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2011年3月

2011年3月10日 (木)

第三章「新規顧客=新弟子?」⑥

 スミマセン。毎日、ワンパターンな写真になってしまっていますね。

1103101s
 ふ~~。今日は“午後7時からの出勤でよろしい”となっているの
ですが、10日“給料日”ということで、忙しいのでしょうね・・・。

 さてさて。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」⑥
 「ええ、あの、少しだけ・・・・」
 睦は、言葉を濁す。
 「合気道でしょうか?」
 大山は、さらに質問を重ねてきた。
 「そうですね・・。強いて言えば、古武道って、言うのでしょうか。
それを、少々・・・・」
 (『新納流(にいろりゅう)』と言っても、知らないだろうからね)
 「ほう、古武道?ですか。・・・・・あっ、そういえば、パトロール中
に、御館町(おたてちょう)で、う~ん、なんて読むんだろうか、『にい
ろりゅうししんかん(新納流試心館)』?っていう看板を見かけたことが
あって、一度覗いてみたいと思っていたんですが、その流派でしょうか?」
 大山は、『新納=にいろ』と読むそれなりの知識と、仕事熱心さを持ち
合わせているらしい。睦は、好感を持った。
 「はい、その『新納流』です。」
 「あっ、あの・・・、自分、その稽古を見学させてもらうわけには、いき
ませんでしょうか・・?」
 (えっ!)
 稽古もなにも、新米館主である御仮屋睦と『じいさん』こと新納義彰
(にいろよしあき)、そして犬のタダモトがいるだけだ。睦は、答えを
思いつかず、つい黙ってしまった。それを察した相手は、
 「あっ、ひょっとして部外者には見せない、秘伝の流派だとか・・?」
と推測してくれるが。
 「あっ、いえいえ。決して、そういう流派じゃないんですが・・・」
 (私が館主の流派だなんてね・・・・、説明しようがないじゃない・・)

 不意に、
 「あらあら。その『新納流』とやら、私も見てみたいわ。御仮屋さん、
ダメ?」
 という声が横から飛んできた。休憩を終えて、フロアに戻ってきた水溜
小雪(みずたまり・こゆき)だ。
 「あっ、あの~、稽古もなにも・・・。館主が私で、あっ、いえっ、
昨日私が『館主になります』って、宣言したばかりで、あと『じいさん』
って、あ、あの~、屋敷の持ち主がいるばかりで・・・・・」
 睦はつい、しどろもどろになりながら、『新納流試心館』の現状を説明
してしまった。
 (しまった~!)
 と思ったが、後の祭り。
 大山、小雪、茜はもちろん、さりげなく話を耳に入れていたフロア内
の者全員の視線が、睦の方に向けられた。
                       (つづく)

2011年3月 9日 (水)

第三章「新規顧客=新弟子?」⑤

 川面にも、春の気配?

1103091s

 昨夜は、ちょっと体力温存することができました・・・。

 さてと。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」⑤
 今どき“お付き合い”で、数千円程度入金して新規口座を開設されて
も、金融機関の側としては経費がかさむばかりで、正直歓迎しない。し
かし、ただ今現在来店している大山は「警察官」=「公務員」。やはり
鹿児島県のような地方においては、なにをおいても“上客”だ。おまけ
に、警察組織は“鉄の規律”に覆われている組織だ。主な利用金融機関
は、県内トップを誇る桜島銀行が圧倒的だ。そんな警察官である大山の
来店は、睦の“手柄”だろうか。
 睦が必死になって口座開設の手続きをする間、先輩の茜がせっせと大
山に話しかける。
 「大山さん、ご出身は?・・・・・まあ、鹿屋!、遠いのね~。じゃあ、
今のお住まいは、あのオンボロ・・!・・、あらあらごめんなさい、あの
単身者用アパートに?・・・そう、おかわいそうに。不規則な勤務で、食事
も大変じゃないかしら・・・・・。」
 話し続けながらも、茜はついと睦の方に一枚のチラシを滑らす。
 『いざ!というときに、便利
     クレジット・カード機能がついた、新型キャッシュ・カード
                          つるかめカード』
 (大山さんに、ご案内しなさい!)という意味だ。

 睦は、なんとかキャッシュ・カード作成申込の手続きまで完了させた。
 大山には、粗品のボックス・ティッシュとボールペンを差し出しながら、
 「ありがとうございます。今後も、鶴亀信用金庫をよろしくお願いします。」
と、頭を下げた。ところが、だ。相手の目的は、もちろん単に口座開設だけで
はない。
 「あの・・・・・、御仮屋さんは、なにか武道をやっていますよね?」
 大山は、本題を切り出してきた。
                       (つづく)
  金融機関だと、支店長なり、次長なり、もっと登場人物がいないと
おかしいのでしょうが、う~~~ん、人物設定がムズカシイ・・・・。

