自作小説 Feed

2011年9月29日 (木)

第十章「新米館主、後輩を得る」④

 実は!、今週は講談社におかれましては、
『桜庭ななみ、ウィーク』であるようで。
 日本で一番売れている雑誌(一応、?)「少年マガジン」にご登場。

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 「書く」には、“時の勢い”が必要なもので。
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     第十章「新米館主、後輩を得る」④
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 男は、息を整えようとしているのだろうか。しばらく、地面にうつぶせの状態
のまま、動かずにいた。だが、やがて、何物かを求めて、腕を動かし始めた。

 (・・・あっ、眼鏡を探しているんだ・・・)
 察した睦が、地面に落ちていた眼鏡を拾い上げた。恐らく、睦が男を地面に押し
倒した時に、外れて落ちたのだろう。
 「はい。・・・たぶん、壊れていない、と思う・・・」
 眼鏡を手渡す睦に、
 「あっ・・・、ありがとう・・・」
 意外なことに、御礼の言葉が返ってきた。

 男は、なおも息を整えていたのだろう、眼鏡を掛けてからも、しばらく黙って
いた。
 「・・・・・。ありがとう。アンタみたいな、若い女の子に止めてもらったこと、
やっぱり感謝しなければならないんだろうな・・・・。袋叩きにされなかっただけ、
オレは、幸運だったんだろう・・・・」
 改めて、礼を言われてしまった。

 四方八方からの「なにごと!」と様子を伺う視線が、「あ~っ、一件落着なんだ~」
とでも言うように、一斉に消えた。気がつけば、“一方の当事者”であるはずの、
母娘が住んでいる一室のドアは、閉められている。

 男は立ち上がった。
 「アンタのお尻の感触、楽しませてもらった・・。だけれども、そこの家族には、
関わらないほうがいい・・・・」
 と、負け惜しみのように言うと、ヨロヨロと歩き出した。
 植え込みの陰に隠すように置いてあった自転車を引きずり出すと、それに跨って
去って行った。

 (ストーカー?)
 たぶん、そうなのだろう。
 ところが、アパートの一室のドアは閉じられたままだ。
 (もう!、人がせっかく!!)
 と愚痴りたくなるところだが、タダモトの手前だ。
 「タダモト、ありがと。こういう“痴話ゲンカ”の仲裁って、感謝されないのが、
人間の世界なの。
 いいよ。楽しいこと、考えよ。ね、合コン実行委員長サマ」
 タダモトに話しかけながら、その場を去ることにした。

 ところが、去ろうとした時、
 「待ってください!」
 一室のドアが開いた。
 「あっ、あの~~~。ありがとうございました!」
 飛び出してきたのは、娘の方だ。
 (わっ!。美少女~っ!)
 睦が、つい思ってしまった相手は、紫尾中央高校の制服に身を包んでいる。
 「あっ、あっ・・・・、ごめんなさい!。
   私、米櫃祝子(こめびつ・いわいこ)って、いいます。
                   あなたのお名前は・・・・・」
 「・・・あっ、私、御仮屋睦。商店街の『御仮屋書店』の娘ね」
 「あ、ありがとうございますっ!」
 と、改めて頭を下げられたところで、ドアの奥の方から、
 「祝子、戻ってきなさいっ!」
 どうやら母親の方が、登場してきそうだ。

 とっさに睦は、
 「じゃあね。
   いつでも、御仮屋書店に遊びに来てね」
 さっと、タダモトとその場を去った。
                       (つづく)

2011年9月28日 (水)

第十章「新米館主、後輩を得る」③

 いつもの、ねぐらの台所の窓。
 陽射しは、まだまだきついような・・・・。

1109282s
 さて、急転直下。来月中旬に帰省することが出来そう・・・。
 で、ついつい調べてしまったこと。
 途中、愛媛の某市に立ち寄っていくこと。
(いえいえ、単にそこの空気を吸う、以上のことは致しません)
 新幹線で福岡まで行き、そこから飛行機で四国へ。

 う~~ん、出来ないことはないのだな・・・・・。
(歳をとって、年々バカなことをするエネルギーが低下する中、
久しぶりにバカなことをしてみたいな~という願望です)

