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2011年3月 8日 (火)

第三章「新規顧客=新弟子?」④

 西の空に見つけた、三日月。

1103081s
 ふ~~。休みの日は、せめて、近所のスーパー「だいわ」へ買物
ぐらいは行くようにしよう・・・と思っております。
 久しぶりにツタヤ出水本町店のCD・DVD売場をのぞいたので
すが、売場スカスカ・・・・。
 う~~~ん、DVDはともかく、音楽CDも、そんなに売れなくな
ったんでしょうか・・・?

 さ、世間様は、3/12九州新幹線全線開通に向けて、
            盛り上がって参りました!

   なのかもしれませんが、自分は淡々と・・・・。

 いえ、これくらいは、ちょっと気合を入れて。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」④

 休憩室のドアが控えめにノックされて、ドアが開いた。
「楽しそうなところ、失礼いたします。預金係の御仮屋睦(おかりや・
むつみ)さん、ご指名のお客さまがいらっしゃっております。ご休憩中
恐れ入りますが、よろしくお願いします。」
 先輩預金係の田所茜(たどころ・あかね)が、ちょっとふざけた口調
で言った。
 (誰だろう?)
 紫尾支店に勤め始めてまだ一カ月も経っていない睦に、そんな顔見知り
の客なぞ、まだいない。怪訝な気持で窓口に出てみると、ロビーの椅子か
ら、一人の男性が立ち上がった。
 「あっ、強盗・・・・」
 ついつい、睦は口ばしってしまった。いやいや、本物の“強盗”ではな
い。昨日の防犯訓練の際“強盗”役を演じた、警察官だ。訓練終了後に、
変装を外しての“顔見せ”があったので、顔を覚えていた。
 「昨日は訓練とはいえ、大変失礼なことをしました。」
 深々と頭をさげてきた。睦は、あわててロビーに出る。
 「いえいえ、そんな~~。どうぞ、頭を上げてください。」
 頭を上げかけた相手の視界に、睦の身体が入った途端、どうも相手の
顔の赤みが増したようだ。
 「あっ、いえいえ・・・・。自分、こういう者です。」
 差し出された名刺を受け取り、目を通す。
 『紫尾警察署 地域課
     巡査 大山 隆志』
 「おおやま・たかしさん、ですか・・・」
 「はい、おおやまです。・・・・、昨日は、かわいい新人職員さんが
いるから、ちょっと驚かしてやろうってことになって・・・・。ほんと、
失礼なことをしましたッ!」
 相手は、また深く頭を下げた。
 テレビのニュース番組では、強盗役の大山に羽交い絞めされた睦の
姿が映され、「迫力満点の強盗役を前に、緊迫した雰囲気の中で訓練
が行われた・・・」という内容が流された。ひらりと大山をかわす睦
の動きは、当然カットだ。
(おかげで今じゃ、『新納試心館(にいろししんかん)』の新米館主
なんだけれど・・・)

 大山は頭を上げると、照れ臭そうに言った。
 「あ、あの~~。新しく口座を作りたいんですけれど、大丈夫ですか?」
 いきなり、仕事だ。
 「あっ、はい、もちろん、大丈夫ですよ」
 睦は、あわててカウンタ内に戻る。
 茜が、さりげなく『預金係窓口業務マニュアル』と書かれた分厚いファイ
ルを、よこしてきた。(自分で!)という意味だ。
 とりあえず「普通預金口座開設申込書」の用紙を手に、大山を記帳台に
案内する。
 「大山さん、今日は印鑑と身分証明書となるもの、お持ちでしょうか?」
 もちろん、相手は持っている。運転免許証は、コピーをさせてもらうため
に借りる。申込書に記入してもらっている間、大慌てでマニュアルに目を通す。
                          (つづく)
   
 
 

2011年3月 5日 (土)

第三章「新規顧客=新弟子?」③

 いかにも「寒気の吹き出しによる雲」?

