自作小説 Feed

2011年10月22日 (土)

第十一章「合コン、作戦会議」①

 雨上がる。

1110221s
 とかなんとか、まだ降ったり止んだりのお天気が続いております。
 まだそれほど寒くなっていないのが、幸い。これで、完全に雨が
上がったら、一気に冷え込むのでしょうか。

 さ~~て、今日から、自分の定位置(?)・夕方5時からの店番です。

 それに合わせて。さて!
 愛しのヒロイン・むっちゃん、長らくお待たせしてしまいました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十一章「合コン、作戦会議」①
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 鶴亀信用金庫紫尾支店、女子ロッカー室兼休憩室。午後三時過ぎ、新米預金
係・御仮屋睦(おかりや・むつみ)は休憩時間を利用して、一本私用の電話を
かけさせてもらう。相手先は、紫尾警察署。やはり少し緊張してしまう。

 警察官のお仕事、変則勤務の最たるものだろう。平日の午後を狙って電話して
みたところで、大山隆志巡査は不在かもしれない。
 「はい、こちらは紫尾警察署です」
 最初に電話をとってくれたのは、どうやら事務の女性職員のようだ。睦は、少し
安心する。 
 「あの・・、こんにちは。いつもお世話になっております、私、鶴亀信用金庫
の御仮屋と言いますが、地域課の大山さん、いらっしゃいますでしょうか・・・」
 なんとか無難に口上を述べた。
 「はい。大山ですね。少々お待ちください・・・」
 睦の携帯電話は、しばらく警察署内のざわめきを拾い続けている。

 「もしもし・・・・」
 大山の声とは違ったように思ったが、睦は
 「もしもし。大山さんでしょうか?」
 と応えた。ところが、
 「あっ、ごめんなさい。大山はですよ~、今、交番勤務なんですよ。・・・・
ところで、あなた、御仮屋さん?。おうわさは、かねがね聞いております・・・」
 「えっ、なんですか、うわさって・・・」
 警察署内で、どんなネタにされているのやら・・・。睦はまた緊張してしまった
が、大山の上司らしい電話の相手に、悪気はなさそうだ。大山の居場所、紫尾中央
交番の電話番号を親切に教えてくれた。
 改めて、交番に電話をかけ直す。

 「もしもし・・。紫尾中央交番・・・です」
 こちらは、いかにも面倒くさそうな声が、睦の耳に入ってきた。
 ところが、
 「もしもし。こんにちは。私、鶴亀信用金庫の御仮屋と言います。警察署で、
そちらに大山さんがいらっしゃるとお伺いして、お電話をしたのですが」
 と睦が言った途端、
 「お~っ、こりゃあ、失礼!。すぐ呼びます。ちょっとお待ちを」
 相手は、電話口から顔を離したのだろうが、
 「おい、大山く~~ん!!!。うわさの“お姫様”からじゃあ~」
 大きな声が、もろに伝わってきた。
(・・・・・“お姫様”って、なによ・・・・・)
 警察官というのは、ストレスが多い職業だ。そして職業柄、他の一般人と交友
を持つのも、結構難しいらしい。勢い同僚同士で飲む機会が多くなり、また酒量
も増えるようだ。どうやら格好の酒の席でのネタにされている、と睦は思う。

 「お待たせしました。大山です。わざわざお電話、ありがとうございます」
 ようやく、いかにも真面目そうな大山の声が、睦の耳に入ってきた。
 (ほっ・・・)
 睦は、大山に聞こえないよう、小さく安堵のため息をした。
                            (つづく)

  いやですから、あくまでフィクション!です。
  警察署の雰囲気は、あくまで自分の空想の産物です。

 
 

2011年10月11日 (火)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑬

 月夜の晩。

1110111s
 ・・・・・今週は、夜勤に入っています。
 したがって、今夜の店番は午前0時から。
 午後5時から始まる日よりも、7時間分だけ「休み」を有効利用
できるはずなのですが・・・・。
 なんなんだろう・・・・、この無気力っぷり。
              (って、いつも書いていますね)

