第八章「新米館主、お見合いする?」22
台風余波。
風は強いけれど、雨はときおりパラリ・・程度。
昨夜は、出水市内の民家へ強盗が押し入る、という事件が発生。
“負の連鎖”って、あるんでしょうか・・・・・。
さ、前向きに。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
第八章「新米館主、お見合いする?」22
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
を是非に。m(__)m)
もちろん慎三郎は、剣道の試合のように、間合いをとってじっと対峙する
展開をイメージしていたのだろう、明らかにうろたえた表情をした。だが、
じいさんの言った「ここは『新納流試心館』じゃ」の意味を、すぐ理解した
ようだ。ぐっと腰を落とし気味にして、中段の構えのまま、目をつぶってし
まった。
(ほ~~、心眼の構えのつもり?通じるのかしら・・)
睦は、走りながらも、相手を見ることを怠らない。
(それなら、仕掛けさせてもらうよ)
睦は、慎三郎の背後に回ったところで、さっと間合いを詰める。
(剣道の試合じゃないからね)
「やっ!」
さっと棒を、慎三郎のふくらはぎを狙って、打ち下ろした。
ところが、慎三郎は睦の気配を察することができたのだろう、ぱっと前へ
飛んで、睦の攻撃をかわした。
(ほ~~、やるじゃない)
身体の向きを変えた慎三郎は、目を開けた。そして、八双の構えから、睦へ
の反撃を試みる。
(そうは、させない)
慎三郎の動きより早く、睦は、空いた胴へ、次の攻撃を放つ。慎三郎は、後に
跳び退って、これも避ける。
(これは、フェィント)
三撃目。慎三郎の顔スレスレめがけて、突きを放つ。慎三郎に竹刀を振り下ろ
す間を与えなかった。耳たぶに触れるくらいの位置で、棒をさっと停めた。
「たあ~~っ」
「よし!。むっちゃん、一本だな」
審判のじいさんが、宣した。
(つづく)
コメント