1103051s
 コンビニの同僚の方々、お師匠さまを評していわく、
 「不思議ちゃん」「変わった子」・・・・・。

 う~~ん・・・・、
 そういうものなのか・・・・・・。

 急いで、つづきを。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」③
「あはは・・・。あなたの、そのムチムチナイス・ボディこそ、男心を
一発ノック・アウトする武器じゃないの~。」
 (わっ、これはイヤミだ・・・)
「でさ、その顔の傷といい、手の絆創膏といい、いきなりジョギングで、
そんな怪我するわけないわよ。・・・・あなた、なんか武道やっているの
よね?それ関係でしょ?」
 (先輩お二人って、なんでこんな頭の回転が早いんだ・・・・)
「は、は・・・い。実は、その修行を、今朝、久しぶりに再開してみた
んです。」
 (さすがに、「館主になります」と宣言しました、とは言えないよな
・・・・)
「へ~~、資格試験の勉強もしなきゃならない、新人職員なのに~?」
 (わっ、ここで「お気楽だわね~」というコメントが炸裂か~!)

「面白そうじゃん」
 (へっ?)
「ほら、私、こっちにいる平日って、ここ(職場)とアパートを往復
するだけじゃない。それだけじゃ、つまらないと思ってるの。私も、そ
の武道、御仮屋さんと一緒にやってみようかしら・・・・。」
 (ゲゲゲッ!)
「あっははははっ~~。冗談よ、ジョウダンだってば。御仮屋さんが、
私のこと煙たがっているの、解っているつもりよ。でも、興味あるな。
なに?、今朝はどんな修行したの?」
「はっ、はい、まず道場の掃除をして、犬の散歩がてら、山の中を
走ってきました。あ、あの~、最後に『堀跳び』というので、水たまり
を跳び越えるのに挑戦したんですけれど、失敗して、水たまりにドボ~
ンをしてしまいました・・・・。」
「あっははははっ~~~。それで、私の顔をしげしげと見ててくれたん
だ~~。そりゃあ、ありがとう。」
 水溜小雪(みずたまり・こゆき)が、さもおかしそうに笑う。

「うん、うん、そうだ。御仮屋さん、今度、私の部屋に遊びに来ない?
どうせ私、夜はヒマなんだし。簡単だけど、手作り料理ごちそうするから
さ。いろいろ相談にも、乗ってあげられるかもしれない。
 私だって、オッカナイだけじゃないのよ。」
(アレレレ・・・・?。好印象を持ってくれたみたい・・・・・)

                         (つづく)
 女の子同士の“会話体”というのも、実は全然知りマセン・・・・  

2011年3月 4日 (金)

第三章「新規顧客=新弟子?」②

  冬に逆戻り。

1103041s
 お師匠さまに触発されて。

 拙作の登場人物を、どいうキャラクターに設定していき
ましょうか・・・・・。さりげなく「智」を描きたいよな・・・。

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  第三章「新規顧客=新弟子?」②

 そんな“おっかない”先輩・水溜小雪(みずたまり・こゆき)に、「今
朝、水たまりにドボ~ンしちゃったんですよ。それで、ついなんとなく、先
輩に親しみを持ってしまったんですよ~。」とは、言えない。
 そしてもうひとつ、御仮屋睦(おかりや・むつみ)が、ついつい小雪を
見入ってしまったのは、小雪のその旺盛な食欲だ。ボリューム満天の手作り
弁当を毎日持参して、それを残さず食べる。“女の子らしく”が、つい念頭
にあり、今日もコンビニで買ったサンドイッチひとつで昼食を済ませてしま
った睦としては、なんともうらやましい。
 「あ、あの~、水溜先輩って、食欲旺盛なんですね~~」
 と、こちらはつい口が滑ってしまった。
 (しまった!)
 「あら、そう?。脳ミソを使うってことは、それだけエネルギーも消費し
ているっていうのが、私の持論なの。だから、ダイエットなんて言って、少
ししか食べない女の子なんて、要するに、脳ミソがおトロイ“おバカさん”
なの。・・・まあ、そんなおトロイ女の子の方が、男心をくすぐるようなん
だけどね。」
 (げっ、皮肉か・・・?)
 と、いきなり小雪が弁当箱を、睦の方に突き出してきた。
 「ほら、ひとつ、食べる?私の手作り肉巻きおむすび。そんな、いかにも
“私、食べ足りません”なんて表情されてちゃ、食べてるこっちが迷惑よ。」
 (えっ?)
 見るからに、おいしそうな肉巻きおむすびだ。
 「いいんですか~。・・・・・いただきます。」
 睦は、つい手が出てしまった。口に入れると、たしかに絶品だ。
 「あっ、おいしいです。」
 お世辞ではなく、口に出た。
 「そう?・・・・それで、そのおにぎり代。さ、私に話しなさいよ。顔の
その傷といい、今朝の御仮屋さんは、ちょっといつもと雰囲気が違うわよ。
うん、私はいい意味で言ってるのよ。今朝は、なにしてきたの?」
 (げっ、そういう観察をするのかい・・・)
 「あっ、あの~、ダイエットのために、早起きして、ちょっとジョギング
を・・・・。」
 この先輩に根掘り葉掘り訊かれては、たまらない。ここは自分自身が
“おトロイ女の子”を演じて、追求を逃れよう。
                          (つづく)
 でも、本当のところ、女の子のお昼ご飯の標準分量って、
                      知りマセン・・・・

