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2011年6月

2011年6月30日 (木)

第七章「女三人+犬一匹」⑤

 夕方、同僚の青年俳優に
 「虹が出てますよ」
 と言われたものの。そういう時に限って、お客さんが多く。
 で、ようやく大慌てでデジカメを撮り出して、外へと・・・。
 左半分はやや薄いものの、空に立派なアーチを描いた虹でした。

1106301s

 なにか幸運を運んできてくださらないものか・・・・。

 ふ~~~。
 「立ちっ放し」(決して、下ネタではありません)の弊害。
                        膝の痛み。
   なんとかならないものか・・・・。

 さ、“体の故障”とは無縁であって欲しい、
              わが愛しのヒロイン・むちゃん。
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         第七章「女三人+犬一匹」⑤
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 タダモトは、賢い。かなりの割合で人語を理解している、と睦は思う。そし
て、“上手な駄々のこね方”というのも、よく心得ている。頭ごなしに「ダメ」
と言ってしまえば、とても悲しそうな表情をするのだろう。どうしたものだろ
う・・・・・。
 「ダメだよ~。どうせ、おまえなんて、すぐ退屈して動き回り出すに決まって
るじゃない」
 「どうかの・・。こいつは、わしとテレビで映画を観ることもあるが、終い
までじっと座っておるぞ。まあ、じっとしていると思うと、実はスースー眠っ
ているということもあるがの」
 そうなのだ。一人暮らしの“じいさん”の話し相手として、タダモトは晩酌
の相手もしているらしい。
 「まあ、じいさんとだったら、静かにしているかもしれないけど・・・。
小雪先輩に、茜さんまでいるんだからね。きっと、タダモトなんか、興奮しち
ゃって大暴れよ」
 タダモトが、いかにも「そんなことないよ!」という風に、首を振ってみせる。
 「ははは・・・、確かに、そりゃあ、わしが育ててきたヤツじゃからの~。
じゃが、きちんと紳士として育ててきたつもりでもあるよってな・・・」
 ここで、タダモトは、ピシっと“おすわり”の姿勢を決めてみせる。
 “じいさん”こと義彰が改まった表情で、睦の方を向いた。
 「非常識なのは、解っておる。ワシの名代として、タダモトを連れていって
くれんかの。なに、玄関にでも入れてくれれば、それでいい。タダモトは、
じっとそこで聞き耳を立ててくれるだろう。そうだ、幸運にも、今日の昼間に
風呂にも入れてやったわい」
 「う~~~ん。じゃあ、一応、二人に電話して相談してみるから・・・」
 睦は、携帯電話を取り出して、まずは小雪に連絡を取った。小雪はまだ、
スーパーで買物中であるらしい。やや大きな声で、タダモトを連れて行って
よいか、相談した。
 「そうか、タダモトくんがね・・。ちゃんと私のこと覚えてくれているだ。
うん、いいよ、いいよ。タダモトくんも、招待する。玉ねぎ抜きの料理を
考えないといけないんだな・・・」
 どうも小雪は、かなり張り切って料理を作ってくれるつもりらしい。
 続いて、茜だ。こちらは、子ども二人の相手をしている最中だったらしい。
「ちょっと静かにしててね・・・」という声を、携帯電話は拾った。「はい」
という返事が返ってきた後に、事情を話すと、
 「そう。これで、私もウワサのタダモトくんに会えるんだ。大歓迎よ」
 「よかったです。茜さんが、犬嫌いだったらどうしよう、と思ってました」
 「なんの、なんの。タダモトくんが、初対面の私にどんなリアクションを
してくれるのか、楽しみだわ・・」

 睦は、携帯電話を仕舞った。そして、
 「よかったね。その前に、タダモト。しっかり運動よ。さ、出発!」
  タダモトの首輪に、引き綱を繋いだ。
                     (つづく)
 

2011年6月29日 (水)