 あっ、それでも『撤退の農村計画』読了。
 ひさしぶりに“硬い本”を読みました。

 ・・・・と、前向きに考えると、いいことがあるのかもしれ
ませんね・・・・(願望)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑬
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「はい。祝子さんがお礼を言いがてら、私の家に遊びに来てくれたので、二人
でちょっとおしゃべりをしました」
 (祝子ちゃん)という呼び方をしないよう注意して、睦は答えた。さすがに
(友達になろう)と言ったことは、伏せておいた方がよいだろう。
 「ふ~~~ん。抱き合ったり、してない?」
 「えっ?!」
 睦は、びっくり仰天だ。
 「ふふふ・・・、あ~ら、図星なの・・・、こりゃあ、失礼したわね。あなた
みたいなムチムチな身体に抱きしめられたら、娘の祝子だって、ドキドキしちゃ
うでしょうね・・・・・」
 祝子の母は、間を空けた。
 「御仮屋さん、信仰の邪魔をする者には、大きな『お報せ』があるって、知って
いるわよね?」
 「はい、祝子さんから聞きました。でも、それって、“脅し”ですか」
 「あらあら・・・、“脅し”なんて。『お報せ』って、私たち人間が下すも
のじゃないの。それが大きいものか、小さいものとなるのかは、誰も知ることは
できないの・・・・・。怖いと思わない?」
 「いいえ、怖くありません。私と祝子ちゃんは『お友達になろう』って、約束
しましたから」
  ここで睦は、あえて口にした。『お報せ』とやらをちらつかせれば、睦ごとき
小娘なぞすぐ怖がる・・・と思っている相手に、一矢報いてやろう。
 「ふ~~~」
 意外な睦の反応に、祝子の母がため息をつく。
 「祝子も、反抗期なのかしらね・・・・・・。今まで女手ひとつで育てて
きたけれど、手がかからない子に育った、と思っていたんだけどね・・・・・」
 いっとき、“母親の顔”が睦には見えたように思う。

 だが、祝子の母は、ふたたび表情を変えた。
 「『お教え』では、人の一生において、邪悪な『天魔』が三度現われて、
信仰が試される、って言われているの。祝子にとって最初の『天魔』は、当然
“男”だと思っていたんだけど、あなたみたいな女だとはね・・・・・・」
 「私が『天魔』ですか~」
 睦は笑っていいのか、怒ってよいのか、よくわからない。
 「そう。・・・・正直なところ、これが“男”なら、怒鳴って追っ払って
やるつもりだったんだけど、あなたみたいな外見の持ち主じゃね・・・・・」
 祝子の母は、しばし黙り込んだ。
 「・・・・・・うん、祝子が、より強く“試されている”って、ことかしら
ね・・・・・・」
 改めて、睦めがけて、宣言するように口を開いた。
 「御仮屋さん、祝子とあなたのこと、私は気づかないふりをする。好きに
してみたらいいわよ。でも、あなたにも、祝子にも、大きな『お報せ』がある
わよ。その時は、自分の娘ですもの、祝子は助けてあげるけど、あなたが泣
いて頭を下げてきても、助けないから」
 祝子の母は、立ち上がった。そして、今度は満面の笑みを浮かべながら、
 「あらあら・・・、ついしゃべりすぎてしまって、ごめんなさい。御仮屋さん、
仕事中に御邪魔して、失礼したわ」
 さっと軽く頭を下げると、さっさと支店から出ていった。

 「ふ~~」
 睦は、ため息をつく。確かに自分は、関わるべきでないことに関わってしまった
ようだ。それでも、
 (よ~~し。仕事、仕事。頭、切り換えなくちゃ)
 「ごめんなさい。御仮屋、仕事に戻ります」
 支店内の全員に聞こえるよう挨拶をして、睦は窓口に戻るため、急ぐ。
                 (第十章「新米館主、後輩を得る」、おしまい)
                          (いや、まだまだ続きます)