2011年3月 2日 (水)

第三章「新規顧客=新弟子?」①

 3種類・・・。ついつい揃えてしまいたくなり・・・。

1103021s
 3/12,九州新幹線全線開通。
 ふいと夜のコンビニへ、着物姿の女性客がいらっしゃって、オジサン
店員ドキドキ・・・という場面があるのですが、この日は出水市でもいろ
いろとイベントが開かれるとか。“総踊り大会”のようなものをある??

 さてさて。新章です。
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  第三章「新規顧客=新弟子?」①

 都市部の金融機関店舗の場合、正午から午後1時までの「お昼休み」の
時間帯こそ、来店客で混雑すると聞くが、ここ鹿児島県北部の町・紫尾市
は、そういう意味ではやっぱり“農村部”なのだろう。「五・十日(ごと
おび)」等金融機関が忙しくなるとされる日以外は、「お昼休み」の時間
帯、ことに前半三十分はぱったりと客足が途切れる。鶴亀信用金庫紫尾支
店の窓口を担当する三人の女性も、お昼休みの間に交代で昼食時間をとる
ことになるのだが、特に前半三十分は裏の休憩室で、二人が少しはのんび
りできる。

 「なによ~。御仮屋さん、私、なにか変?」
 と、先輩預金係・水溜小雪(みずたまり・こゆき)からにらまれ、新米
預金係・御仮屋睦は、大慌てで首を振って、愛想笑いを浮かべた。
 親しみやすい、もう一人の先輩預金係・田所茜(たどころ・あかね)に
対して、こちらの先輩は、どうにもこうにもとっつきにくい。小柄な睦に
対して小雪はすらっとした長身、そして名前の通り、南国鹿児島らしから
ぬ白い肌の持ち主。そして美人ではあるが、ともすれば「気が強そう」と
いう印象を与える、きりっとした顔立ち。年齢は、怖くてまだ訊いたこと
がないのだが、二十代後半、いや三十目前?、そして独身。
 なによりも睦が苦手意識を抱かせるのは、小雪が“(鹿児島)
市内組”であることだ。
 地方金融機関の女子職員の新規採用といえば、それはよかれあしかれ
“コネ”“縁故”がものを言う。睦自身も、それを否定しない。しかし、
「市内」といえば県庁所在地「鹿児島市内」のことを指すほどに、鹿児島
県は、一極集中が激しい。いきおい新規採用者の割合も、「市内」出身者
が圧倒的に多い。そんな「市内」出身者は、市内の店舗での勤務を希望し、
紫尾市のような地方部店舗への転勤は“左遷”に等しい屈辱と受け取られ
るらしい。
 二十代後半で紫尾支店勤務を命じられた小雪は、その悔しさを日頃から
隠そうともしないように見えるし、また、睦のような「地元採用組」なぞ、
はなから相手にしない、という意思を、ついつい睦は感じてしまう。

                     (つづく)
   ふ~~。

2011年3月 1日 (火)

第二章「新館主の朝」⑨

 あっ、今日から3月ですね。
 「寒くなる」と言われておりましたが、それほどまでには・・・。
(って、ただ今遠赤外線ヒーター使用中だったりシマス・・・)

