第1章「新納流試心館」⑥
雪が降り始める、という予報の11日夕方。
12日昼、少し雪が舞いました。
書く気があるうちに・・・。
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第1章「新納流試心館」⑥
寒さを感じることもなくなった春のたそがれ時だ。空には、まだ茜色
の色調が残っているものの、武家屋敷街は闇に包まれようとしている。
御仮屋睦(おかりや・むつみ)と新納義彰(にいろ・よしあき)は、
縁側に二人並んで座っている。灯りはろうそくが一本。睦は縁側から
脚を放り出して、ぶらぶらさせる。いつの間にやら、その足下には、
この家の飼犬・タダモトが座り込んでいる。
「むっちゃん(睦)も、とうとうOLさんかい。早いものじゃ。
どうじゃ、新人OLの気分は?」
「うん。今は、毎日覚えることと勉強することがいっぱいで、頭の
中真っ白、って状態かな・・・・。でも今日ね、支店で防犯訓練が
あって、私が“人質役”なるシナリオだったらしいの。でもね、いざ
犯人につかまる時、身体がつい自然に動いてしまったの・・・・。
不思議なものよね、身体が“覚えている”っていう感覚。」
「ふ~~ん、それで、今日はこちらにいらっしゃったわけか。」
「そう。でも、じいさん。じいさんも、なぜ、私が来るって解って
いたのよ?」
「はははっ。わしなら、むっちゃんの考えることなぞ、すべて見通
すことができるぞ。」
(つづく)
なかなか「会話」というのも、ムズカシイ・・・・・。
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