第七章「女三人+犬一匹」④

 いわゆる「夏の入道雲」ってヤツでしょうか・・・

1106291s
 実家の両親から、もう少し「自作小説」を読みやすいよう工夫して
欲しい、というご意見を頂いたのですが、はてさて、どうしたらよい
ものか・・・・・。
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         第七章「女三人+犬一匹」④
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 試心館の門をくぐった睦は、再び
 「ただいま~っ」
と挨拶をする。これは、毎日の日課となっている。「行ってきます~っ」も、
御仮屋書店で一回、試心館で、“じいさん”こと新納義彰とタダモトに向けて
一回。
 そして、
 「じいさん、ごめん。今夜は、小雪さんの家に“お呼ばれ”されたの。だか
ら、これから超特急」
 母にしたように、“じいさん”にも手短に説明した。
 「ほ~う。女の子同士で飲むのかな?」
 「そう。茜さんも一緒に。三人で今夜は飲むんだ」
 「そりゃあ、うらやましい。わしもご一緒したいもんだ」
 「ダメですよ~っ、だ。今夜は、女の子限定です」
 「ああ、わかっとる、わかっとる。機会があれば、いつか合コンでもお申込
することとしよう・・・」
 「え~っ、じいさんが合コン~っ」
 「ダメか?」
 そんな二人による、いつもの軽口の応酬に反応したのは、犬のタダモトだ。
 やおら、前足で地面を叩き出し、首を上下に激しく動かし、何ごとかをアピ
ールし出した。

 「ええ・・・、タダモト。おまえが、行きたいって?」
  そうだ、そうだ、と言わんばかりに、うなずきを返してくる。
                             (つづく)

2011年6月28日 (火)

第七章「女三人+犬一匹」③

1106282s
 九州南部地方、梅雨明け。

 さて、わが愛しのヒロイン・むっちゃんも、
 決して武田梨奈サマには、負けません!
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         第七章「女三人+犬一匹」③
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 睦と小雪の頑張りにより、もちろんその大部分はベテランである小雪の奮闘
のおかげだが、なんとか午後六時半には「帰ってよし」となった。
 ガラス修理が完了するまでは、支店長と警備会社から派遣されてきたガード
マンが見張りの任だ。
 「お先に失礼します!」
 慌しく支店を出たところで、小雪が
 「御仮屋さん、今日は乗ってかない?少しでも時間の節約ね」
 と睦を誘ってくれた。
 「いいんですか」
 実のところ、小雪の愛車・イタリア製のフィアットに、乗ってみたかったのだ。
 「嬉しいです。実は、乗ってみたかったんです」
 睦は、率直に嬉しさを口にした。
 「どうぞ、どうぞ。さあ、お嬢さま、こちらへ」
 小雪がちょっとふざけた表情で、助手席のドアを開けてくれた。助手席に座っ
て、見回してみると、余計なアクセサリーなぞ無い代わりに、清掃がきちんと行き
届いている。いかにも、小雪らしい。
 運転席に座った小雪が、さっとエンジンを掛けて、発進させた。
 「どう、御仮屋さん、車を買う予定は?」
 表通りの帰宅を急ぐ車の列に加わったところで、小雪が訊いてきた。
 もちろん、紫尾市のような地方で暮す場合、マイカーは必須だ。睦も勤め先に
よっては、通勤用に一台買わなければならなかったのだが、幸い御仮屋書店と鶴亀
信用金庫紫尾支店の間は、睦の急ぎ足で所要十六分だ。歩くことが嫌いでない睦は、
毎日徒歩通勤をしている。車が必要な時は、親から借りることにして、しばらくは
給料をしっかり貯蓄に回したい、と思っていた。
 「はい。しばらくはお金を貯めるつもりなのですが・・・。でも、車に乗せて
頂くと、やっぱり欲しくなります」
 「あらあら。決して、鶴亀信金のマイカー・ローンをお薦めするために、乗って
もらったわけじゃないからね。でも、ドライブって、結構いいものよ」
 「彼氏、とですか?」
 睦は、思い切って訊いてみたつもりだったが、
 「時にはね」
 軽くかわされてしまった。
 「ううん、一人でハンドル握って知らない道を走る・・・。なんて言うかな~、
いいリフレッシュなのよ」

