして、グイグイ迫って来るのを見て、こいつは闘う気なんだなと感じた。
そして、この途方もない女の子を少しいじめてやれと思った。
だから、新子が目の前でスプンと水にもぐると自分ももぐり、二人は片腕を組み合せてま
るで仲の好い友達のように、底の方に沈んでいったのである。
岩の層まで達すると、新子は岩と岩の狭いすき間に身体を入れ、両足をひろげて身体が浮
くのを防ぎ、改めて若者の片腕を両手で必死に抱えこんだ。
そうされて、若者はあわてた。彼は女の子の感情というものを知らなかった。どうするつ
もりなのか分らない!その恐怖が電気のようにじりじりと背筋を焼いた。
若者は本気で暴れ出した。しかし、重い水圧が、彼の暴力をのりのようにふやけさせてし
まい、打ってもけっても、水に落ちた絵具のようにその効果がぼやけてしまった。--新子
は、頭をうつむけて、必死で相手の腕を抱えこんでいた……。
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う~~~ん、書き写して思うのですが、「きれいな文章だ・・・・・」。
やっぱり映画も観たくなります・・・・。
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