1103011s
 そろそろホワイト・デーの“お返し”を選んで、注文しなければ・・・。
 一応“義理チョコ”は頂いておりますので。
 う~~ん、〇屋の高級羊羹でも?と思ったのですが、一番小さいヤツは
トコトン小さそうだし・・・・。

 休みの一日は、あっという間に時間が経過して・・・。
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  第二章「新館主の朝」⑨

 「あらあら・・・。そりゃあ、睦ちゃんみたいなかわいい女の子が
水溜りにドボ~ンなんて、世の男どもが見たら大喜びのシーンだったん
でしょうね~。私も、見てみたかったな~~。」
 茜は、楽しそうに笑う。
 「そうそう・・・、『新納流(にいろりゅう)』だったけ?ふ~~ん、
防犯訓練で『御館町(おたてちょう)の野生児』の血が甦っちゃったん
だね?」
 茜の頭の回転は早い。
 「・・・はい、そういうことになりますか。」
 「いいなあ、わ・か・いって、いいなぁ~。うらやましいな・・・・。
  がんばって、ね。」
 茜は、一呼吸間をおいた。
 「でも、先輩のオバサンとして、ひとつ忠告させてね。
 十ン年前は、私にも今のあなたと同じように、ピカピカの新人職員だっ
た頃があったのよ。たぶん今のあなたと同じように、わからないことばっ
かで、職場じゃあ、あたふたするばかりだったのよね・・・・。」
 「そんな~、茜さんがあたふたする姿なんて、想像できません。」
 「あ~ら、私だって、こう見えても『ミス紫尾』を務めた、若くて
きれいな頃があったんですからね。オッホン」
 「いえいえ・・・・。茜さんは、今でもうらやましいくらい、おきれい
です。」
 「そう?、ありがとう。で、十ン年たって思い返してみると、それで
もまだまだ当時は、のどかだったんだな~~と思うの。こんな田舎町で
信金の女子職員といえば、それこそ『お嫁さん候補』でよかったのよ。
そりゃあ今でも、そういう雰囲気は残ってるんだけど、でも、今じゃ、
“それだけ”でもいけない時代になったと思う。睦ちゃんには、当時の
私以上のプレッシャーがかかってくるはず。」
 睦は、黙ってうなずく。
 「見ると、野生児復活も、なかなかハードそうじゃない?。仕事と
両立できるかしら~?って、おばさん、心配しちゃう。でも、私は睦
ちゃんの力になってあげたいから、悩みごとが出来たら、遠慮なく
相談して、ね。」
 「はい、茜さん、ありがとうございますっ!」
 「さ~て、睦ちゃんの今朝の遅刻の理由は、おばさんのムダ話に
付き合わされたってことで。さ、行きましょっか。睦ちゃん、一応
シートベルトしてね。」
 茜は、キーを回して、エンジンをスタートさせた。
                    (第2章は、ここまで)
  わ~~、自分も遅刻だぁ~

2011年2月27日 (日)

第二章「新館主の朝」⑧

 とりあえず、この週末の豪ドルのポジション。
(他にも大証FXにも、ほったらかし状態で保有しておりますが)

1102271s
 で、あっ、またまた午後3時を回ってしまった~~!!!
(店番は、午後5時からなので)
 急げ!
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  第二章「新館主の朝」⑧

 実は家に帰って鏡を見てみたら、頬にひとすじひっかき傷を作ってし
まっていた。山の中で、小枝が顔に当たって出来たのだろう。ヒリヒリ
痛むのを我慢しながらファンデーションを塗って、隠したつもりだった
が、気づかれてしまった。
 「いえ、・・・・・今朝はちょっと犬の散歩を・・・・。」
 まさか「山の中を走りました」とは言えず、睦は言葉を濁した。
 茜が視線をさっと走らせ、睦の指に絆創膏が巻かれているのも、確認
したようだ。
 「ふ~~~ん、犬の散歩にしては、ちょっと過激過ぎないかしら?」
 茜は、何ごとかを思い出した様で、
 「ははぁ~~ん。・・・・・そういうことか・・・・・」
 いたずらっぽく、微笑を睦に投げかける。
 「ええっ、なんでしょう・・・?」