  ・・・・・・さあこの後の展開ドウスル・・・・・・
                    

2011年10月 9日 (日)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑫

 煙霧の夜。

1110091s
 さて、なんとか「第十章」を完成させたい一念。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑫
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「こんにちは」
 意外にも、笑顔で睦に挨拶をしてきた。一昨日はよく顔を見る機会がなかった
が、きちんとお化粧をしていて、高校生の子がいる女性には見えない。
 「こんにちは。一昨日は、余計なことをしてしまって・・・・」
 相手の真意がわからず、睦は出来るだけ無難なよう応じた。
 「あらあら・・・。本当は、私がきちんと御礼を言わなければならないところ
を、娘の祝子が代わりに言ってくれたようね。
 ううん、今日は、そのことじゃないの。
 あなた、昨日、祝子と会ったわね?」
 柔和な笑顔はそのままだが、単刀直入、訊いてきた。
 「はい。・・・娘さんが、改めて御礼を言いに来てくれたもので・・・」
 なんとか「祝子ちゃん」と親しく呼びそうになったのを抑えて、答えた。
 「あ~ら、“会った”どころではないでしょ?二人でかなりおしゃべりした
んじゃない?」
 「それは・・・・」
 睦が返答に窮したところへ、横から
 「ちょっと・・・・」
 と、声がかかった。先輩の小雪だ。茜も、こちらを心配そうに見ている。
 「御仮屋さん、お話があるようだから、遠慮なく応接コーナーを使わせて
もらいなさい」
 新人職員の睦が応接コーナーなぞ使えば、上司からどんなイヤミを言われるか
分かったものではないが、ここは、その方がよいだろう。
 「すみません、米櫃(こめびつ)さん、どうぞ、あちらに・・」
 「わかったわ。あなたも、仕事中だものね」
 ここはあっさりと、祝子の母も従ってくれる。
 睦が席を離れようとした瞬間、さっと小雪が睦の肩を押さえた。そして小声で
 「お茶は出せないけど。大丈夫?後で、話し、聞いていい?」
  と、訊いてきてくれた。
 「はい。大丈夫です」
 短く答えて、睦は席を立った。

 「私も、仕事中にちょっと寄り道したの。だから、手短に話しましょう」
 祝子の母は、さっと宣した。
 「私が、女手ひとつで育ててきた娘ですもの。娘のことなんて、すべてお見通
しなのよ。昨日家に帰ってみたら、娘の様子が変なのよ。ウキウキしているの。
そのくせ『学校から帰ったら、疲れていて、つい眠ってしまった』なんて、見え透
いたウソを言うのよ。
 ははは~~ん、内緒で誰かに会ったな・・・って」
 「それで、私ですか?」
 「そう、あなた。一昨日、あなたを見送る祝子の目って、特別だったもの。
御仮屋さん、お互い忙しいでしょ。ウソは言わないで。
 昨日、祝子に会ったでしょ?」
 睦は、畳み込まれるように攻められてしまった。
                         (つづく)