 さて、パブリック・コメントとは別腹。
 改めて書きますが、この小説はフィクションであり、実在するもの一切とは、
全く関係ございません。
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     第十章「新米館主、後輩を得る」③
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 『ハイツM』。
 話は逸れるが、確かにその『M』は、実は睦のイニシャルだ。
 御仮屋家といえば「商店街の本屋さん」なのだが、同時に御館町一帯に地所
を持つ「地主さん」でもあるのだ。明治維新を迎えた当時は、御仮屋家は新納家
と同じように、武家屋敷の門を構えていた。今でも頑なに当時の敷地を維持して
いる新納家とは対照的に、御仮屋家は、御館町の「閑静な住宅街」という面に
いち早く注目した。広大な敷地を分割して、小粋な貸家を建築したのだ。それ
は、金融機関の支店長クラス等“転勤族”の需要にマッチした。今でも、鶴亀
信用金庫紫尾支店長宅は、その御仮屋家の持ち家だ。まあ、その“コネ”のお
かげで、睦は現在OLとなれたことは、さらなる蛇足。
 その『ハイツM』。睦が産まれた時、祖父母が建てた賃貸アパートなのだ。
「おまえの教育費は、あのアパートから出ているんだ」、睦は、両親から冗談
めかして、よく言われていた。

 話を元に戻そう。
 その『ハイツM』一階の部屋のドアが開け放たれ、三十代後半?とおぼしき
男女がなにやら激しく言い争っている。いや、地面に倒れこんだ女に対して、
男はどうやら足蹴さえ加えているようだ。「やめてください!」と男に向って
叫んでいるのは、女の方の娘だろうか。
 典型的な“痴話ゲンカ”の現場のようだが、女の方が暴力を受けていると
あれば、見捨ててはおけない。
 「タダモト、行こう!」
 睦は、タダモトの首輪から、引き綱を外した。一人と一匹は、走り出す。

 先に、ドスン!と男に体当たりをしたのは、もちろんタダモトだ。
 その勢いで、男がよろめいている隙を逃さず、睦が男の右手を制して、身体
を地面に押し倒す。右手を背中に押さえつけながら、睦は男に馬乗りになった。
 「なんだか知らないけど、暴力はよしなさい!」
 睦は、できるだけドスを利かせて、男に叫んだ。
 「な、な、ナンダト~~。おまえには、関係ねえ~っ!」
 こういう場合の、いつものセリフが返ってくる。睦から逃れようと、激しく
暴れ続ける。小柄な睦では、押さえ続けるのは、ちょっと苦しい。
 「タダモト、お願い。頭を抑えつけて」
 だが、タダモトと一緒というのは、なんとも心強い。タダモトが、前足で
男の頭を抑えつけてくれる。
 「ぐぐぐぐ・・・・」
 声すら満足に出せなくなった男の抵抗が、徐々に弱まっていくのを、お尻
に感じつつ、じっと睦は耐えた。

 「・・・・・わかった。・・・もう黙って帰る・・・。だから、放して
くれ・・・・・」
  やがて、男が哀願してきた。
 「・・・ほんと?」
 男を抑え続けてきた睦も、息が少々苦しい。
 「・・・・ああ・・・、ホントだ」
 「わかったわ。離れるわよ、タダモト」
 タダモトに、まず前足を外させる。そして、睦は、さっと男から離れた。
                          (つづく)
 
 
 

2011年9月27日 (火)

第十章「新米館主、後輩を得る」②

 そうそう・・・・。
 一応、きちんと「見た」と報告しなければなりません。
 柏木美里サマ出演『放送禁止』。
(「柏木美里って、誰?」という方も、実はYahoo!のサイト
を利用している方なら、最近は結構目にされているはず
                ⇒Webマガジン 月間チャージャー

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 う~~~ん、自分は男だし、そりゃあ見ている最中は下半身緊張とも
なるわけですが、観終わった後に、それほどの印象が残らず・・・・。

 女性の美しさ、に、なにを求めるのか?
  というのが、男によって価値基準さまざまって、こと??