 「もしかして、『御館町(おたてちょう)の野生児』復活、ってやつ
でしょ?」
 御館町というのは武家屋敷街一帯の地名である。睦は自分自身、子供
の頃『御館町の野生児』というあだ名をもらっていたことを、知っている。
 「・・・・実は、そうです。」
 茜は話を続ける。
 「睦ちゃんは覚えていないだろうけど。私がまだ独身で、実家の御館町
に住んでいた頃、あなたにびっくりさせられたことがあるの。たまたま道
を歩いている時、いきなり山の中でガサガサッと大きな音がして、何?!
って、びっくりしていたら、斜面を女の子と犬が駆け下りてきて、いきな
りジャンプして、道に出てきたのよ・・・・。もう、あの時はびっくりし
たわよ~・・・・。」
 睦は、ついつい顔が赤くなってしまう。
 「・・・・はい。今朝は、その『堀跳び』に失敗して、水溜りにドボ~
ンでした・・・・。」
 小さな声で、答える。
                       (つづき)

 今日の店番を終えれば、明日は休み・・・・。

2011年2月26日 (土)

第二章「新館主の朝」⑦

 深夜の街に、ぽっかりとお月様。

1102261s
 ふ~~、久しぶりの午前3時帰りデシタ・・・・。

 さ、出勤前のあわただしさ・・・。
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  第二章「新館主の朝」⑦

 「ふふ、早い者勝ちよね。おはよう、睦ちゃん。新人さんが、もう
“遅刻”ですか~?」
 「茜さん、おはようございます。・・・いえ、ちょっと早起きして、
いろいろあったもので・・・・。」
 「あらあら、なにそれ?その“早起きしたから、遅刻しました”って。」
 「あっ、いえ・・・、ですから・・・」
 なかなか一言で説明するのは、難しそうだ。
 茜に続いて睦も肉まんを買って、二人はコンビニを出た。
 「もうあわてても仕方がないわよ。私の車の中で食べてから、行きまし
ょう。」
 二人は、運転席と助手席に座った。
 「はい。塩豚まんは、半分こしよう。」
 
 田所茜(たどころ・あかね)。小学生の娘と幼稚園児の息子の二児
のママさんだ。鶴亀信用金庫は、結婚を機に一度退職したものの、子育て
が一段落して、嘱託職員として職場復帰している。正職員である睦より、
出勤時刻は遅くてよいものの、掃除洗濯、子ども達をきちんと送り出し・
・・などとしていると、毎朝てんてこ舞いなのだそうだ。自分の朝食が
後回しになってしまい、今朝のようにコンビニで、というのも日常茶飯事
のようだ。

 「あらあら・・・。睦ちゃん、なに?その顔の生々しい傷は。」
 茜が気づいて、訊ねてきた。
                     (つづく)

     やっぱり、急げ。

2011年2月25日 (金)

第二章「新館主の朝」⑥

 暖房機器が不要な日が二日続いております。
 あっ、深夜は使っていましたっけ・・・・。

1102252s 

 久しぶりに、わがFX戦線において利益確定。

1102253s
 2月はどこまで上昇しますか~~状態でした豪ドルが、ここらで
急落。米ドルの『売り』に代わって、豪ドルを『買い』ました。

 さ、時間がなくなってしまいました・・・。
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  第二章「新館主の朝」⑥
 新納流試心館(にいろりゅうししんかん)の新館主・御仮屋睦(おか
りや・むつみ)は、鶴亀信用金庫紫尾支店の新米預金係でもある。いや
いや、実際のところそちらの方が、はるかに現状失ってはならない社会
的地位だ。
 午前8時過ぎ、睦は出勤する途中、コンビニへ立ち寄った。すでに遅刻
ペースだ。鶴亀信用金庫には、始業前に若手職員が店舗外周辺を清掃する
という“奉仕作業”がある。もはやその“奉仕作業”には間に合っていな
い。しかし、朝食抜きで家を飛び出してきたが、それでは昼休みまで我慢
できないだろう。なにかひとつでも、お腹に入れておきたい。そんな睦だ。

