自作小説 Feed

2011年7月 7日 (木)

第七章「女三人+犬一匹」⑩

 昨日午後4時半ごろの米ノ津川。

1107072s
 私が住む栄町(商店街)の低い部分は、かなり冠水していたとのこと。
 米ノ津川の本流も、橋の欄干下すれすれまで、一時は増水していたとのこと。
 不貞寝を決め込んでいた私、ちょっと申し訳ない気持・・・・・。

 一応出水市をモデルにした、「紫尾市」を舞台にした小説を書いている身と
しては、どうネタに取り込めるでしょうか。

 そうそう、今日は七夕ですね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑩
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 「あはっ。私の親なんて、とっても真面目で厳しいから、一人娘の私が『オ
ナニー』なんて言葉を使ったら、一発で卒倒しちゃうんじゃないかしら・・・」
 とは、小雪。
 「言葉だけじゃないんですよ~。お風呂上りに、こっちがいい気分になって、
バスタオル一枚で、自分の部屋まで行こうとするとですよ。見たくないなら、
部屋に引っ込んでいればいいじゃないですか。ところが、わざわざ部屋から出
てきて、『青少年の健全育成に反するぞ~』なんて、はやしたてるんです・・・」
 「あらあら・・・。それは口とは反対に、お姉ちゃんのナイスボディを鑑賞
したい、って、ことね。そうか・・・、思春期の男の子って、そうなるんだ・・」
 と、茜。おそらく、頭の中では、自分の息子を思い浮かべているのだろう。
 睦は思いきって、話を続ける。
「私、反撃してやる~!って、思って、まずお風呂場から、
  『お姉ちゃんの、お通りだ~っ。瞬(しゅん)、時(とき)、控えおれ~!」
 って大声出してから、自分の部屋まで行くことにしたんです。そしたら・・・」
「そしたら?」 
 茜と小雪が声を揃えた。
「もう、なんで、そんな興味津々なんですか~。・・・そしたら、ですよ。ドア
が細く開けてあって、そこから二人が覗いているんです・・・・。
  『無礼者!』
 って、私が怒鳴ってやったら、
  『すき間から覗き見するのは、許されていることだ』
                     なんて・・・・・もう・・・・」

 「あははは・・・。さすがの御仮屋さんも、姉弟(きょうだい)ゲンカでは、
二人の弟連合の前に、形無しなんだ・・・・。
 うん、いいよ、御仮屋さん。姉弟ゲンカに負けた夜は、私のとこに泊まりに
来なさい。ベットに一緒に寝よう。そして私は、実の弟さんたちすらも惑わす、
御仮屋さんの魔性のボディを、一晩じっくり堪能するノダ・・・・」
 「もうっ。水溜さんまで~っ・・」
 「てへっ」

 「よ~~しっ。楽しそうなお話を聞かせてもらったところで、玉ねぎ抜き
グラタンを、オーブンにセット完了。あとは焼き上がるのを、待つだけ。
 さあ、もう、飲もう、飲もう。」
  茜が、提案した。
 「田所さん、ありがとうございます。御仮屋さん、運ぶの手伝ってね」
 もちろん、タダモトも「お手伝いしたい」という表情だ。
                           (つづく)

2011年7月 6日 (水)

第七章「女三人+犬一匹」⑨

「戻り梅雨」。いつもの、夜の帰り道。

1107061s
 ・・・・・って!、
 朝には、米ノ津川の増水により「避難勧告」が~!!!