2011年3月 8日 (火)

第三章「新規顧客=新弟子?」④

 西の空に見つけた、三日月。

1103081s
 ふ~~。休みの日は、せめて、近所のスーパー「だいわ」へ買物
ぐらいは行くようにしよう・・・と思っております。
 久しぶりにツタヤ出水本町店のCD・DVD売場をのぞいたので
すが、売場スカスカ・・・・。
 う~~~ん、DVDはともかく、音楽CDも、そんなに売れなくな
ったんでしょうか・・・?

 さ、世間様は、3/12九州新幹線全線開通に向けて、
            盛り上がって参りました!

   なのかもしれませんが、自分は淡々と・・・・。

 いえ、これくらいは、ちょっと気合を入れて。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」④

 休憩室のドアが控えめにノックされて、ドアが開いた。
「楽しそうなところ、失礼いたします。預金係の御仮屋睦(おかりや・
むつみ)さん、ご指名のお客さまがいらっしゃっております。ご休憩中
恐れ入りますが、よろしくお願いします。」
 先輩預金係の田所茜(たどころ・あかね)が、ちょっとふざけた口調
で言った。
 (誰だろう?)
 紫尾支店に勤め始めてまだ一カ月も経っていない睦に、そんな顔見知り
の客なぞ、まだいない。怪訝な気持で窓口に出てみると、ロビーの椅子か
ら、一人の男性が立ち上がった。
 「あっ、強盗・・・・」
 ついつい、睦は口ばしってしまった。いやいや、本物の“強盗”ではな
い。昨日の防犯訓練の際“強盗”役を演じた、警察官だ。訓練終了後に、
変装を外しての“顔見せ”があったので、顔を覚えていた。
 「昨日は訓練とはいえ、大変失礼なことをしました。」
 深々と頭をさげてきた。睦は、あわててロビーに出る。
 「いえいえ、そんな~~。どうぞ、頭を上げてください。」
 頭を上げかけた相手の視界に、睦の身体が入った途端、どうも相手の
顔の赤みが増したようだ。
 「あっ、いえいえ・・・・。自分、こういう者です。」
 差し出された名刺を受け取り、目を通す。
 『紫尾警察署 地域課
     巡査 大山 隆志』
 「おおやま・たかしさん、ですか・・・」
 「はい、おおやまです。・・・・、昨日は、かわいい新人職員さんが
いるから、ちょっと驚かしてやろうってことになって・・・・。ほんと、
失礼なことをしましたッ!」
 相手は、また深く頭を下げた。
 テレビのニュース番組では、強盗役の大山に羽交い絞めされた睦の
姿が映され、「迫力満点の強盗役を前に、緊迫した雰囲気の中で訓練
が行われた・・・」という内容が流された。ひらりと大山をかわす睦
の動きは、当然カットだ。
(おかげで今じゃ、『新納試心館(にいろししんかん)』の新米館主
なんだけれど・・・)

 大山は頭を上げると、照れ臭そうに言った。
 「あ、あの~~。新しく口座を作りたいんですけれど、大丈夫ですか?」
 いきなり、仕事だ。
 「あっ、はい、もちろん、大丈夫ですよ」
 睦は、あわててカウンタ内に戻る。
 茜が、さりげなく『預金係窓口業務マニュアル』と書かれた分厚いファイ
ルを、よこしてきた。(自分で!)という意味だ。
 とりあえず「普通預金口座開設申込書」の用紙を手に、大山を記帳台に
案内する。
 「大山さん、今日は印鑑と身分証明書となるもの、お持ちでしょうか?」
 もちろん、相手は持っている。運転免許証は、コピーをさせてもらうため
に借りる。申込書に記入してもらっている間、大慌てでマニュアルに目を通す。
                          (つづく)
   
 
 

2011年3月 6日 (日)

本日、休載させてください(笑)

1103061s  昨日は、快晴。

 ただいま現在、シトシト雨・・・・。

 ふ~~、一週間立ちづくめで店番していると、ガックリとガタがくるもので。

 申し訳ありません。本日は、休載させてください。

  そうそう・・・、“お師匠さまショック!”でお腹具合まで悪くなってしまったっけ・・・。

2011年3月 5日 (土)

第三章「新規顧客=新弟子?」③

 いかにも「寒気の吹き出しによる雲」?