 結局、この章、まだ続きます・・・・・・ 

2011年10月 8日 (土)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑪

 ちょっと憂鬱・・・な気分の出勤途上。
 いつもいつも見上げる、太陽と雲が描く空。

1110081s_2
 ・・・・って、世間様では三連休。
 秋の行楽シーズンたけなわ!
  なのでしょうが、実感ありません・・・。

 申し訳ありません。
 他にも書きたいことは多いのですが、まず書きたいのは、
拙自作小説。
 無敵!愛しのヒロイン・むっちゃん状態、になってしまいつつ
ありますが。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑪
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 結局、祝子を家へ送りがてら、タダモトの散歩にも付き合ってもらった。睦
は、祝子の母にもし見られたら大変じゃない?と思ったのだが、祝子によれば、
 「たぶん平気です。母は、この紫尾ではかなりベテラン信者で、いつも仕事が
終われば、勧誘だ、他の信者の悩みごと相談だ、で家に帰ってくるのは、いつも
遅いんです」
 「え~。その間、祝子ちゃんは、どうしているの?」
 「はい。いつもは、私が母の代わりに家事をする日ですね。土日は土日で、
集会とかありますから、なかなかまとまって家事をする日がないんですよね」
 「わ~~、それじゃあ、お買物にも行かなきゃいけなかったとか・・?」
 「はい。実は、ちょっとピンチです。コンビニでパンと牛乳を買ったとして、
その言い訳を考えなきゃ・・・です」
 「厳しいんだ・・・。そうそう、私と祝子ちゃんの連絡方法って、どうすれば
いいのかしら?。もちろん、携帯って・・・」
 「はい、もちろん、携帯は、私持ってません。固定電話は・・・・、母がなか
なか仕事を見つけられなかった時に、解約して・・・・」
 「そうなんだ・・・。じゃあ、今日のように、祝子ちゃんが学校帰りにウチ
(御仮屋書店)によってくれるくらいしか方法がないんだね・・・・。そっか、
交換日記しよう」
 「わ~~っ、交換日記ですか~~。とっても楽しそうです」
 祝子は、大喜びをしてくれた。

 ・・・・・とはなったものの・・・・・・

 一夜明けた、睦の気分は重い。「宗教の問題」であり、なおかつ、祝子と
その母の問題だ。確かに、他人なんぞ「関わらない」のが正しい。「お友達
になろう」と言ったものの、これも私を苦しめるための“呪い”?とも、思
ってしまう。誰かに、じっくり相談に乗ってほしい、そんな気分のまま、制服
に着替えて、今日も業務に入った。
 ぼんやりしていれば、うっかりミスにつながる。仕事中は、祝子のことは考え
ないようにして、目先の業務に集中していたつもりだ。
 ところが、午前10時過ぎ。
 紫尾支店の自動ドアが開き、一人の女性が入ってきた。洋品スーパーで売られて
いるような、既製の事務服に身を包んでいる。典型的な、ここ紫尾地区の中小企業
に勤める事務員の出で立ちだ。
 「いらっしゃませ」
 と、睦は挨拶をするため、頭を上げた。
 (わっ!。祝子ちゃんの、お母さんだ・・・・)
  睦は、緊張した。
                         (つづく)

 今日で、この章を終わりにしようと思ったのですが・・・・・

2011年10月 7日 (金)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑩

 出勤途上の橋の上にて。
 ふわりと浮かぶ、雲と月。

1110071s
 同じく出勤途上、横断歩道にて、信号待ちの最中。
 軽トラから、さっと手を上げて、挨拶を送ってくれた白髪の男性。

 ・・・・・あ~、
 自分、5ヶ月しか続かなかった植木農家の若旦那ドノ。
 川端通りのスナックへ「飲みに行く」ということを、教えてくださった
方です。
 あれから、もう10年以上・・・・・。
 そりゃあ、お互い歳をとりますわな・・・。