 で、私が“口直し”に見た一本。
 『天然コケッコー』

1109263s

 主人公・右田そよちゃん、方言丸出しで「かわい~い」のですが、
けっして「幼い」わけではない。
 そんなキャラクターに、改めて魅かれ直しました。
(って、書くと「アンタ、ロリコン?」と言われそうですが)

 とかなんとか、日常からちょっと現実逃避しつつ。
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     第十章「新米館主、後輩を得る」②
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 仕事を終えたその日の夕方、合コンの件は、さっそく“じいさん”こと新納
義彰に話をした。
 「ふむ。合コンか・・・・。もちろん、わしも張り切るぞ」
 「ちがうよ~。きっと、じいさんは、対象外だよ」
 「なんの。茜さんの人妻の魅力に対抗できるのは、わしのいぶし銀の味だけ
じゃろ」
 まあ、いつもの軽口の応酬だが、じいさんはふいと真顔に戻った。
 「むっちゃん、せっかくこの試心館に協力してくれそうな人が集まりつつ
あるんじゃ。ここで皆さんに、きちんと『お願いします』をする意味をこめて、
新館主・むっちゃんのお披露目をしたらいい・・・。そう、むっちゃんの先輩
お二人は、提案してくれたんじゃな」
 「そうか。みんなに楽しんでもらうために、あれこれ考えなくちゃね」
 「そうとも。そうだ!、小雪さんにも、ぜひ弓の腕を披露してもらおう」
 「そうよね。茜さんにも、ぜひ『人妻の魅力、炸裂!』の特技を披露して
もらおうっと。二人に、お願いしておく」
 「そうじゃ、そうじゃ・・・。じゃが、殿方どのにも、ちゃんといいところ
を見せる機会を作ってあげなきゃの・・・・・」
 そこで、聞き耳を立てていたタダモトが、後ろ足で立ち上がって、アピール
をする。
 「そっか・・、心配しないで。タダモトも、ちゃんと実行委員のメンバー
として、参加してもらうわ」

 皆の都合を早く聞いて、日取りを決めてしまおう。まだ、大山のように
仕事上の名刺を交換しただけの相手もいる。GW後半に入ってしまう前に、
こちらから連絡を取ろう。ちょっと勇気がいるな~。
 みんなで、ワイワイと楽しめるゲームなんて出来たら、いいよな・・・。
 等々考えるのは楽しい。タダモトとの散歩の足取りも、つい軽くなる。

 ところが、ふいと足を停めさせられてしまう現場に遭遇してしまった。
  「あそこ、私のアパート・・・・」
 『ハイツM』と壁に描かれているアパートに、睦とタダモトは目をやった。
                           (つづく)

2011年9月26日 (月)

第十章「新米館主、後輩を得る」①

 確かに、近頃は空ばっかり、撮っております。

1109261s
 「休みの日」。ほとんど何も記憶が残らないまま、
過ぎてしまい・・・・。

 さ、また一週間がんばらねば!。

 で、こんな自作小説でも、読み続けてくださる方がいらっしゃると思うと、
張り切ることができます。感謝、m(__)m。
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     第十章「新米館主、後輩を得る」①
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 鶴亀信用金庫のような金融機関は、もちろんGWはカレンダー通りの営業だ。
土曜日の「お見合い」の結果報告を、睦の先輩茜・小雪には、月曜日にするこ
とが出来る。

 月曜日のお昼休み。お昼休みをとる組み合わせは、睦と茜だ。
 「茜さん、じっくりと睦ちゃんに聴取、よろしく」
 と、窓口に残る小雪が、二人へさっと手を挙げてくれた。

