第四章「新米館主、初仕事」⑯
深夜の架線工事。
実は一日半の休日を頂いたのですが、休日なんて
あっという間に・・・・。
さ、出勤前の気分転換に。
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第四章「新米館主、初仕事」⑯
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大山と一間(約1.8m)ほどの距離で向かい合う。睦は軽く両脚を開いた状態
で立つ。特に力は入れない。対する大山は、左足を半歩前に踏み出した構えだ。
「いきます」
大山が一声掛けて、左足を進めてきた。左手で、睦の右肩を狙ってきた。
(これは、余裕)
足を動かさず、上体をそらしてかわす。
「今度は、右手で」
右足を踏み込んで、左肩を狙う。
(まだ、まだ)
上体をかがめて、大山の右手に空を切らせる。
「左右、交互で」
先の左手は、肩を少しずらして避け、後の右手は、上体を大きくひねって
よけた。
「古武道だと思うと、ボクシングのような動きですね。」
「いえいえ、これは大山さんがやさしいから、出来る動きです。」
「そうじゃ、そうじゃ。わしが仕込んだ、むっちゃんじゃ。大山くん、遠慮は
いらん。胸をぎゅーっと鷲掴みして構わん。」
「ちょっと、じいさん。さすがに、ここでそういう冗談はよして。」
「そうですよ~、新納さん。録音中なんですから~」
桐嶋は、相変わらずカメラのファインダーから目を離さない。
義彰のいつもの軽口に、大山は明らかに動揺したようだ。ちょっと咳払いを
してから、
「それじゃあ、今度は、御仮屋さんの足を動かしてみせます。」
と、再び構えをとった。
「どうぞ、緊張します。」
睦も、応じた。
(つづく)
身体の動きを文章で表現するのも、なかなか難しい・・・・。
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