 ほどなく、商店街の中の御仮屋書店前に着いた。
 「お酒とかは、私がこれから買出ししてくるし、料理も、私が準備する。
御仮屋さんは、遠慮なく手ぶらで来てね。あなたの歓迎会でもあるんだから。
新納さんとタダモトくんに、よろしく」
 小雪が走り去るのを見送ると、睦は大急ぎで店内に駆け込んだ。
 「ただいま~っ!」
 と店番をしている母に挨拶をする。
 「母さん、ごめん。今夜は、先輩の水溜さんの家に“お呼ばれ”されたの。
だから、夕飯は、いらない」
 「あらあら・・・。楽しそうじゃない、行っておいで」

 (さ、急げ、急げ)
 店内を駆け抜け、階段を駆け上って、住居の部分に入る。まずは、台所だ。
冷凍庫に作り置きしているタダモトの食事を、電子レンジに入れて解凍させる。
その間に、着替えだ。
                           (つづく)

武田梨奈サマ@『KG』

 今日が、南日本銀行の定時株主総会だったんですよね・・・。
 ちょい残念。

 さて、代わって、私の趣味(?)となりつつある「DVDコレクション」。
どうせならきちっと並べて、いかにも「コレクションです!」という感じに
するべきなのでしょうが・・・、私の場合、積みっ放し・・・・。
                ホント、性格ッてヤツ・・・。

 今回購入したのは、武田梨奈サマ主演『KG~KARTE GIRL~』。

1106283s
 どうせ『ハイキック・ガール』と同様、ワンパターンなのだろうな~~
という思いから、なかなか購入予約できなかったのですが、
 やっぱり武田梨奈サマを応援しなきゃ!!で、購入。

 でも、いざ拝見して、梨奈サマの顔がアップになると、

                     違和感・・・・・。

 押忍、正直に書いておきましょう。
 自分の女性の好みは、まずは「“つぶらな瞳”を持つ方」なのであるな・・・。
(武田梨奈サマは、細目、と言っていいですよね)

 いやいや、勤め先のコンビニに同僚として、梨奈サマ似の方がいらっしゃったら、
そりゃあ、オジサン「萌えエンジン、出力最大ッ!」となります。ハイ。

 いやいやいや、汗を滴らせ、肩で息をする梨奈サマのアップは、
                              素敵デス。

 女性だって、武田梨奈サマのように、ぱーン、パーンと身軽に動いて
                             イインデス!

 コンビニ勤めをしていると、当然若い女性と働く機会が多く、それ自体は
とても“萌え~”なわけですが、同時に「あんたら、全力を出す、ってことなんて、
ないんでしょ~」と思うことも、あるようなないような・・・・・・。

 そうか、一人の武田梨奈サマファンとして。
 「女子高生」として通じるうちに、定番“女子高生部活モノ青春映画”を是非。
 弱小空手部をひっぱる美人部長サマ、なんて役柄はどうでしょう?
 女性も見てみたくなるような作品で、ぜひ主演を。

2011年6月26日 (日)