 お茶を用意して、二人向かい合って「いただきます」をする。
 「さて。それでは睦ちゃん、聴取参りますからね~。で、どうだった?
御仮屋睦の“ボーイフレンド・ハンティング(狩り)”は・・・」
 単刀直入、茜が訊いてきた。のんびりと昼食を取れないのが、テラー(窓口
係)の宿命だ。急いで食べ、かつおしゃべりも楽しめれば、一人前のテラー
と、茜が以前冗談めかして教えてくれた。
 睦も、必死に食べ、かつきちんと報告するべき努力する。
 「もう・・・・。その“ハンティング”って、なんなんですか~。それじゃ
あ、いかにも、私、男漁りをしてるみたいじゃないですか~~」
 それでも、睦は茜に抗議した。
 「あははは・・。ごめん、ごめん。前に、小雪さんと話したの。『睦ちゃん
は、たくさんのボーイフレンドと、楽しくお付き合いしてもらいたいね』って。
 で。
 その“引きこもり青年”は、睦ちゃんの“ボーイフレンド・コレクション”
に加われそう?」
 「もう、今度は“コレクション”ですか・・・」
  睦は抗議を諦めて、話を進める。
 「“引きこもり”って聞くと、青白くて、ブクブクに肥満した人をイメージ
するじゃないですか。ところが、慎三郎さんは、確かに青白いんですが、肥満
なんぞしていなかったんです」
 「おおっ。それは、意外な“掘り出しもの”ってこと!?」
 「夜中に、一人木刀で巻き藁を叩いて、剣術の修行をしているらしいんで
す・・・・・・」
 睦は、出来るだけ手短に「お見合い」の出来事を、茜に報告した。“パンチ
ラ”のハプニングも、仕方がない、きちんと話した。茜も「そう」「それから?」
と合いの手を入れながら、聞いてくれる。そして、慎三郎が、新納流試心館への
入門を希望したところまで、弁当を食べつつ、なんとか話し終えた。

 「ふ~~む」
 聞き終えた茜は、しばらく考えこんでいる様子だったが、ふと
 「To be, or not to be,that is the question.
       ・・・・・・・
   生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。
 私が知っている、シェイクスピアなんて、これぐらいなんだけどね。
 その剣士ドノと睦ちゃんって、彼が『現在無職』ってこと以外、かなりばっち
りマッチングしているって、ことじゃない?。ううん、『現在無職』って、ことも
睦ちゃんは、まだまだ十分若いんだから、それほど失点じゃないわよね・・・・。
 そっか・・・、他のボーイフレンド諸君、心中穏やかではないわよね~、きっと」
  睦は、大山・桐嶋・坂道といった“ボーイフレンド”の顔を思い浮かべた。
 「あ・・・、私、もっと他の人のことも知りたいです・・・・・」
 「そうよね。睦ちゃんは、それだけきれいなんだから、遠慮なく欲張っていいのよ。
ボーイフレンド全員と、上手くお付き合いして欲しいな・・・・」
  再び、茜は何ごとか考えこんでいる。

 「そうだ。ここはいっそのこと、ボーイフレンド同士みんな、友達になってもら
いましょう!。・・・・そうそう・・・、ここは睦ちゃんの先輩、私と小雪さんの
出番よね。私たち三人で、その睦ちゃんのボーイフレンド達に合コンを申込ましょう」
 「合コン、ですか~~」
 「そう。・・・な~んて、合コン名目の、親睦会よ。ワイワイガヤガヤ、楽しく騒
いで、みんな、友達になっちゃうのよ。睦ちゃん一人だと大変だろうけど、先輩二人
が、ちゃ~~んとアシストしてあげる。さっそく、小雪さんとも相談してみる」
 「あっ、それ、いいですね」
 「でしょ」

 (フフフフ・・)と、茜が意味深な笑みをこぼす。
 「あっ、茜さん、どうしたんですか?」
 「でもね。私だって、合コン、張り切るわよ。人妻の魅力、炸裂~~っ!、てね」
  上目遣いの妖艶な表情を、睦に見せてくれる。
                            (つづく) 

2011年9月23日 (金)

第九章「ひきこもり剣士」⑨

 ぐっと秋へと・・・・。

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 夜の帰り道は、「寒い!」の一言。
 長袖Tシャツを着込んで、晩酌に。

 さて、そんな季節の変わり目を利用しての、
 心機一転したこと。
 ネットゲーム「戦国IXA」から、引退させて頂きました。

 ゲームなんぞに関心の無い方から見れば、
 「なんで、そんなに熱中できるの?」
 なのでしょうが、店員稼業が嵩じて“人嫌い”となった身としては、
ボ~~ッと時間を過ごせる便利なものでした。

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 お気に入り姫武将カードとも、サヨウナラ。
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     第九章「ひきこもり剣士」⑨
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m
 「それって、どういうこと?
 う~~ん、私、哲学なんて、完全にチンプンカンプンな小娘なんだけれど、
すこしはお役に立てれたって、自惚れていいの・・?」
 「お姫様」なんて呼んではくれるものの、自分よりはるかに年下の睦に、
ペラペラとわが身のことをしゃべるのは、慎三郎のプライドが許さないのだろ
う。久しぶりに英語を使うことが出来る相手が見つかって、慎三郎は単純に
嬉しいのだ、と睦は解釈させてもらうことにした。

