第三章「新規顧客=新弟子?」⑥
スミマセン。毎日、ワンパターンな写真になってしまっていますね。
ふ~~。今日は“午後7時からの出勤でよろしい”となっているの
ですが、10日“給料日”ということで、忙しいのでしょうね・・・。
さてさて。
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第三章「新規顧客=新弟子?」⑥
「ええ、あの、少しだけ・・・・」
睦は、言葉を濁す。
「合気道でしょうか?」
大山は、さらに質問を重ねてきた。
「そうですね・・。強いて言えば、古武道って、言うのでしょうか。
それを、少々・・・・」
(『新納流(にいろりゅう)』と言っても、知らないだろうからね)
「ほう、古武道?ですか。・・・・・あっ、そういえば、パトロール中
に、御館町(おたてちょう)で、う~ん、なんて読むんだろうか、『にい
ろりゅうししんかん(新納流試心館)』?っていう看板を見かけたことが
あって、一度覗いてみたいと思っていたんですが、その流派でしょうか?」
大山は、『新納=にいろ』と読むそれなりの知識と、仕事熱心さを持ち
合わせているらしい。睦は、好感を持った。
「はい、その『新納流』です。」
「あっ、あの・・・、自分、その稽古を見学させてもらうわけには、いき
ませんでしょうか・・?」
(えっ!)
稽古もなにも、新米館主である御仮屋睦と『じいさん』こと新納義彰
(にいろよしあき)、そして犬のタダモトがいるだけだ。睦は、答えを
思いつかず、つい黙ってしまった。それを察した相手は、
「あっ、ひょっとして部外者には見せない、秘伝の流派だとか・・?」
と推測してくれるが。
「あっ、いえいえ。決して、そういう流派じゃないんですが・・・」
(私が館主の流派だなんてね・・・・、説明しようがないじゃない・・)
不意に、
「あらあら。その『新納流』とやら、私も見てみたいわ。御仮屋さん、
ダメ?」
という声が横から飛んできた。休憩を終えて、フロアに戻ってきた水溜
小雪(みずたまり・こゆき)だ。
「あっ、あの~、稽古もなにも・・・。館主が私で、あっ、いえっ、
昨日私が『館主になります』って、宣言したばかりで、あと『じいさん』
って、あ、あの~、屋敷の持ち主がいるばかりで・・・・・」
睦はつい、しどろもどろになりながら、『新納流試心館』の現状を説明
してしまった。
(しまった~!)
と思ったが、後の祭り。
大山、小雪、茜はもちろん、さりげなく話を耳に入れていたフロア内
の者全員の視線が、睦の方に向けられた。
(つづく)
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