1103051s
 コンビニの同僚の方々、お師匠さまを評していわく、
 「不思議ちゃん」「変わった子」・・・・・。

 う~~ん・・・・、
 そういうものなのか・・・・・・。

 急いで、つづきを。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」③
「あはは・・・。あなたの、そのムチムチナイス・ボディこそ、男心を
一発ノック・アウトする武器じゃないの~。」
 (わっ、これはイヤミだ・・・)
「でさ、その顔の傷といい、手の絆創膏といい、いきなりジョギングで、
そんな怪我するわけないわよ。・・・・あなた、なんか武道やっているの
よね?それ関係でしょ?」
 (先輩お二人って、なんでこんな頭の回転が早いんだ・・・・)
「は、は・・・い。実は、その修行を、今朝、久しぶりに再開してみた
んです。」
 (さすがに、「館主になります」と宣言しました、とは言えないよな
・・・・)
「へ~~、資格試験の勉強もしなきゃならない、新人職員なのに~?」
 (わっ、ここで「お気楽だわね~」というコメントが炸裂か~!)

「面白そうじゃん」
 (へっ?)
「ほら、私、こっちにいる平日って、ここ(職場)とアパートを往復
するだけじゃない。それだけじゃ、つまらないと思ってるの。私も、そ
の武道、御仮屋さんと一緒にやってみようかしら・・・・。」
 (ゲゲゲッ!)
「あっははははっ~~。冗談よ、ジョウダンだってば。御仮屋さんが、
私のこと煙たがっているの、解っているつもりよ。でも、興味あるな。
なに?、今朝はどんな修行したの?」
「はっ、はい、まず道場の掃除をして、犬の散歩がてら、山の中を
走ってきました。あ、あの~、最後に『堀跳び』というので、水たまり
を跳び越えるのに挑戦したんですけれど、失敗して、水たまりにドボ~
ンをしてしまいました・・・・。」
「あっははははっ~~~。それで、私の顔をしげしげと見ててくれたん
だ~~。そりゃあ、ありがとう。」
 水溜小雪(みずたまり・こゆき)が、さもおかしそうに笑う。

「うん、うん、そうだ。御仮屋さん、今度、私の部屋に遊びに来ない?
どうせ私、夜はヒマなんだし。簡単だけど、手作り料理ごちそうするから
さ。いろいろ相談にも、乗ってあげられるかもしれない。
 私だって、オッカナイだけじゃないのよ。」
(アレレレ・・・・?。好印象を持ってくれたみたい・・・・・)

                         (つづく)
 女の子同士の“会話体”というのも、実は全然知りマセン・・・・  

2011年3月 4日 (金)

第三章「新規顧客=新弟子?」②

  冬に逆戻り。

1103041s
 お師匠さまに触発されて。

 拙作の登場人物を、どいうキャラクターに設定していき
ましょうか・・・・・。さりげなく「智」を描きたいよな・・・。

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  第三章「新規顧客=新弟子?」②

 そんな“おっかない”先輩・水溜小雪(みずたまり・こゆき)に、「今
朝、水たまりにドボ~ンしちゃったんですよ。それで、ついなんとなく、先
輩に親しみを持ってしまったんですよ~。」とは、言えない。
 そしてもうひとつ、御仮屋睦(おかりや・むつみ)が、ついつい小雪を
見入ってしまったのは、小雪のその旺盛な食欲だ。ボリューム満天の手作り
弁当を毎日持参して、それを残さず食べる。“女の子らしく”が、つい念頭
にあり、今日もコンビニで買ったサンドイッチひとつで昼食を済ませてしま
った睦としては、なんともうらやましい。
 「あ、あの~、水溜先輩って、食欲旺盛なんですね~~」
 と、こちらはつい口が滑ってしまった。
 (しまった!)
 「あら、そう?。脳ミソを使うってことは、それだけエネルギーも消費し
ているっていうのが、私の持論なの。だから、ダイエットなんて言って、少
ししか食べない女の子なんて、要するに、脳ミソがおトロイ“おバカさん”
なの。・・・まあ、そんなおトロイ女の子の方が、男心をくすぐるようなん
だけどね。」
 (げっ、皮肉か・・・?)
 と、いきなり小雪が弁当箱を、睦の方に突き出してきた。
 「ほら、ひとつ、食べる?私の手作り肉巻きおむすび。そんな、いかにも
“私、食べ足りません”なんて表情されてちゃ、食べてるこっちが迷惑よ。」
 (えっ?)
 見るからに、おいしそうな肉巻きおむすびだ。
 「いいんですか~。・・・・・いただきます。」
 睦は、つい手が出てしまった。口に入れると、たしかに絶品だ。
 「あっ、おいしいです。」
 お世辞ではなく、口に出た。
 「そう?・・・・それで、そのおにぎり代。さ、私に話しなさいよ。顔の
その傷といい、今朝の御仮屋さんは、ちょっといつもと雰囲気が違うわよ。
うん、私はいい意味で言ってるのよ。今朝は、なにしてきたの?」
 (げっ、そういう観察をするのかい・・・)
 「あっ、あの~、ダイエットのために、早起きして、ちょっとジョギング
を・・・・。」
 この先輩に根掘り葉掘り訊かれては、たまらない。ここは自分自身が
“おトロイ女の子”を演じて、追求を逃れよう。
                          (つづく)
 でも、本当のところ、女の子のお昼ご飯の標準分量って、
                      知りマセン・・・・