 「もちろん!!
  お姫様。今日は、大いに上機嫌になられて結構でございます」
 慎三郎は、ここで睦に向って、深々と頭を下げてきた。タダモトが「なにご
と?」とばかりに、頭を上げた。
 「そして、ひきこもり剣士・平手慎三郎より、
   お姫様に、ひとつお願いの儀がありまする」
 なにを思ったのか、今度は石畳の上で、居ずまいを正して正座だ。
 「ちょっと困ります」
 仕方がない、睦も石畳の上に正座しようとしたが、
 「あいや。お姫様は、どうぞ、そのままに」
 と、とめられた。それなら、と睦はベンチに、きちんと座り直した。

 慎三郎が、手をついた。
 「この私めを、なにとぞ新納流試心館に入門すること、お許し願いたく候」
 「えええっ!。入門・・・・・」
 睦は、つい声に詰まってしまう。確かに、試心館は道場だ。だから、“入門
希望者”は歓迎しなければならないのだ。

 「あっ、・・・ごめんなさい。私、平日は・・・、仕事があるし・・・、それ
は、じいさんに・・・・相談させてください・・・・、ハイ」
 睦は、しどろもどろになりながら、答えた。
                     (第九章「ひきこもり剣士」おわり)
                     (まだまだまだ、続きます)

2011年9月21日 (水)

第九章「ひきこもり剣士」⑧

 休みの日の、わが定番行動パターン。
 夕方の「だいわ」への買物。
 その帰り道。
 台風の影響なのでしょうか。
 いつもとちょっと違う夕焼け。

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 うが・・・・。もっと開けた空間があるところまで、
足を運びたかった。

 で、今日はお昼から夕方まで店番。
 その後、職場の飲み会。
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     第九章「ひきこもり剣士」⑧
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

(世界は、なんと不平等であることか!
  
   お姫様は、芳香放つ花のようにセクシー、

   お姫様は、馬を駆る騎士のように華麗、)

 The princess,
    She is wisdom
     like A poet is playing with words.
(お姫様は、言葉と戯れる詩人のように聡明)

 What an unfair world!

    I am out of work,
    I am living in my room from week to week.
(世界は、なんと不平等であることか!
     オレは、無職、
      オレは、日がな部屋にひきこもる)・・・」

 「はぁ・・・・」
 睦は、ついため息を出してしまった。
 ところが、それを見た慎三郎は、ニヤリと笑う。
 「But,
     Therefore the world is interesting.
   (しかし、それゆえに世界はおもしろい)」
                      (つづく)
 

2011年9月19日 (月)

第九章「ひきこもり剣士」⑦

 これじゃあ、トヨタレンタカーのCM?

1109191s

 ふ~~~。今週は、変則。
 今日も、出勤して、ようやく明日、待望の休み!!!

 さ~~て、あんまりサボっていると、
 愛しのヒロイン・むっちゃんに、棒で殴られますので・・。
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     第九章「ひきこもり剣士」⑦
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「もう・・・・。あの~、今日のあなたは、試心館の“お客さん”なの。
だから、慎三郎さんのこと、もっと話してくれないかしら・・・・」
 「あっ、そっか。そうだよな・・・。おふくろが、無理やり『会ってくれ』
って、頼んだんだってね。そりゃあ、成果ナシじゃあ、お姫様に失礼だな。
  ・・・・・・・・・・
 ここは、ひとつ、今日、お姫様に謁見して、テンションの上がったわが心を、
詩で表現してみせよう」
 慎三郎は、裸足のまま、立ち上がった。そして、刀の代わりのつもりなのだろ
う、腰に差していた扇子を手にした。
 しばらく推敲しているのだろう、じっと眼をつぶっていたが、
 「はじめます」
 と一声を発した。
 「What an unfair world.

     The princess
        she is sexy,
          like A flower is giving a sweet smell.