 で、自作小説の続き。
 とある宗教の信者の人が、いきなり他の人に悩みを打ち明けられるもの
だろうか・・・。
 そして、その結末は・・・・・・。
 かなり、思案中です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑩
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 北側の部屋は、暗くなるのが早い。気がつけば、かなり暗くなっていた。
 電灯のスイッチを押して、室内はいきなり明るくなり、睦も祝子も一瞬目が
眩んだ。
 「きゃっ、まぶしいっ!」
 祝子は、少しリラックスしてくれたのだろうか、ふざけたような大げさな
動作で、大きく目を閉じた。
 (そうだ!)
 「How far that little candle throws his beams!」
 睦は、立ち上がっているのを活かして、あたかも役者のように、抑揚を込め
て言った。
 「今度は、どんな意味でしょう?」
 祝子が、興味深そうに訊いてくれた。
 「あんなかすかなろうそくの光が、こんなに遠くまで届くとは!
   ・・・・・シェイクスピア『ヴェニスの商人』の一節ね」
 「・・・・あ、それって、ろうそくの光を“ひと”に例えていませんか?」
 「さすが。祝子ちゃんって、やっぱり頭いいんだ・・・・」
 「いえ。『お教え』の中にも、似たような一節が、そうえいばあったな~
って、思ったもので」
 「そうなんだ・・・。うん、私と祝子ちゃんのろうそくの光、今日、お互い
目に見えたんだよ。暗闇の中、お互いの光に、これから近づいていこう」
 (わ~~、何、こんなこと言ってるのかしら・・・)
 またまた恥ずかしくなった睦は、今度は祝子の横に座りなおした。
 「祝子ちゃん、友達になろう!」
 ちょっと乱暴に、いきなり祝子を抱きしめた。祝子の華奢な身体が、ビクッ
と震える。
 「でも・・・、あの・・・・」
 「平気よ。私、新納流試心館の館主なの。“呪い”くらい、怖くないわ。
そうだ!、今度“合コン”するのね。ところが、どうも男性陣の方が、人数
多そうなのよ。祝子ちゃんも、ぜひ参加して。ねっ?」
 「えっ!“合コン”ですか・・・・」
 そりゃあ、祝子にすれば、“合コン”=ふしだらなこと、なのだろう。
 「あは。実は『皆さん、よろしくお願いします』ってお願いする、パーティー
みたいなもの。みんなで何をしようか、あれこれ考えているところなんだ」
 「でも・・・・。私、普通の男の人とって、あまりしゃべったことありま
せん・・・」
 「大丈夫。結構、シャイな男ばっかりなんだから」
 睦は、祝子を抱き締める力を、さらに強くしてあげた。
                          (つづく)

2011年10月 6日 (木)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑨

 米ノ津川河川改修工事。ようやく旧い堤防の取り壊しが始まった
ようです。

1110052s
 ああ・・、酒を飲む量を減らさないと・・・
                 と思ったこと。
 さきほど、交番のお巡りさんが、巡回に訪れたのですが、
 「んん・・、飲んでますか?」
 と。
 オイ!、飲んだのは、もう5時間以上前だぜ~~!!
  ・・・って、たぶん、いつも飲酒検問をしているお巡りさん
には、わかるのでしょうね・・・・・。

 さて、少しでも前進。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑨
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「祝子ちゃん、お化粧、上手じゃない?」
 祝子の顔を間近に見て思った疑問を、口にしてみた。睦としては、宗教と
お化粧は、あまりイメージが一致しない。
 「そうでしょうか・・・。同級生からは『男を誘っている』と、思われる
こともあるようですね・・・。『神に仕える身は、美しく装うべし』と、母か
ら厳しく教えられています。もちろん、『勧誘』にも役立つ、という母の考え
のようですが・・・。まだ、『お教え』に興味を持って話しかけてきた男子は
いませんよね・・・。
 でも、睦さんも、とってもおきれいですよね。昨日みたいに、男の人を押さえ
つけちゃう人には、とても思えませんよ」
 「そうか・・・、“Beauty is Force”なんだ・・・・」
 「えっ!?」
 「“Beauty is Force”。美は力なり、って意味。
 そうだ、祝子ちゃん。私ね、新納流っていう、古武道って言えばわかって
くれるかな・・・、武道をちょっとやっているの」
 「あっ、それで、強いんですね。・・・『美は力なり』というのは、その
武道の教えなんですか?」
 「ううん。・・・そう、これは、私独自の考えかな・・・。私みたいな、
チビな女が、単に“Power”、ちから、だけで男の人に勝てるわけないじゃない。
美しさって、堂々とした女の武器なんじゃないかな・・・・って」
 「わあ・・・・。睦さんって、自由なんですね~」
 祝子が、感心したように、すこし声が大きくなった。
 「自由?・・・」
 そう感心されてしまうと、睦は戸惑ってしまう。
 「あっ・・・・。私なんか、『お教え』がすべてで、日常生活のあれこれ
も、『お教え』に従った解釈が教団本部から指示されているんです・・・。
だから、自分で考える・・・って、ないんです。
 ・・・・・・そうか、美しさって、堂々とした女の武器か・・・・・・・」
  妙なところを感心されてしまい、睦は少々恥ずかしい。
 「あっ、電気を点けるね」
 睦は、祝子のそばを離れて、電灯のスイッチを押すために、立ち上がった。
                            (つづく)