  で、スミマセン・・・・m(__)m
  そのまま寝ておりました・・・・・。

(午後3時前「避難勧告」解除となりました)

 さ、今日もガンバラネバ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑨
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 「そうそう。睦ちゃんって、弟さんたちの上に君臨する“お転婆お姉ちゃん”
って、感じじゃないの?」
 とは、茜。
 「違います~。その弟たち!瞬(しゅん)と時(とき)なんですけど。
“思春期”って言えば、聞こえはいいんですけれど、なんのことはない、
“スケベ盛り”で、イヤになっちゃうんですよ~~!」
 「ふ~~ん、そうなの?私、下に妹が一人いただけだから、そういう男の
兄弟のこと、わかんないな~。小雪さん、どう?」
 「私も。一人っ子なもんですから・・・・。で?その弟さん二人は、どんな
“スケベ盛り”なの??」
 なにやら、先輩二人は興味津々だ。
 「えっ・・・、あの~~・・・。私、裸の時が一番、身体が解放された気分
になって・・・・。だから、お風呂に入っている時が、気持ちよくて・・・。
それに、この髪ですから・・」
 そう、睦の自慢のひとつは、腰まで伸ばした黒髪だ。それを普段は、高く
ポニーテールに結んでいる。なかなか“女武芸者”らしくて、いいんじゃない?
と気に入っている。
 「髪を洗うのに、どうしても時間がかかりますよね。そしたら、弟たち二人
そろって、なんて言うと思います?」
 「さあ?なんて?」
 「『姉ちゃん、風呂の時間、長すぎ~。どうせ、風呂場でオナニーしてるん
だ~~。わ~~っ、姉ちゃん、キッタネエ~~』の合唱ですよ。『キッタネエ
~~』ですよ・・・・、ひどいと思いません?」

  ところが・・・・・。
 睦の憤りは先輩二人には通じず、もっぱら笑いを誘うばかりのようだ。
                          (つづく)

2011年7月 5日 (火)

第七章「女三人+犬一匹」⑧

 ようやく・・・・。
 免許更新に行ってまいりました。とりあえず、一安心。
 まあでも、講習には忘れずに行かねば。
 ・・・・と「だいわ」でのお買物。
 “鶏刺し”は、ちょっとコワイ?
 でも、実は私、好きなのですよね・・・・。

1107051s
 さ、週のはじめ、急ぎ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑧
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 小雪も茜も、タダモトを室内に上げることには、抵抗がないようだ。
 「よし、タダモト、上がらせてもらおう」
 持参してきたタオルで、タダモトの足裏を拭(ぬぐ)う。
 上がらせてもらうと、我知らず、室内を観察し始めてしまう。
 居間は、クローゼット付き8畳一間のフローリングだ。そこに、簡易ベット、
テレビ、そしていかにも小雪らしく学習机が置かれている。床に、クッション
が三つ置かれているのは、床にじかに座って「飲もう」ということなのだろう。
 睦は、思わず
 「いいですね~」
 と、感想を洩らしてしまった。
 その声を耳に入れた、茜が反応してくれた。
 「でしょ~~。私も来た時に、同じ反応をしたの。ダンナとケンカして、家出
したいって時に、泊めてもらおうって、小雪さんに話していたところ」
 「そうそう。田所さんなら、歓迎しますって」
 「え~~っ。でも、茜さんが、ご主人とケンカするなんて、信じられません」
 そう。いつも微笑を絶やさない茜が“夫婦喧嘩”というのは、ちょっと想像
しにくい。だが、茜は
 「そんなことないのよ。家の中と、外ではやっぱり違うし。主婦には、主婦の
いろいろな気苦労があるわけなので・・・」
 「そんな~~」
 睦は、つい言葉に詰まってしまったが、ここは方向転換。
 「じゃあ、私も家出したい時は、ここに泊めてもらっていいですか?」
 「あら?御仮屋さんこそ、どうしたの?たしか、下に弟さん二人で、いかにも
にぎやかそうな、ご家族じゃない?」
 小雪が訊いてきた。
                           (つづく)

2011年7月 2日 (土)

第七章「女三人+犬一匹」⑦

 またまた本日も、南九州ファミリーマートの商品を。
 以前から興味津々だった
  「鹿児島県産天然真鯛の鯛めし」。

1107021s

 「天然」という二文字が入ると、いかにも錦江湾の深海から一本釣り
で釣り上げられた鯛、というイメージを持てるから、不思議。
 そして、本日発見してしまったシール。「国産米使用」。
 自分、最近とんとズボラになってしまって、ニュース等細かくチェック
していないのですが、そういえば「コメ不足」になるのか・・・・。
 そうそう、7月から一部パン商品が値上がりしたようだし・・・。
 
 本格的なインフレが来る?