「〇〇さんのだけど」

 台風5号は、出水地方を大きく逸れて通過していった模様。

1106261s

 ふ~~~~~・・・・・・・・・・・、あと一日・・・。

  さ、根性。

 と言いつつ、本日は、愛しのヒロイン・むっちゃんに「ごめんなさいっ!」と
謝りつつ、自作小説はお休みさせていただきます。

 代わりに、昨夜の「ちょっと楽しかった」出来事を。

 夜7時ごろ、一見して「ああ、飲み屋のママさんかな~」という女性のお客さま
がご来店。
(飲み屋が開店するには、まだちょっと早い時間帯。私の大いなる勘違いでしたら、
                                ホントm(__)m)
 レジカウンターの前に立ち止まられて。
 「あっ。タバコをお探しですか」
 「う~~ん、ラークの6ミリ」
 「こちらですね。長いのと短いのがあるんですが・・・・」
 「えっ。どっちだったかな・・・・・」
 女性客の方、迷われている様子。たぶん、常連のお客さまが愛飲されるタバコを
買いにいらっしゃったのでしょう。
 そして、やおら
 「○○さんのだけど」
 「えっ?」
 「○○さん」
 一瞬、自分は理解できなかったのですが、次の瞬間、
 「ああ、○○さんっ!」
 って、そりゃあ、うちのお隣さんだ~~っ!
 「それなら、ロングですね~」
                          一件落着。

 何気ない会話ですが。
 たぶん、お隣のご主人が行き付けにしているスナックのママさんだったのでしょう。
 そして、そこでのトークで、
 「あのファミリーマートの『すずき』っていう店員は、おれのお隣さんで、オレが
店に行くと、何も言わないでも、黙ってタバコを出してくれる・・・・云々」
 という話をされていたのでしょう。
 そして、その話をママさんが思い出してくださったのでしょう。

 何気ない、ホンの20秒にも満たない程度の出来事ですが、
                「ちょっと楽しかった」出来事。

2011年6月25日 (土)

第七章「女三人+犬一匹」②

 快晴の日の黄昏。

1106251s
 さすがに、本日25日はお天気下り坂のようで。

 そうそう。コンビニで店番をしていると。暑くなると、オジサン店員として、
“困ちゃう”こと。

       女性のお客さまが、薄着であること。

 ふ~~。ホント「○○円です。ハイ、ありがとうございます~!」と言っている
内心では・・・・・。

 そんな女性の皆さまに敬意を表して。
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         第七章「女三人+犬一匹」②
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 支店長のお説教から解放された時、小雪が他の二人・睦、茜に、
 「ねえ、ちょっと・・・・」
 と目配せを送ってきた。

 金融機関のテラー(窓口係)は、ひとたび午前九時の開店時刻を迎えれば、
昼食時間以外、おいそれと席を立つことは許されない。勢い、午後三時を過ぎて、
最後のお客さまを送り出した後、女性職員が一斉に「ちょっと休憩」と席を立つ
ことは、黙認されている。
 女三人は、休憩室も兼ねている女子ロッカー室で頭を揃えた。
 「ねえ、田所さん、御仮屋さん。今夜、うちに遊びに来てくれない?今日の
反省会でもしない?」
 小雪は言いながら、コップをグイとあおる動作をしてみせた。「飲もう」という
誘いだ。
 「ん・・・。おばさんも、いいの?」
 と応じたのは、茜だ。どうも常日頃から、独身者である小雪・睦には、遠慮心
を持っているようだ。
 「そんな~~。私なんて、たぶん、御仮屋さんよりも、田所さんの方に歳は近
いはずじゃないですか・・・。もちろん、来てくれますよね?」
 「わ~~。そりゃあ、もう!」
 茜は、大喜びで同意した。睦には、断る理由はない。が、しかし、
 「あの・・・。私、帰ったら、タダモトを散歩に連れていかなきゃいけないの
で・・・、少し遅めの時間にして頂けませんか」
 睦は頼んだ。
 「そうか・・・。今日は私たち、アクシデントがあったから、帰れるのは
午後六時半?・・・。ちょっと厳しいかしらね・・・。じゃあ、午後八時、
でどうかしら」
 「はい。なんとか、駆け足で散歩してきます」
 睦は応じた。
 「よしっ。今夜は、ママさんバレーの練習はサボらせてもらって~と。子供
の相手と、送り迎えはダンナに無理やり頼もうっと。今夜は、飲むぞ~」
 嘱託職員である茜は、毎日定時の午後四時に勤務終了となるのだが、そこか
ら子供二人を相手しつつ、家事・ご近所付き合いの時間が待っているのだ。茜の
頭の中では、慌しく今日のスケジュールの調整がされているはずだ。
                            (つづく)
 
