第四章「新米館主、初仕事」②
今日は「日記」の部分と「自作小説」の部分を分割して
みました。
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第四章「新米館主、初仕事」②
「あっ、自己紹介させてください。私、こういうものです。」
名刺を差し出してきた。
『紫尾写真館
常務取締役 桐嶋 誠治(きりしま・せいじ)』
「紫尾写真館」といえば、紫尾市では古参の写真店だ。“常務取締役”
という肩書きは、おそらくその「跡取り息子」という意味なのだろう。
「あっ、鶴亀信用金庫といつもお取引してくださり、ありがとうござ
います。」
睦は、新米館主から信金の新米預金係の顔に、あわてて戻って頭を下げた。
「いやいや、そんな~、今日は、そんな堅苦しい挨拶は抜きにして。
すみません、もう一枚、私の名刺もらってください。」
と、もう一枚差し出してきた。
『紫尾テレビ・ニュース社
代表 桐嶋 誠治
桜島テレビ 嘱託カメラマン』
「桜島テレビ」といえば、鹿児島のローカルテレビ局だ。「嘱託カメラ
マン」ということは、どうやら地元・紫尾地区で撮ったニュース映像等を、
局に送る仕事もしている、ということだろう。
「あっ、いや~~、こちらは半分趣味のような肩書きで~。紫尾地区に
密着した、超ローカルテレビ局を作りたいな~と思っていたりするもの
で・・・。」
桐嶋は、ちょと照れたように説明してくれた。
「桐嶋さんとは、言葉は悪いんですが、よく交通事故現場等で顔を合わせ
ているうちに、なんとなく仲がよくなって・・・ですね。防犯訓練の時の
映像も、ニュースではカットされた御仮屋さんの華麗な動きを、後で見させ
てもらったんです。」
大山が、横から付け足した。
「そうそう・・・。御仮屋さんのような美人が、古武道の流派の跡取りに
名乗り上げたって~~!そりゃあ、もう密着取材するきゃない!!って、今、
新納さんに、お話していたところなんです。」
桐嶋は、意気高々と語った。
(えっ、テレビ取材~!)
ついつい「じいさん」こと、当家の主人・新納義彰(にいろ・よしあき)の
方に目を走らせたが、「じいさん」は素知らぬ顔をして、そっぽを向いた。
(つづく)
本当のところ、警察官とその他一般市民が仲良くなる・・・・・
って、あまりイメージないのですよね・・・・・・。
(普通に一緒に酒を飲む、なんてあるんでしょうか・・・)
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