 ・・・・・と、久しぶりに一つのおにぎりから、経済ネタを書いた
ところで。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑦
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 そして、玄関に歩み寄って来て、
 「は~い。タダモトくん、はじめまして。私、茜です」
 と、身体を前かがみにさせて、タダモトに向けて挨拶をした。
 ぱっとタダモトが後足で立ち上がった。そして、前足を茜の肩に置き、顔
を茜の顔にくっつけた。
 「だめ!、タダモト!」 
 睦は、ついつい声を出してしまった。大型犬にそんなことをされたら、誰でも
びっくり仰天だ。ところが、当の茜は、
 「わ~~。大歓迎してくれるんだ~~。嬉しいな~。よし、よし・・・・」
 タダモトの頭をなでている。そして、しばらくして、
 「よ~~し。タダモトくん、ごめん、また後でゆっくりね。私、今、お料理
の手伝い中なの」
 と言って、タダモトの脚を肩から外した。
 「ねえ、睦ちゃん。聞いてくれる?傑作なの~。『張り切り過ぎて、八時
までに、料理を作れそうにない』なんて、あたふたした小雪さんから電話が
かかってきたのよ。普段の小雪さんのイメージからは、想像できないじゃな
い。大急ぎで、エプロン持参で駆けつけて、お手伝いしているところね」
 「もう・・・・、田所さんったら・・・。『普段の私のイメージ』って、
どんなイメージなんですか~。
 ・・・・・でも、実は私、恥ずかしながら一人暮らしって、初めてでさ。
実のところ、結構楽しんでいるの。で、今日は失敗しちゃった・・・・・。
 でも、田所さんって、ホント、さっと飛んできてくれたのよ~」
 「あらあら・・・。このエプロン姿が、ちょっとスーパーウーマンに
見えないこと?」
 茜がひらりと、両手でエプロンの裾を広げて見せた。

 「さ。御仮屋さんとタダモトくんは、奥に上がって、ちょっと待っててね」
                          (つづく)
                   

2011年7月 1日 (金)

第七章「女三人+犬一匹」⑥

 さ、今日から7月。
 「あ~~、忙しくなるし・・・、体力の消耗が・・・」
 と悲観的に考えるのではなく、
 やっぱり
 「夏が来た!!」
 と、叫ぶべきなのでしょう・・・。

1107011s

 近頃は、“甘いもの”に対する関心が薄れて、暑い時はもっぱらビール!に、
焼酎ロック!派なのですが、疲れた身体には、やっぱり糖分!という時がある
かもしれませんね。

 さて、ふと気がついてしまったこと。
 タダモトには、しっかり静かに“聞き役”に回ってもらわないと、女三人組
の会話が薄れてしまうな・・・・・。で、軌道修正中・・・。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑥
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 約束の時間午後八時には、少々遅刻することになってしまった。教えてもら
った、小雪が借りるアパートまでは、急ぎ足で約十分。タダモトを従え
て急ぐ。
 アパートの敷地内駐車場にたどり着いた時、二階の一室のドアが開かれ、
小雪がなにやら男性と応対しているのが見えた。
 (なにかしら?)
 階段を上がって、部屋に近づいた。小雪と話をしていた初老の男性が、睦の
姿に気づいて振り向いた。そして、ギョッとした表情をした。睦に、という
より大型犬であるタダモトに、驚いたのだろう。
 「あの~~。私、その部屋の水溜さんの友人なんですが・・・・」
 睦は、小雪とその男性との関係がよく解らないものの、一応挨拶をした。
 男性は、ちょっとうろたえたのだろう。小雪の方に向き直ると、
 「あっ、お邪魔してしまっているようで・・、私はこれで。なにかあった
ら、いつでも相談しにいらっしゃい」
 と言って、あたふたとその場を離れた。それでもすれ違う時に、睦とタダモ
トをまじまじと眺めていくことを忘れなかった。
 「ありがとう、御仮屋さん。近所の“おせっかいオジサン”ってヤツ」
 怪訝そうな睦を察した、小雪が説明してくれる。
 「私の父って、“市内”で・・・、あらあら・・ここも立派な“紫尾市内”
よね・・。鹿児島市内の団地で、自治会の役員をやっているのよ。だから、娘の
私も、アパートを借りた時、こっちの自治会にも入ったのよ。そりゃあ週中(しゅ
うなか)しか居ないんだけど、でも、やっぱり『ゴミだし』とかするじゃない。
ところが、女の一人暮らしなのに、自治会に入るなんて~~って、珍しがられち
ゃってさ。親切心と好奇心がごちゃ混ぜの“おせっかいオジサン”のご訪問を、
しょっちゅう受けることになっちゃった、てとこ・・・・」
 一区切りをつけて、小雪は表情を改めた。
 「さ。そんな話より、ようこそ、いらっしゃいました~。御仮屋さんにタダ
モトくん。お待ちしておりました」
 明るい玄関に、招き入れてくれた。
 ふと横を見ると、キッチンにはエプロン姿の茜が立っていた。
 「よっ。遅いぞ~、睦ちゃん」
                         (つづく)