 

2011年6月24日 (金)

第七章「女三人+犬一匹」①

 今日も暑くなりそう、な朝。

1106241s
 ついつい外が白み始める頃にようやく寝て、朝の陽射しで気温が上昇
し始めると、暑さで起きてしまうパターンの予感。
 そうか、いっそのこと、表に面したドアも堂々と開け放して寝る、と
いうのは?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」①
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 “大事故”のおかげで、バタバタと大騒ぎになったものの、なんとか午後三時
までの営業時間を終えた。ガラスの修理は突貫工事で行われており、今日の夜
までにはなんとかなりそう、とのこと。
 ロビーから最後のお客さまを送り出した直後、いかにも「待ってました」と
ばかりに、支店長から睦・茜・小雪の三人は、支店長席前に呼び出された。
 支店長は、机に肘を突きながら、おもむろに口を開いた。
 「君たちはだ・・・。いざ、ことが起こったら、三人揃って、鉄砲玉のよう
に飛び出していってしまうんかい・・・・。そうなるとだ。次、もしまた、いざ
ということが起こったら、私は、まずなによりも、君たち女の子三人が飛び出し
ていってしまわないよう、三人もの女の子の首根っこを、抑え付けなきゃならん
のかい・・・・・」
 三人は、一応申し訳なさそうに首をうなだれていたが、茜がおずおずと顔を
上げて、口を開いた。
 「あの・・・、支店長。お言葉を返すようで申し訳ありませんが、私、子供
は二人いて、毎日バリバリ120%“おばさん”全開していますから。女の子は
二人です。二人なら、支店長。片方の手で一人ずつ、抑え付けることはできま
す」
 小雪が、続く。
 「はい、支店長。私が前の支店では“鉄のお局様”と呼ばれていたことは、
ご存知だと思います。本当は、私なんて、さっさと円満退職して欲しいクチ
だってことは、自分でも承知しておりますわ。そう、支店長は、いざという
時は、正真正銘のピチピチギャル、御仮屋さんをトッ捕まえて、机にギュ~
と抑えつけておくこと、お願いします」
 「ふ~~~・・・・」
 支店長は、呆れたというようにため息をついた。
 「・・・・、まさか、御仮屋くんまで、なにか減らず口を叩くつもりじゃ
ないだろうな・・・」
 茜・小雪・支店長の視線が、睦に集まった。睦は黙ってお説教を聴いて
いるつもりだったが、ここはなにか言わなければならないのか・・・。
 「あ、あの~~。私は、仕事中ハイヒールを履くことを止めます。私は、
チビはチビなりのフットワークのよさを活かして、少しでも紫尾支店に貢献
したい、と思います」
 ややトンチンカンであるとは解っているが、それでも自身が思っている
ことを話したつもりだ。
 瞬時に
 「たわけっ!」
 と、支店長に、一喝されてしまった。
 「どこの世界のテラー(窓口係)に、机の上に現金をほっぽらかして、
飛び出していってしまうヤツがいるんだっ」
                          (つづく)

2011年6月23日 (木)

第六章「ハイヒール、やめた」⑨

 梅雨の合間の、真夏の空。

1106231s
 う~~ん、当たり前ですが、暑いッ!!。
 ですが、このくらいの暑さなら、まだまだ快適に過ごせるレベル?
 緯度の高いヨーロッパでは、今の夏至付近の時期が、一年で一番快適に
過ごせる季節なのだとか。