2011年10月 3日 (月)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑧

 いつも、いつもの、立って食べる「夕食」。

1110023s
 いや、ですから、
 「鈴木さん、もっとゆっくり休憩していいんですよ」
 と言われながらもの、

  ああ・・・・、わが貧乏性。 と、ご理解頂きたく。m(__)m
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑧
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 それでも、睦は“普通な女の子”だ。振り返って見る、祝子のたたずまいが、
確かに怖く見える。
 (いや、いや。
  Even the hunter will refrain from killing the bird that has flown to
him for shelter・・・・)
 自分に念じて、祝子には笑顔を見せる。
 「ね!。祝子ちゃん、弟が淹れてくれた、ココア、飲もう!」
 「あっ、・・・・・睦さん・・・・、無理しなくていいんです。私のあだ名が
“呪いの美少女”、ってことも、私、知っています」
 
 「おいしい・・・・・」
 睦から手渡されたカップに、ひとくち口をつけた祝子が、感想を述べた。
 「えっ?」
 「コーヒーとか、ココアとかって、『魔性の飲み物』とされているんです。
だから、初めてかな?、母が『入信』したのは、私が3歳の時だから、本当に、
初めての“ココア体験”です」
 「えっ??!!!。私、とってもいけないこと、しちゃったの~~!!」
  つい、睦は慌ててしまったが、
 「はい。
   ・・・・・でも、
  だからこそ、睦さんに、お会いしてよかったな・・・・・・」
 祝子の言葉は途切れる。

 「私、教主様の、御目にとまったんです。東京にある神殿で、教主様に
お仕えする巫女にならないかって」
 「私には、よくわからないけど、それって“名誉”なことなんじゃない?」
 「はい、とても。私にとっても、母にとっても。そして、ここ紫尾教区の
信者の皆さんにとっても、大変名誉なことなんです。
                        ・・・・・でも・・・」
 「でも?」
 なぜ祝子が今日、睦を訪ねてきたのか、なんとなくわかった。
 「・・・でも・・・。女手ひとつで、ここまで私を育ててくれた母には、
とても感謝しています。・・・・でも、でも・・・・・」
 なかなか、その先が出てこない。
 「あっ、祝子ちゃんの悩みを聴こうとしている私って、もう呪われちゃっ
てるってこと~?」
 わざと、軽い口調で言ってみる。
 「あは。そうですね。大きな『お報せ』が、睦さんにあるはずです」
 祝子も、すこし笑ってくれた。
 「・・・・英語か・・・。勉強って、一所懸命したら、楽しいんだろう
な・・・・」
 睦の本棚に目をやりながら、つぶやくように、言う。
 「えっ?。祝子ちゃん、今、高校生でしょ・・・・」
 定期テストがある。否応なく、勉強しなければならない立場のはずだ。
 「はい。・・・でも『御教え』と、学校の授業って、一致しなくて・・・。
『御教え』を守っていると・・・、私、学校の成績、とっても悪いんです。
体育も、『女人、ふしだらな装いを、するべからず』っていうのがあって・・・」
 「ふ~~ん。大変なんだ・・・・」
 睦は、返す言葉を失くした。
 「・・・・でも・・・・」
 祝子の口から、何度目かの「でも」が、出た。
 「昨日、睦さんが男の人を倒して、抑え付けるところ、見ました。とっても
素敵だな~~って。思い切って、話をしてみたいなって。決心して、来てみま
した」
 「そう・・・・」
 すぐには返す言葉を、睦には思い浮かばない。代わりに、あらためて祝子の
細い肩に、手を置いてあげた。
                          (つづく)

    

第十章「新米館主、後輩を得る」⑦

 なんの脈絡もございませんが。
 190円ナリ!!「厚切りチャーシューまん」の、ご登場

1110022s_2
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑦
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「あ・・・・、あの。もうしばらく、この姿勢でいてくれませんか?」
 睦と祝子が、抱き合うようになった瞬間、祝子が言ってきた。
 「・・・うん?。いいよ」
 と、睦は言ったものの、
 (なに!?。これって・・・・、“禁断の関係”?????!)
 祝子が睦を抱く力が、グッと増した。