 
 

2011年6月30日 (木)

第七章「女三人+犬一匹」⑤

 夕方、同僚の青年俳優に
 「虹が出てますよ」
 と言われたものの。そういう時に限って、お客さんが多く。
 で、ようやく大慌てでデジカメを撮り出して、外へと・・・。
 左半分はやや薄いものの、空に立派なアーチを描いた虹でした。

1106301s

 なにか幸運を運んできてくださらないものか・・・・。

 ふ~~~。
 「立ちっ放し」(決して、下ネタではありません)の弊害。
                        膝の痛み。
   なんとかならないものか・・・・。

 さ、“体の故障”とは無縁であって欲しい、
              わが愛しのヒロイン・むちゃん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」⑤
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 タダモトは、賢い。かなりの割合で人語を理解している、と睦は思う。そし
て、“上手な駄々のこね方”というのも、よく心得ている。頭ごなしに「ダメ」
と言ってしまえば、とても悲しそうな表情をするのだろう。どうしたものだろ
う・・・・・。
 「ダメだよ~。どうせ、おまえなんて、すぐ退屈して動き回り出すに決まって
るじゃない」
 「どうかの・・。こいつは、わしとテレビで映画を観ることもあるが、終い
までじっと座っておるぞ。まあ、じっとしていると思うと、実はスースー眠っ
ているということもあるがの」
 そうなのだ。一人暮らしの“じいさん”の話し相手として、タダモトは晩酌
の相手もしているらしい。
 「まあ、じいさんとだったら、静かにしているかもしれないけど・・・。
小雪先輩に、茜さんまでいるんだからね。きっと、タダモトなんか、興奮しち
ゃって大暴れよ」
 タダモトが、いかにも「そんなことないよ!」という風に、首を振ってみせる。
 「ははは・・・、確かに、そりゃあ、わしが育ててきたヤツじゃからの~。
じゃが、きちんと紳士として育ててきたつもりでもあるよってな・・・」
 ここで、タダモトは、ピシっと“おすわり”の姿勢を決めてみせる。
 “じいさん”こと義彰が改まった表情で、睦の方を向いた。
 「非常識なのは、解っておる。ワシの名代として、タダモトを連れていって
くれんかの。なに、玄関にでも入れてくれれば、それでいい。タダモトは、
じっとそこで聞き耳を立ててくれるだろう。そうだ、幸運にも、今日の昼間に
風呂にも入れてやったわい」
 「う~~~ん。じゃあ、一応、二人に電話して相談してみるから・・・」
 睦は、携帯電話を取り出して、まずは小雪に連絡を取った。小雪はまだ、
スーパーで買物中であるらしい。やや大きな声で、タダモトを連れて行って
よいか、相談した。
 「そうか、タダモトくんがね・・。ちゃんと私のこと覚えてくれているだ。
うん、いいよ、いいよ。タダモトくんも、招待する。玉ねぎ抜きの料理を
考えないといけないんだな・・・」
 どうも小雪は、かなり張り切って料理を作ってくれるつもりらしい。
 続いて、茜だ。こちらは、子ども二人の相手をしている最中だったらしい。
「ちょっと静かにしててね・・・」という声を、携帯電話は拾った。「はい」
という返事が返ってきた後に、事情を話すと、
 「そう。これで、私もウワサのタダモトくんに会えるんだ。大歓迎よ」
 「よかったです。茜さんが、犬嫌いだったらどうしよう、と思ってました」
 「なんの、なんの。タダモトくんが、初対面の私にどんなリアクションを
してくれるのか、楽しみだわ・・」