2011年3月 3日 (木)

やっぱり!お師匠さま、NO1!!

 ごめんなさい。本日は、自作小説はお休みさせてください。m(__)m

 で、昨日!!!

1103031s
 改めて、見てしまうとしみじみと
 「オレって、中年おやじだよな~。もっと爽やかな笑みを出せん
のかい・・・・」
 と思ってしまうのですが、

 ハイ、拙ブログを長らく読んでくださっている方(そんな奇特な方
いらっしゃるのやら?という疑問はさておき)は、即お解かり頂ける
と思います。

 お師匠さまに、お会いすることができましたっ!
(勤め先のコンビニに遊びに来てくださりました)

 改めて写真を拝見すると「高校生の頃から比べると、すこしふっくら
された?」。いやいや髪を伸ばされていらっしゃるから、そういう写真
写りになるのか・・・・。

    で!

 ホント、わが「店員」という職業を恨めしく思ってしまうのですが、
 お師匠さまがいらっしゃる時に限って、お客さんが多い・・・・・。
 で、一応先輩店員としては“後輩の手前”を考えてしまい・・・。

 さて、お師匠さま、
 この四月から転学されるとのこと(大学を移られるのだとか)。
 なんでも、相互提携している大学間なので、この一年で学んだ単位は、
移籍先の大学でも、すべて認定されているとのこと。
 で、何を勉強されるのかとお伺いしたところ、
 「製薬関係を学ぶコースで、水生植物の研究をします。実際に、野外へ
フィールドワークに行くのが、楽しみです。」
(スミマセン。無学な自分では、なかなか理解できません・・・・)
 とのこと。

 う~~~ん、で、その転学される大学のサイトを、さきほど調べたの
ですが、「薬学部」というのは存在しないようで。「農学部」ではない、
とおっしゃったし・・・・。

 で、行き着いたのは「〇〇〇特別コース」。なんでも学部の枠を越えて、
学科・大学院一貫教育を謳っているトコロ?

 ふ~~~ん、かつての「国立大学」も、今では「独立行政法人」でした
っけ。いろいろ目新しい名称をつけたカリキュラムを設けて、資金、そして
学生集めに奔走している現状なのかな・・・・・。

 お師匠さまが、その実験台のモルモットと化してしまわないことを、
                          切に祈願。

   な~~んて、いざお師匠さまと顔を合わせてしまうと、
     こんな話しか聞けない自分・・・・・・。

2011年3月 2日 (水)

第三章「新規顧客=新弟子?」①

 3種類・・・。ついつい揃えてしまいたくなり・・・。

1103021s
 3/12,九州新幹線全線開通。
 ふいと夜のコンビニへ、着物姿の女性客がいらっしゃって、オジサン
店員ドキドキ・・・という場面があるのですが、この日は出水市でもいろ
いろとイベントが開かれるとか。“総踊り大会”のようなものをある??

 さてさて。新章です。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」①

 都市部の金融機関店舗の場合、正午から午後1時までの「お昼休み」の
時間帯こそ、来店客で混雑すると聞くが、ここ鹿児島県北部の町・紫尾市
は、そういう意味ではやっぱり“農村部”なのだろう。「五・十日(ごと
おび)」等金融機関が忙しくなるとされる日以外は、「お昼休み」の時間
帯、ことに前半三十分はぱったりと客足が途切れる。鶴亀信用金庫紫尾支
店の窓口を担当する三人の女性も、お昼休みの間に交代で昼食時間をとる
ことになるのだが、特に前半三十分は裏の休憩室で、二人が少しはのんび
りできる。

