第二章「新館主の朝」④
22日は、南九州ファミリーマートによる「店長集会」なるものに
参加させていただきました。
で、その前に川内市内の御寿司屋さんでの昼食。
ごちそうさまでした~~。
いよいよ鹿児島県内にもセブンイレブンが進出してくるという
ことで、迎え撃つ側のファミリーマートは?
地域住民には見えない裏側で、いろいろ攻防があるようで・・・。
さて。
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第二章「新館主の朝」④
大型犬のタダモトは元気いっぱい、小柄な睦をぐいぐいひっぱりながら
リードしていく。
(あれ?行き先も、もう決まってる?)
どうやらタダモトのお目当ては、城山のようだ。
「城山」というのは、武家屋敷街横の小山だ。戦国時代には城郭があった
といわれ、武家屋敷街が整備された後も、“最後に立て籠もる場所”とされ
たのだろう。詳しい人なら、今でも土塁、空掘の跡を見つけることができる。
タダモトは、その城山の登り道である土の道に入ったところで、ふいと
立ち止まり、睦を見上げてきた。睦は、そのタダモトの目を見て、彼の問い
を理解した。
「タダモト、引き綱を外せって、ことね。・・・・・・
やれやれ・・・。」
『新納流(にいろりゅう)』には鍛錬法のひとつとして「走る」がある。
しかし、その「走る」は、ただ黙々と整備された道を走ることではない。道な
き野山に分け入って走るのだ。地面に足を取られないよう、あるいは前方の障
害物をはらうか、よけるか、あるいは跳び越えるか、瞬時に判断しながら走る。
それが『新納流』だ。
「そうね。久しぶりに挑戦してみようかしら。でもね、私は一応もう大人
なの。いきなり人の家の庭に飛び出るコースはなしにしてよ。それと、ハチの
巣とハゼの木も勘弁してね。いい、約束してね。」
タダモトに念押しして、首輪から引き綱を外す。タダモトは「委細承知」と
言わんばかりに一声吠えると、道を外れて山の中へ駆け出した。睦も負けじと、
その後を追う。
「タダモトッ!待て~っ」
と追いかけながら、顔の前にふさがる枝、クモの巣をとっさにはらいながら、
山の中を進んでいく。タダモトは潜り抜けた倒木を、睦はよいしょっと乗り越え
ていく。
(う~~ん、私、やっぱり相当身体重くなったわ・・・)
ふいと斜面で足が滑って、倒れこまされる。ガサッ、ガサッ、ズッシ~ン。
タダモトが心配そうに振り向いてきた。
「大丈夫、大丈夫。二本足の人間は、倒れるのも当たり前なの。」
足は大丈夫、くじいていないようだ。
「よしっ、タダモト、行こう!」
再び一人と一匹は、山の中を走り始める。
(つづく)
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