 睦は、携帯電話を仕舞った。そして、
 「よかったね。その前に、タダモト。しっかり運動よ。さ、出発!」
  タダモトの首輪に、引き綱を繋いだ。
                     (つづく)
 

2011年6月29日 (水)

第七章「女三人+犬一匹」④

 いわゆる「夏の入道雲」ってヤツでしょうか・・・

1106291s
 実家の両親から、もう少し「自作小説」を読みやすいよう工夫して
欲しい、というご意見を頂いたのですが、はてさて、どうしたらよい
ものか・・・・・。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」④
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 試心館の門をくぐった睦は、再び
 「ただいま~っ」
と挨拶をする。これは、毎日の日課となっている。「行ってきます~っ」も、
御仮屋書店で一回、試心館で、“じいさん”こと新納義彰とタダモトに向けて
一回。
 そして、
 「じいさん、ごめん。今夜は、小雪さんの家に“お呼ばれ”されたの。だか
ら、これから超特急」
 母にしたように、“じいさん”にも手短に説明した。
 「ほ~う。女の子同士で飲むのかな?」
 「そう。茜さんも一緒に。三人で今夜は飲むんだ」
 「そりゃあ、うらやましい。わしもご一緒したいもんだ」
 「ダメですよ~っ、だ。今夜は、女の子限定です」
 「ああ、わかっとる、わかっとる。機会があれば、いつか合コンでもお申込
することとしよう・・・」
 「え~っ、じいさんが合コン~っ」
 「ダメか?」
 そんな二人による、いつもの軽口の応酬に反応したのは、犬のタダモトだ。
 やおら、前足で地面を叩き出し、首を上下に激しく動かし、何ごとかをアピ
ールし出した。

 「ええ・・・、タダモト。おまえが、行きたいって?」
  そうだ、そうだ、と言わんばかりに、うなずきを返してくる。
                             (つづく)

2011年6月28日 (火)

第七章「女三人+犬一匹」③

1106282s
 九州南部地方、梅雨明け。

 さて、わが愛しのヒロイン・むっちゃんも、
 決して武田梨奈サマには、負けません!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」③
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 睦と小雪の頑張りにより、もちろんその大部分はベテランである小雪の奮闘
のおかげだが、なんとか午後六時半には「帰ってよし」となった。
 ガラス修理が完了するまでは、支店長と警備会社から派遣されてきたガード
マンが見張りの任だ。
 「お先に失礼します!」
 慌しく支店を出たところで、小雪が
 「御仮屋さん、今日は乗ってかない?少しでも時間の節約ね」
 と睦を誘ってくれた。
 「いいんですか」
 実のところ、小雪の愛車・イタリア製のフィアットに、乗ってみたかったのだ。
 「嬉しいです。実は、乗ってみたかったんです」
 睦は、率直に嬉しさを口にした。
 「どうぞ、どうぞ。さあ、お嬢さま、こちらへ」
 小雪がちょっとふざけた表情で、助手席のドアを開けてくれた。助手席に座っ
て、見回してみると、余計なアクセサリーなぞ無い代わりに、清掃がきちんと行き
届いている。いかにも、小雪らしい。
 運転席に座った小雪が、さっとエンジンを掛けて、発進させた。
 「どう、御仮屋さん、車を買う予定は?」
 表通りの帰宅を急ぐ車の列に加わったところで、小雪が訊いてきた。
 もちろん、紫尾市のような地方で暮す場合、マイカーは必須だ。睦も勤め先に
よっては、通勤用に一台買わなければならなかったのだが、幸い御仮屋書店と鶴亀
信用金庫紫尾支店の間は、睦の急ぎ足で所要十六分だ。歩くことが嫌いでない睦は、
毎日徒歩通勤をしている。車が必要な時は、親から借りることにして、しばらくは
給料をしっかり貯蓄に回したい、と思っていた。
 「はい。しばらくはお金を貯めるつもりなのですが・・・。でも、車に乗せて
頂くと、やっぱり欲しくなります」
 「あらあら。決して、鶴亀信金のマイカー・ローンをお薦めするために、乗って
もらったわけじゃないからね。でも、ドライブって、結構いいものよ」
 「彼氏、とですか?」
 睦は、思い切って訊いてみたつもりだったが、
 「時にはね」
 軽くかわされてしまった。
 「ううん、一人でハンドル握って知らない道を走る・・・。なんて言うかな~、
いいリフレッシュなのよ」