 さ、扇風機の風に励まされながら。
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         第六章「ハイヒール、やめた」⑨
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 不思議なものだ。タツばあさんは相変わらず動転しきった表情ながら、その
小雪の一声に操られるように、ドアのロックを解除した。
 「ごめんなさいませ」
 小雪は素早くドアを開けると、そのスラリとした長身を活かして、車内へ上半
身を伸ばした。ギアを「パーキング」にし、続いてキーを回して、エンジンを切
る。最後は、サイドブレーキをグイッと引いた。完璧だ。
 それを見届けた、車のボンネットの前にいた二人は、へなへなとその場にしゃ
がみこんだ。 
 「よかった・・・」
 「ね、主婦のバカ力よ・・・」
 この期に及んでも、茜はなおも冗談を言おうとしている。
 車を停めた小雪も、実は相当緊張していたのだろう。三歩、しゃがみ込んでい
る二人に歩み寄ってきたと思うと、同じようにしゃがみこんでしまった。
 「ふふふ・・・。ねえ、御仮屋さん。館主として、あなた、大不覚よ。さっき、
カウンターの上で倒れたとき、あなたしっかり男性陣に、今日のピンク色のパンツ、
ご披露しちゃっていたわ。まあ、私も女のくせに、ドキッとさせてもらっちゃんだ
けどさ・・・・」

 「えええっ!」

 もう、チビだっていいのさ。ハイヒール、やめた。
 身軽なのが、私の身上だ。ちょこまか動いて、ここ(紫尾支店)で、少しでも
役に立とう。
 早速、ハイヒールなんて脱ぎ捨てて、今日は通勤用に履いてきたスニーカーに、
履き替えよう。そして、ロビーに飛び散ったガラスの破片を履き集めるのが、私の
仕事だろう。
                    (第六章、了
                      まだまだ、つづく、です)

2011年6月22日 (水)

第六章「ハイヒール、やめた」⑧

 雨の夜の帰り道Part2。
 ふ~~、帰りついた・・・と思う時。

1106221s

 さて。今日22日が、私の4○歳の誕生日。
 以前なら、この時期は毎年毎年“婚活、婚活!”と騒いでおったの
ですが、さすがに「・・・・・・・」の境地。
 が。恥ずかしながら、悩まされるのは“性欲”。
 むしろ、二十代・三十代の頃より悩まされる頻度は高まったような・・・
(綾瀬はるかサマ~~萌え!なんて、している自分って・・・・)

 そう。己の煩悩との格闘から、生まれいずるのが、
               愛しのヒロイン・むっちゃんナリ。
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       第六章「ハイヒール、やめた」⑧
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
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 (んん、も~~っ!)
 ハイヒールのおかげで、自分がいかにもアヒルのように“お尻フリフリ”状態
で走っていることを意識してしまったが、それは、即座に振り払った。
 軽乗用車のボンネットの前で立ち止まり、改めて運転席を見てみれば、それは
タツばあさんだった。先刻、睦の前に立ちはだかっていた時の得意満面の表情か
ら一転、目は完全に焦点を失い、口は半開き状態だ。恐らく、駐車している車を
発進させようとした際、「バック」と「ドライブ」を入れ間違えたのだろう。ア
クセルを踏み込んだ足がとっさに縮んで、エンジンが吹かされたのは一瞬だった
からまだよかったものの、動転してしまっているタツばあさんが、またアクセル
を踏み込んでしまう危険がある。
 (落ち着いてもらわなきゃ)
 そう思った時、ボンネットの前に立つ睦の横に、もう一人並んだ。
 「ふふ~~ん、一度、カウンターを跳び越えるのって、やってみたかったのよね」
 見れば茜だ。睦が席から飛び出していった後を、即座に追いかけてきたのだ。実は、
睦よりも、はるかにスマートに格好よく“カウンター越え”を茜が披露したのを、睦
は当然知らない。
 「茜さん!危ないから、どいててくださいッ!!」
 睦は思わず叫んだが、茜をまったく意に介さず、ボンネットに手をついて、腰を
ぐっと落とした。
 「なんの。いい、主婦のバカ力を見せてあげる。私が車を抑えているから、睦ちゃん、
あなたが、タツばあさんを落ち着かせてあげてっ!」
 どこまでが本気なのか、冗談なのか。
 「もう~~っ」
 睦は困ったが、一刻の猶予もない。
 ぐっと車相手に力を込めている茜を横に、睦は運転席のタツばあさんに、必死にな
って作った笑顔を向けた。
 「いいですか、タツばあさん。まずは落ち着いて。そう、最初は深呼吸一回ッ!」
 タツばあさんに見えるよう、睦は自分も大きく深呼吸をしてみせた。