    The princess
        she is splendid,
         like A knight is getting on a horse.
                                          ・・・・・・・・・・・・・
                        (つづく)
     すみません・・・・。辞書片手に悪戦苦闘していると、かくの如しペース・・・・。 

2011年9月16日 (金)

第九章「ひきこもり剣士」⑥

 考えてみると、もうすぐ秋分の日なのですよね。
 空気中を漂う、桜島の灰の影響でしょうか、
 昨日は、こんな夕焼け。

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 もっとも、今日は午後から、本格的な雨になって
おりますが。

 さて、少しでも前身。
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     第九章「ひきこもり剣士」⑥
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「Certainly,
      I am a "Happy prince".
    But,
      I am displeased,
         anyone say "you are happy".
(確かに、私は『幸福な王子』だ。
   しかし、それを他人に言われるのは、不愉快だ)
                     ・・・・・・・・・」
  睦は、慎三郎の顔から目を逸らし、さらっと言った。
 「あっ・・・。『幸福な王子』っていう、童話があったけ?」
 「そう、オスカー・ワイルドの童話」
 「う~~~~~~ん・・・・・・・・・・」
 しばし、慎三郎は考え込んでしまったようだ。

 「睦さん、いくつだっけ?。たしか、今年短大を出て、就職したってことは・・・」
 「うん。私、九月生まれだから、まだ二十」
 「ひゃあ!。わっか~~~」
  大袈裟に、驚かれてしまった。タダモトの耳が、ピクッと動いた。

 「うむ。うん、睦さんって、変わってる・・・。いや、変わってるじゃあ、失礼
か・・・・、うん、独特すぎる・・・」
 「あはは。変わってる、でいいよ。中学・高校でも、部活もやらないで、家に
帰ったら、試心館に通っていたんだから、やっぱり『変わってる』って、言われて
いたもん」
 「そっか。そうだよな・・・・・」
 妙に睦自身のことに感心されるばかりで、なかなか慎三郎の方の話を引き出せない。
                             (つづく)       
  すみません。
 どうしても、英作文をすると、辞書をひきひき・・・・悪戦苦闘・・・・。

2011年9月14日 (水)

第九章「ひきこもり剣士」⑤

 う~~ん、脚に疲れが蓄積してしまって、週の始めにして、
シンドイ・・・・・・。

 で、Amazonにて、衝動買いしたDVD3枚。

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 え~~~っ、見るからに、エッチそうなヤツが一枚混じっており
ますが(一応、ジャンルは「アイドル」です。ハイ)。
 押忍。目的は、自作小説における女の子の描写を、より活き活きと
させるためです。他意は、ございません。   キッパリ(笑)

 なかなかのんびり作品鑑賞という気分になれないのですが、それでも
拝見したら、大真面目に拙ブログにも感想を書かせていただく予定。
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     第九章「ひきこもり剣士」⑤
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 幸いにして、東屋の下は都合よく日陰になっていた。睦は、地面の石畳が
冷えているのを確認して、タダモトに声をかけた。
 「さ、タダモト。ちょっと休憩しよう。お行儀悪く、寝そべっていいからね」
 そして、慎三郎にも
 「私たちも、座りましょう」
 と、誘った。
 「うん。そうだな」
 睦とは、ちょっと距離を置いて腰を落としたのは、今日が初対面の女性に
対する気遣いだろうか。そして、
 「失礼。ちょっと、オレも行儀悪くさせてもらうわ」
 と、履いていた下駄を脱いで、素足を石畳の上に投げ出した。
 「ほら、こんな格好だからさ、見栄張って、下駄履いてきたけどさ。本当の
ところは、全然慣れてないんだな~、これが」
 「あら。それなら、私も遠慮なく」
 睦も、8センチのハイヒールから足を抜いて、石畳の上に置いた。ストッキン
グは脱いできたので、こちらも素足だ。
 「私も、実はハイヒールで格好よく歩けるよう、練習中なの」
 「・・・あっ・・。女の子って、見えないところで、努力してるんだ・・・」

  二人はなぜとはなしに、お互いの足先を眺めあってしまった。
 「おおっきい足」 
 「ちいさい足」
 顔をあげた二人は、今度は微笑み合う。

 「睦さん、今、仕事楽しい?」
 慎三郎が、訊ねてきた。
 「うん、とっても。茜さん、小雪さんっていう、とってもいい先輩が二人も
いて、この間は、女の子三人・・・とタダモトもね、で歓迎会もしてくれた。
・・・・・私、たぶん、かなり恵まれている方だと思う」
 「・・・・そうか。『恵まれています』か・・・・。自分のことを、そう
素直に『恵まれている』と思えるのって、勇気がいると思うな・・・・・」
 