 ほどなく、商店街の中の御仮屋書店前に着いた。
 「お酒とかは、私がこれから買出ししてくるし、料理も、私が準備する。
御仮屋さんは、遠慮なく手ぶらで来てね。あなたの歓迎会でもあるんだから。
新納さんとタダモトくんに、よろしく」
 小雪が走り去るのを見送ると、睦は大急ぎで店内に駆け込んだ。
 「ただいま~っ!」
 と店番をしている母に挨拶をする。
 「母さん、ごめん。今夜は、先輩の水溜さんの家に“お呼ばれ”されたの。
だから、夕飯は、いらない」
 「あらあら・・・。楽しそうじゃない、行っておいで」

 (さ、急げ、急げ)
 店内を駆け抜け、階段を駆け上って、住居の部分に入る。まずは、台所だ。
冷凍庫に作り置きしているタダモトの食事を、電子レンジに入れて解凍させる。
その間に、着替えだ。
                           (つづく)

2011年6月25日 (土)

第七章「女三人+犬一匹」②

 快晴の日の黄昏。

1106251s
 さすがに、本日25日はお天気下り坂のようで。

 そうそう。コンビニで店番をしていると。暑くなると、オジサン店員として、
“困ちゃう”こと。

       女性のお客さまが、薄着であること。

 ふ~~。ホント「○○円です。ハイ、ありがとうございます~!」と言っている
内心では・・・・・。

 そんな女性の皆さまに敬意を表して。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」②
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 支店長のお説教から解放された時、小雪が他の二人・睦、茜に、
 「ねえ、ちょっと・・・・」
 と目配せを送ってきた。

 金融機関のテラー(窓口係)は、ひとたび午前九時の開店時刻を迎えれば、
昼食時間以外、おいそれと席を立つことは許されない。勢い、午後三時を過ぎて、
最後のお客さまを送り出した後、女性職員が一斉に「ちょっと休憩」と席を立つ
ことは、黙認されている。
 女三人は、休憩室も兼ねている女子ロッカー室で頭を揃えた。
 「ねえ、田所さん、御仮屋さん。今夜、うちに遊びに来てくれない?今日の
反省会でもしない?」
 小雪は言いながら、コップをグイとあおる動作をしてみせた。「飲もう」という
誘いだ。
 「ん・・・。おばさんも、いいの?」
 と応じたのは、茜だ。どうも常日頃から、独身者である小雪・睦には、遠慮心
を持っているようだ。
 「そんな~~。私なんて、たぶん、御仮屋さんよりも、田所さんの方に歳は近
いはずじゃないですか・・・。もちろん、来てくれますよね?」
 「わ~~。そりゃあ、もう!」
 茜は、大喜びで同意した。睦には、断る理由はない。が、しかし、
 「あの・・・。私、帰ったら、タダモトを散歩に連れていかなきゃいけないの
で・・・、少し遅めの時間にして頂けませんか」
 睦は頼んだ。
 「そうか・・・。今日は私たち、アクシデントがあったから、帰れるのは
午後六時半?・・・。ちょっと厳しいかしらね・・・。じゃあ、午後八時、
でどうかしら」
 「はい。なんとか、駆け足で散歩してきます」
 睦は応じた。
 「よしっ。今夜は、ママさんバレーの練習はサボらせてもらって~と。子供
の相手と、送り迎えはダンナに無理やり頼もうっと。今夜は、飲むぞ~」
 嘱託職員である茜は、毎日定時の午後四時に勤務終了となるのだが、そこか
ら子供二人を相手しつつ、家事・ご近所付き合いの時間が待っているのだ。茜の
頭の中では、慌しく今日のスケジュールの調整がされているはずだ。
                            (つづく)
 
