第八章「新米館主、お見合いする?」⑪
深夜の大雨。
そうそう、書いておきたかったことがあります。
先日、出水では有名人、今では観光名所の『東雲あじさい園』を、独り
黙々と開墾したという逸話の持ち主・Mさんが、コンビニに来店してく
ださりました。
そして、
「仕事ばっかじゃ、いっげ~(一気に)、老けっど(老けるぞ)」
と。
なんとかしたい・・・・・・。
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第八章「新米館主、お見合いする?」⑪
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
を是非に。m(__)m)
そんな睦の杞憂を知ってか知らずか、じいさんが
「むっちゃん、今タダモトに新納流鍛錬法のひとつ、『屋敷回り』をやって
もらったところじゃ。
どうじゃ、むっちゃんも、なにかひとつ、披露してはいかがかな」
と、提案してきた。観光客の面々はもちろん、坂道、桐嶋もそれを期待して
いるのだろう。
(その時のことは、その時。
ここは、まず楽しんでもらおう)
「そうね。う~~ん、なにをお見せしましょうか・・・。今日は、こんな格
好ですし・・・。そうだ!。皆さん、少々お待ち願いますね」
と言って、睦はいったん道場に入った。壁には、各種の武具が掛けられている
が、その中から、長さ一間(約1.8メートル)の木の棒を選んだ。いわゆる『棒術』
で使うためのものだ。
皆の前に戻ってきた睦は、
「さて、皆さん、『棒術』って、聞いたことありますよね。鹿児島県内では、
『棒踊り』という伝統芸能として、伝わっているところも多いですよね。棒とい
う、比較的身近にさっと武器の代わりになるものを使った武芸として、昔は結構
広く伝わっていたようです」
とおおまかな解説を加え、
「そこで、この棒。身長は百五十センチほどの私が持つと、とっても長く見
えてしまいますが、だいたいこれが標準の長さとされています。ただし、この
棒は、斬り込んできた刀を受けても、すぐ折れてしまわないよう、やや太めです。
ほら、私ぐらいの手では、正直ちょっと扱いづらいんです」
と、睦の身体とその棒を比較するように、説明した。
「さ、『棒術』といえば、皆さん、どんな動きが思い浮かびますか?」
ここで睦は、聞き手に質問した。
「あっ、棒をぐるぐる回すやつ!」
坂道が、さっと反応した。
(つづく)
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