 その時、もう一人の人物が、車に近づいてきた。
 “カウンター越え”なぞというお下品なことをせず、きっちり回り込んでロビーに
出てきたのは、小雪だ。慌てず騒がず、それでもきちっと急ぎ足で。そして、運転席の
横で中腰になると、凛とした表情で、
 「平手さん。まずは、ドアを開けてください」
 と、車内に呼びかけた。
                            (つづく)

2011年6月21日 (火)

第六章「ハイヒール、やめた」⑦

 雨の夜の帰り道。

1106212s
 月曜夕方の定番コース。TSUTAYA出水本町店⇒だいわ。
 う~~ん、だいわのレジ係の人に「月曜夕方だけ出没するオジサン」として、
顔を覚えられてしまっているんじゃないかな・・・・・。

1106211s
 で、TSYTAYAでの買物。
 やっと免許証用の写真を撮影。これで、あとは警察署の足を運ぶだけ・・・・。
(それが面倒なのですが)
 思わず買ってしまったのは「ちょんまげぷりん」「ちょんまげぷりん2」
(荒木源著:小学館文庫)。
     ・映画『ちょんまげぷりん』
 がとても気になっていてので、つい原作を手に。
 今の自分には、思わず一晩で二冊とも読めてしまうような軽快な作品が、やっ
ぱりイイナァ・・・。

  さて、またまた一週間の始まり、ということで。
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       第六章「ハイヒール、やめた」⑦
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
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 結局、“タツばあさん”こと平手達子(ひらて・たつこ)は、睦が苦心して
“背丈を伸ばした”ことには一切触れず、意気揚々引き上げていった。
 地元スーパーから入金された売上金の勘定に奮闘していた、隣席の茜が手を
休めて、声を掛けようとしてくれるのを、睦はニコッと笑って、
 (いいんですよ)
 と首を振って制した。
 タツばあさんならずとも、「お金の扱いは、やっぱり金融機関で」という
主義の人、ことにお年寄りには多い。そして、タツばあさんが来る日は、窓口
には同じようなお年寄りのお客様が多い。タツばあさんの“口撃”に付き合った
時間のロスを取り戻さなければならない。たとえ、それがペーペーの新米の睦
であっても、最大限の努力はしたい。
 睦は、席に着く前に、手元に預かっている公共料金収納票に目を落とした。
 (他のお客様も、大事なお客様よね)
 自分に、改めて言い聞かせた。

 ふと、

 その時、

 ガッシャ~~ン!!!

 という乾いた大音響が、店内に響いた。

 はっと顔を上げた睦は、一台の軽乗用車がATMコーナー横のガラスを突き破っ
てくるのを目にした。幸いATMを利用している者は、いなかった。
 そして、床に飛び散るガラスが、また乾いた音をたてる。
 信じられない光景を目にした時、なにが起こったのか、それを理解するのに
時間を要する。さらには、自分がどう行動すればよいのか判断するには、さらに
時間を要する。
 また幸いなことに、クルマは、後輪がブロック一個分の段差に引っかかって、
とりあえず停まった。
 睦は必死に、起こった状況を理解しようとした。
(クルマが店内に突っ込んできた。とりあえず停まっているが、まだエンジンは
かかっている。ロビーには、お客様がいる。)
 睦はとっさにカウンターを跳び越えることにした。ひらり、と跳び越えてみせ
るつもりだったが、足がカウンターの縁に引っかかってしまった。
 
 バァ~~ン
 かなり格好悪く、睦はカウンターに叩きつけられた。原因は、8センチのハイ
ヒールだ。
 (なんの!)
 睦は泳ぐようにしてカウンターの上を這って、ロビーの側に降りた。そして、
車の方へ走った。
                          (つづく) 
  

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