 「あの・・・・・。こんなこと・・・・・、しゃべっちゃうと嫌われると
思うのですけれど・・・・」

 そこで、ドアを「コツ、コツ」と叩く音がした。
 正直なところ、睦は「助かった!」と思う。
 「ちょっと、ごめんね」
 と、祝子の腕をほどいて、ドアを開ければ、瞬だ。

 「持ってきたよ」
 「うん。ありがとう」
 という会話の直後、弟・瞬が、姉・睦を、グイっ!とドアの外へ引きずり
出してきた。

 「な、なによ!?」
 「それは、こっちのセリフ。
  なんで!、“呪いの美少女”が、うちに、来てるんだよっ!!」
 「はぁ?その“呪いの美少女”って、なに?・・・」
 「姉ちゃん、知らないのかよ~っ・・。あの子に、ナンパ目的で話かけた
男子は、ことごとく、その後大怪我をしたんだぜ。いじめようとした女の同級
生も、その後、ことごとく、不幸に遭った、って。これは、事実だぜ」

 「 Even the hunter will refrain from killing the bird that has flown to
him for shelter・・・・」
 「えっ?」
 「『窮鳥懐に入れば、猟師もこれを殺さず』・・・ってね。私にとっては、大事
なお客さんなの。って、瞬。アンタ、一応理系でしょ。もっとマシなことに、脳ミソ
使いなさい」
 それでも瞬は、きちんとココアを淹れてきてくれた。カップが2杯と、クッキー
入り小皿が載った盆を、受け取った。
 「・・・・うん。いざ、となったら、瞬を呼ぶから。頼りにしてるよ、わが弟」
 弟・瞬にウィンクひとつして、睦は自室の方向に向きを変えた。
                             (つづく)        
  

2011年10月 1日 (土)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑥

 山上でゆらめく、鬼火!?

1110012s
 ・・・いえ、電灯のようです。
 でも、なにか徹夜での工事をしていたんでしょうか。

 さて、自作小説。
 あっ、くどくお断りさせて頂きますが、
 あくまでフィクションです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑥
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「わ~~っ、部屋に招待してもらえるんですか。嬉しいです」
 祝子が、大袈裟に喜んでくれる。
 「その前に・・。ちょっと待ってね」
 もちろん、じいさんとタダモトへ連絡だ。さりげなく、睦の「ただいま~っ」
という声を待っている時間だ。数回の呼び出し音で、すぐじいさんが出た。も
ちろん、タダモトの飼い主であるじいさんにも、昨日の件は報告していたので、
話はすぐ通じた。
 「ごめん。タダモトのご飯はちょっと遅くなるし、散歩は暗くなってからね」
 携帯を切って、祝子に振り向いた。
 「さ、どうぞ、上がってね」
 「いいんですか。・・・・睦さん、お忙しいみたい」
 「なんの。わざわざ私を訪ねてきてくれた、大事なお客さんですから。
                              さ、行こ」
 祝子を促して、店の奥の住居部分へ通じる階段を上がる。
 再び「ただいま~っ」と居間へ入ってみれば、運よく弟の瞬(しゅん)が
いた。
 「おっ、瞬。いいところにいた。私、お客さんがいるの。そうだな・・・、
ココアふたつ、持ってきて」
 「なんだよ~。いきなり・・・」
 と顔を上げた瞬は、祝子の姿を認めると、明らかに狼狽した。
 「ああ・・・。なんで・・・・・・」
 「はじめまして。お邪魔します」
 祝子の方は、きちんとお辞儀をする。
 「じゃあ、瞬。頼むね」
 瞬の狼狽ぶりを無視して、睦は自室へと祝子を案内する。

