第四章「新米館主、初仕事」⑭
深夜は、久しぶりに土砂降りの大雨。
一雨降って、温かくなる・・・と期待したのですが、やっぱり
少々肌寒い・・・・です。
さ~~て。です。
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第四章「新米館主、初仕事」⑭
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「大山さん、最初はちょっと“お遊び”をしましょう。私、小さい頃から
じいさんと遊んできたやつ。」
睦は、すっと大山の前に右手を差し出した。
「大山さん、私の手を捕まえてみてください。もちろん、私はそれに捕まら
ないよう、よけますからね。」
「なるほど。反射神経の訓練ですね。」
大山も、両手をちょっと引き気味に構えた。
サッ
大山の右手がわずかに動いた。
ところが、睦の手はピクリとも動かない。
「相手に(つかまえたっ!)と思わせるギリギリの瞬間に、かわすのが
通なんですよ。」
睦は、にっこりと解説を加える。
「う~~ん、フェイントにはだまされない、ということですね。」
大山は、ぐっと腰を落とした。
(あれれ・・、やっぱり柔道家なんだ~)
ヒュッ!
やや大振りに右手が睦の手を狙ってきた。ちょっと動かしてかわした瞬間を、
左手が素早く狙ってきた。
(おっと!)
難なくかわしてみせた。
その時、裏の方から義彰たちが戻ってきたようだ。
「・・・・そうじゃ。武家屋敷なぞと言うと、家の部分だけを一所懸命保存
しようとするようじゃが、このように“山”も畑も屋敷の一部分なのじゃ。」
この屋敷の主である義彰が、得意気に説明している。
「自給自足ですね。梅の実がたくさん成っているようですが、やっぱり梅干し
にでもされるんでしょうか?」
「そうじゃ、そうじゃ。そうだ、今度梅の実ちぎりをする時には、水溜さん、
また遊びに来んしゃい。」
睦の先輩・水溜小雪は、なかなか聞き上手のようだ。
そして、テレビカメラマン・桐嶋誠治はというと、二人のやり取りをしっかり
撮影すべくカメラのファインダーから目を離さないまま、歩いてくる。それはそ
れで感心に値する、プロ意識だ。
極めつけは、タダモトだ。先導役とばかりに、小雪の一歩前で静々と歩を運ん
でいる。
(まったく、私といる時とは、全然違う態度じゃない・・・)
「ほ~~、久しぶりに見るの~、そのむっちゃんの道着姿。
・・・・・・
いやいや、柔道家の大山くんに相手をしてもらうんだから、つかまえられない
よう、身体にピッタリのレオタードなんて、よかったんじゃなかろうかの。」
「うるさい、じいさん。いいの、これでもちょっとキツイ感じがするんだから。」
(つづく)
わ~~~、だからアクション・シーン・・・・・。
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