 すっと、この「お見合い」の核心部分に触れてきた。
 「慎三郎さんは、自分のこと、どう思っているの?」
 「うん?。そう・・・、断言しようか、恵まれている」
 『断言しよう』と言った割には、その表情はちょっと複雑・・・・・・と、
睦は見てとった。
                        (つづく)

2011年9月13日 (火)

第九章「ひきこもり剣士」④

 「休みの日」の夜は、早々と明け。

1109131s
 いえ、実のところ「あれ?まだ、空が明るくなり始めない・・・」
と、やっぱり季節の移り変わりを感じ。

 さ、今週も長い一週間が始まります。
   気合。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
     第九章「ひきこもり剣士」④
(最初から読んでみたいと思ってくださった方は、
    「新米館主・御仮屋睦」の目次ーFC2小説
                       を是非に。m(__)m

 「慎三郎さんは、大学では何を勉強したの?」
 「あっ、初めてオレに質問してくれたね。・・・・あっ、またまた、ごめん。
オレ、“アンタ”なんて呼び方してたな・・・。ホント、久しぶりに女の子と
話をしてるんで、調子狂ってる・・・・。うん、睦さん・・・・」
 「いい。全然気にしてないから」
 「ありがとう。・・・・ところで、質問の答えなんだけれど、睦さん、聞いた
ら、ゼッタイ『あっ、だから、ひきこもりなんだ~』って、笑うと思う・・・・」
 「わかった。笑わないよう、努力してみる」
 「そう?、・・・・・そうかな・・・・」
 慎三郎は、また空を見上げて、目をショボショボとさせた。
 「・・・・哲学」
 小さな声だったので、睦は聞き漏らした。
 「えっ?」
 「だから・・・・・。philosophy(哲学)さ」
 (あっ、な~るほど)
 と思ったが、ここは本当に笑わないよう努力してあげよう。
 「For there was never yet philosopher,
        That could endure the toothache patiently,
(虫歯の痛みを辛抱できる哲学者はおりませんでしたから)
  But,I can endure laughing.
(私は、笑うのは我慢してあげる)」
 「Thank you.
     ふ~~ん、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』か・・・・」
 「あ、わかるんだ?」
 「もちろん。・・・・・ふ~~ん、睦さんのような女の子が、シェイクスピア
か・・・・」
 「あっ。それって、慎三郎さんこそ、私のこと、バカだと思っているでしょ?」
 「あっ、いや・・・・、全然そうじゃなくて。英語が好きだからって、シェイク
スピアの台詞を暗記しているって、すごいな~~って、率直に思った」
 「そうかな。じいさん・・・・、って、さっき審判をしてくれたオジイサンのこと
なんだけど・・・・・。機嫌がいいときなんて、よくシェイクスピアの一人芝居を
してくれるの」
 「そうなんだ、へ~~・・・。じいさん・・・、イヤ、新納さんだっけ。話して
みたいな・・・・」
 「そうよ。話し相手になってあげて。いつもは、このタダモトが、おしゃべり相手
なんだから」
 と、睦はタダモトの頭を撫でてあげた。
 「ふ~~ん。シェイクスピアを聴く犬か・・・。そりゃあ、利巧になるよな・・・」
 感心したように、慎三郎がタダモトを見下ろしてくれる。

 二人と一匹は、武家屋敷街の散策コースのはずれに設けられた小さな公園の前にさし
かかった。観光客が休憩できるようにと、武家屋敷街をイメージしたトイレ・東屋が設
けられているが、ここまでやってくる観光客は少ない。

 「あっ、ごめんなさい。ちょっと休憩させて。ううん、私じゃなくて、タダモトね。
犬って、元来は夜行性だから。いつもは、こんな真昼間に散歩には連れ出さないのよ」
 「そうか。犬って、人間より暑がりらしいよな。タダモトくん、お姫様のボディガー
ドも、大変だよな~」
 慎三郎としては、タダモトへの親しみをこめて、そう言ったのだろうが、当のタダモト
は、フン!というように、そっぽを向いた。
                             (つづく) 

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