 「なによ~。御仮屋さん、私、なにか変?」
 と、先輩預金係・水溜小雪(みずたまり・こゆき)からにらまれ、新米
預金係・御仮屋睦は、大慌てで首を振って、愛想笑いを浮かべた。
 親しみやすい、もう一人の先輩預金係・田所茜(たどころ・あかね)に
対して、こちらの先輩は、どうにもこうにもとっつきにくい。小柄な睦に
対して小雪はすらっとした長身、そして名前の通り、南国鹿児島らしから
ぬ白い肌の持ち主。そして美人ではあるが、ともすれば「気が強そう」と
いう印象を与える、きりっとした顔立ち。年齢は、怖くてまだ訊いたこと
がないのだが、二十代後半、いや三十目前?、そして独身。
 なによりも睦が苦手意識を抱かせるのは、小雪が“(鹿児島)
市内組”であることだ。
 地方金融機関の女子職員の新規採用といえば、それはよかれあしかれ
“コネ”“縁故”がものを言う。睦自身も、それを否定しない。しかし、
「市内」といえば県庁所在地「鹿児島市内」のことを指すほどに、鹿児島
県は、一極集中が激しい。いきおい新規採用者の割合も、「市内」出身者
が圧倒的に多い。そんな「市内」出身者は、市内の店舗での勤務を希望し、
紫尾市のような地方部店舗への転勤は“左遷”に等しい屈辱と受け取られ
るらしい。
 二十代後半で紫尾支店勤務を命じられた小雪は、その悔しさを日頃から
隠そうともしないように見えるし、また、睦のような「地元採用組」なぞ、
はなから相手にしない、という意思を、ついつい睦は感じてしまう。

                     (つづく)
   ふ~~。

2011年3月 1日 (火)

第二章「新館主の朝」⑨

 あっ、今日から3月ですね。
 「寒くなる」と言われておりましたが、それほどまでには・・・。
(って、ただ今遠赤外線ヒーター使用中だったりシマス・・・)

1103011s
 そろそろホワイト・デーの“お返し”を選んで、注文しなければ・・・。
 一応“義理チョコ”は頂いておりますので。
 う~~ん、〇屋の高級羊羹でも?と思ったのですが、一番小さいヤツは
トコトン小さそうだし・・・・。

 休みの一日は、あっという間に時間が経過して・・・。
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  第二章「新館主の朝」⑨

 「あらあら・・・。そりゃあ、睦ちゃんみたいなかわいい女の子が
水溜りにドボ~ンなんて、世の男どもが見たら大喜びのシーンだったん
でしょうね~。私も、見てみたかったな~~。」
 茜は、楽しそうに笑う。
 「そうそう・・・、『新納流(にいろりゅう)』だったけ?ふ~~ん、
防犯訓練で『御館町(おたてちょう)の野生児』の血が甦っちゃったん
だね?」
 茜の頭の回転は早い。
 「・・・はい、そういうことになりますか。」
 「いいなあ、わ・か・いって、いいなぁ~。うらやましいな・・・・。
  がんばって、ね。」
 茜は、一呼吸間をおいた。
 「でも、先輩のオバサンとして、ひとつ忠告させてね。
 十ン年前は、私にも今のあなたと同じように、ピカピカの新人職員だっ
た頃があったのよ。たぶん今のあなたと同じように、わからないことばっ
かで、職場じゃあ、あたふたするばかりだったのよね・・・・。」
 「そんな~、茜さんがあたふたする姿なんて、想像できません。」
 「あ~ら、私だって、こう見えても『ミス紫尾』を務めた、若くて
きれいな頃があったんですからね。オッホン」
 「いえいえ・・・・。茜さんは、今でもうらやましいくらい、おきれい
です。」
 「そう?、ありがとう。で、十ン年たって思い返してみると、それで
もまだまだ当時は、のどかだったんだな~~と思うの。こんな田舎町で
信金の女子職員といえば、それこそ『お嫁さん候補』でよかったのよ。
そりゃあ今でも、そういう雰囲気は残ってるんだけど、でも、今じゃ、
“それだけ”でもいけない時代になったと思う。睦ちゃんには、当時の
私以上のプレッシャーがかかってくるはず。」
 睦は、黙ってうなずく。
 「見ると、野生児復活も、なかなかハードそうじゃない?。仕事と
両立できるかしら~?って、おばさん、心配しちゃう。でも、私は睦
ちゃんの力になってあげたいから、悩みごとが出来たら、遠慮なく
相談して、ね。」
 「はい、茜さん、ありがとうございますっ!」
 「さ~て、睦ちゃんの今朝の遅刻の理由は、おばさんのムダ話に
付き合わされたってことで。さ、行きましょっか。睦ちゃん、一応
シートベルトしてね。」
 茜は、キーを回して、エンジンをスタートさせた。
                    (第2章は、ここまで)
  わ~~、自分も遅刻だぁ~

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