第八章「新米館主、お見合いする?」⑩
夕日のなごり。
今日は雨。晩夏へと。
さあ、週のはじめ、気合を入れるためにも。
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第八章「新米館主、お見合いする?」⑩
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
を是非に。m(__)m)
カップルでドライブ・デートの最中に立ち寄ってくれたのだろう、男の方が、
「かわいい~~」
という感想を口から洩らしてしまい、隣の彼女から肘打ちを喰らうのを、睦
は目撃してしまった。
「テレビで拝見しました。ホント、小さくて、おきれいで、自分の娘にしたい
感じだわ~」
という褒め言葉をくれたのは、仲のよさそうな熟年夫婦。
そして、と言うべきか、人垣は観光客ばかりでない。
「おっ、聡君、おはよう」
睦の“高校生のボーイフレンド”、坂道聡の姿があった。
「睦さん、おはようございます。新納さんが、呼んでくださりました」
「むっちゃんの友達ということは、わしの友達でもあるからな・・・・」
と、しれっとじいさんが付け加えた。
そして、こちらは、やっぱり、と言うべきだろう、
じっと睦の姿を、ビデオカメラで追い続けているのは、紫尾写真館の若
ダンナこと、桐嶋誠治だ。
「御仮屋さん、いいっすよ。今日のファッション、極まってます」
残念ながら、警察官の大山隆志は、今日は勤務中のようだ。
とはいえ、今日は本当は「お見合い」なのだ。表の間の縁側にでも座って、
相手とゆっくり話をしようという目論みは、無理なようだ。
(つづく)
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