 

2011年6月24日 (金)

第七章「女三人+犬一匹」①

 今日も暑くなりそう、な朝。

1106241s
 ついつい外が白み始める頃にようやく寝て、朝の陽射しで気温が上昇
し始めると、暑さで起きてしまうパターンの予感。
 そうか、いっそのこと、表に面したドアも堂々と開け放して寝る、と
いうのは?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
         第七章「女三人+犬一匹」①
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、右「カテゴリー」内「自作
小説」をクリックしてください。m(__)m)

 “大事故”のおかげで、バタバタと大騒ぎになったものの、なんとか午後三時
までの営業時間を終えた。ガラスの修理は突貫工事で行われており、今日の夜
までにはなんとかなりそう、とのこと。
 ロビーから最後のお客さまを送り出した直後、いかにも「待ってました」と
ばかりに、支店長から睦・茜・小雪の三人は、支店長席前に呼び出された。
 支店長は、机に肘を突きながら、おもむろに口を開いた。
 「君たちはだ・・・。いざ、ことが起こったら、三人揃って、鉄砲玉のよう
に飛び出していってしまうんかい・・・・。そうなるとだ。次、もしまた、いざ
ということが起こったら、私は、まずなによりも、君たち女の子三人が飛び出し
ていってしまわないよう、三人もの女の子の首根っこを、抑え付けなきゃならん
のかい・・・・・」
 三人は、一応申し訳なさそうに首をうなだれていたが、茜がおずおずと顔を
上げて、口を開いた。
 「あの・・・、支店長。お言葉を返すようで申し訳ありませんが、私、子供
は二人いて、毎日バリバリ120%“おばさん”全開していますから。女の子は
二人です。二人なら、支店長。片方の手で一人ずつ、抑え付けることはできま
す」
 小雪が、続く。
 「はい、支店長。私が前の支店では“鉄のお局様”と呼ばれていたことは、
ご存知だと思います。本当は、私なんて、さっさと円満退職して欲しいクチ
だってことは、自分でも承知しておりますわ。そう、支店長は、いざという
時は、正真正銘のピチピチギャル、御仮屋さんをトッ捕まえて、机にギュ~
と抑えつけておくこと、お願いします」
 「ふ~~~・・・・」
 支店長は、呆れたというようにため息をついた。
 「・・・・、まさか、御仮屋くんまで、なにか減らず口を叩くつもりじゃ
ないだろうな・・・」
 茜・小雪・支店長の視線が、睦に集まった。睦は黙ってお説教を聴いて
いるつもりだったが、ここはなにか言わなければならないのか・・・。
 「あ、あの~~。私は、仕事中ハイヒールを履くことを止めます。私は、
チビはチビなりのフットワークのよさを活かして、少しでも紫尾支店に貢献
したい、と思います」
 ややトンチンカンであるとは解っているが、それでも自身が思っている
ことを話したつもりだ。
 瞬時に
 「たわけっ!」
 と、支店長に、一喝されてしまった。
 「どこの世界のテラー(窓口係)に、机の上に現金をほっぽらかして、
飛び出していってしまうヤツがいるんだっ」
                          (つづく)

プロフィール

フォトアルバム

ごろごろ

最近のトラックバック