 睦の部屋は、北向き。そして、四畳半のスペースだから、けっして広くない。
ベットに、学習机、そして“女の子の部屋”には少々不釣合いの本棚まである
から、床の部分はほとんどない。
 「あっ。あのタダモトくんでしたっけ。ここにもいるんですね」
 祝子が言ったのは、ベットの上にある大きな犬のぬいぐるみのことだ。
 「あははっ。お恥ずかしいけれど、小学生の頃から、いつも一緒に寝ている
相手。祝子ちゃん、ちょっと待ってね」
 睦は、かばんを机の上に置き、通勤着の上着を脱いだ。
 「ちょっと、ごめん」
 とぬいぐるみを動かして、ベットの上に二人が座れるスペースを作った。
 「さ、どうぞ、座って」
 と祝子を促したのだが、
 「ええっ、えっ・・・・、どうやって・・・」
 と迷っている祝子は、なんとベットの上に正座した。
 「あの~。正座は、ないんじゃない。もっと楽な姿勢になろうよ」
 「ごめんなさい。私、正座以外の座る姿勢って、よくわからないんです」
 「えっ!?」
 昔の武家の娘でもなかろうに・・・・。
 「もう・・・・。それならば、と。祝子ちゃん、ちょっとごめんね」
 睦は、祝子の身体を抱えあげるようにして、膝を崩させた。祝子の身体は、
睦より身長はあるものの、軽くて、とても華奢な感じがする。
                            (つづく)

2011年9月30日 (金)

第十章「新米館主、後輩を得る」⑤

 28日付南日本新聞一面記事。
 「観光重視の総合戦略を」
 について、いずれ書いてみたいな~~。

1109301s
 で、今日はやっぱり、自作小説。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第十章「新米館主、後輩を得る」⑤
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 『ハイツM』の大家である両親には、念のため報告した。ところが、両親か
らも「あの親子には、あまり関わらないほうがいい」と言われた。築二十年が
経過して、今では比較的手軽な家賃で入居できるアパートとなっている。空室
を作りたくない大家としては、ことさらに問題のある人物以外には貸す、のが
原則だ。睦が関わった親子は、入室を拒否するほどではないにしろ、なにかし
ら“訳あり”なのだろう。
 ちょっと気にはなるものの、睦も忘れようとしていた。

 ところが、その翌日。鶴亀信用金庫紫尾支店から帰ってきて、いつものよう
に「ただいま~っ!」と大きな声で挨拶をしながら、表通りに面した御仮屋書
店から中に入った。ところが、いつもならば「あら、お帰り」と返事を返して
くれる母が、
 「睦。ちょっと・・・・」
 と、呼び止めてきた。奥の方を気にするように、睦にささやく。
 「あなたに、お客さん・・・」
 「ん。誰?」
 奥の方の応接セット代わりに置かれた食卓に目をやってみれば、あの米櫃
祝子(こめびつ・いわいこ)が、姿勢正しく立っている。そして、睦の視線
に合わせて、深くお辞儀をしてきた。
 「あっ、あの・・・・。御仮屋書店さんが、うちの大家さんだということ、
昨日はじめて知りました。・・・・ということは、うちのこともご存知だと
思います。今日は、けっして『勧誘』とかじゃなくて、昨日のお礼を改めて
言いたくて、お邪魔しました。・・・・あの、母には内緒できました」
 なかなか“今どきの女子高生”とは思えない、物言いだ。
 「母には内緒?」
 その一言が、気になる。
 「母さん、たぶん大丈夫」
 睦は、ちいさく母にささやくと、祝子の方へ歩を進めた。
 「祝子ちゃん、って、呼んでいい?昨日は、怖かったでしょ・・・」
 「はい、どうしていいか、わからなくて・・・。でも、御仮屋さん、とっても
カッコよかったです」
 「あっ、私のことは、睦さんでも、睦ちゃんでも、いいから。祝子ちゃん、
今日はこれから暇?」
 何ごとかを話したくて、祝子は睦の帰りを待っていた、と察する。
 「はい。今日は、バイトも休みなんです」
 「そう。それなら、女の子同士だね。私の部屋へ、ご招待してあげる」
                          (つづく)

プロフィール

フォトアルバム

ごろごろ

最近のトラックバック