 (1個100円の「肉まん」にしようか・・・、ちょっと奮発して130円の
「塩豚まん」にしてみようか・・・・)
 手には、体脂肪燃焼を助けるという烏龍茶を持ちながら、レジ前で睦は
ちょっと考え込んだ。

 すると後ろから、
 「すみません~。肉まんと塩豚まん、くださいね~」
 よく通る声が響いた。
 (あっ、先を越された~ッ!)
 と思って、振り返ると、そこには先輩預金係の田所茜(たどころ・あかね)
だ。
                        (つづく)
     急げ、いそげ・・・・

2011年2月24日 (木)

第二章「新館主の朝」⑤

 仕事上がりに帰ってきた深夜は、雨。
 でも、日中は温かい快晴。
 ころころ変わるお天気が続いております。

1102241s
 で。
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  第二章「新館主の朝」⑤
 やがて一人と一匹は、急斜面の上にたどり着いて、立ち止まった。御
仮屋睦(おかりや・むつみ)は、息を整えようとする。
 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」
 タダモトは、そんな睦を下から見上げてくる。
 「おまえ、・・・・・しっかり、先代から引き継いでいるんだ・・・」

 ここにたどり着いたということは、最後の締めは『新納流(にいろりゅ
う)・堀跳び(ほりとび)』の修練だ。この急斜面は、恐らく人為的に
切り崩して、登りづらくした箇所なのだろう。そして、その下は掘り下げ
られて「空堀(からぼり)」が造られたようだ。空掘といえども、その底に
は、よどんだ泥水がいつも溜まっている。急斜面を勢いよく駆け下りて、度
胸一番、空掘を跳び越える。それが『堀跳び』だ。四つの足で駆け回る犬で
あっても、苦手な場面だ。ところが、タダモトは「挑戦しよう」と誘ってき
ている。睦自身、先代タダモトと幾度となく、この『堀跳び』に挑戦してき
た。

 「よぉ~し。おっぱいとお尻ですっかり重くなっちゃったけど、挑戦して
みる。タダモトも、覚悟はいい?」
 一人と一匹は、少し離れた位置で身構える。
 「さあ、せぇ~の、ゴーッ!」
 直滑降に駆け下ってしまうと、勢いがつきすぎて、泥水の中へそのまま一直
線となってしまう。ジクザクにある程度勢いを抑えながら下るのが、ポイント
だ。そして「踏切り(ふみきり)」の位置。当然早すぎても遅すぎても、泥水
の中へ落下する羽目となる。駆け下る中で、冷静に踏切りの位置を計らなけれ
ばならない。

 「セイッ!!」
 睦は、気合を入れて跳んだ。睦の胸も、ひときわ大きく弾んだ。

 ところが地球の重力は、睦の魅惑的な身体をしっかりと逃さなかった。
   バシャ!!!、ズボッ!・・・・・・・。

 地球の重力に捉まった睦は、無念ながら泥水の中に着地させられてしまった。
 道の上から心配そうに見下ろすタダモトに、
 「ふ~~、修行しなきゃね・・・。あっ、おたまじゃくしがいる・・・」
 と、なんとか強がりを言ってみせた。
                      (つづく)

 

2011年2月23日 (水)

第二章「新館主の朝」④

 22日は、南九州ファミリーマートによる「店長集会」なるものに
参加させていただきました。
 で、その前に川内市内の御寿司屋さんでの昼食。
               ごちそうさまでした~~。

1102231s
 いよいよ鹿児島県内にもセブンイレブンが進出してくるという
ことで、迎え撃つ側のファミリーマートは?
 地域住民には見えない裏側で、いろいろ攻防があるようで・・・。

 さて。
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   第二章「新館主の朝」④
 大型犬のタダモトは元気いっぱい、小柄な睦をぐいぐいひっぱりながら
リードしていく。
 (あれ?行き先も、もう決まってる?)
 どうやらタダモトのお目当ては、城山のようだ。
 「城山」というのは、武家屋敷街横の小山だ。戦国時代には城郭があった
といわれ、武家屋敷街が整備された後も、“最後に立て籠もる場所”とされ
たのだろう。詳しい人なら、今でも土塁、空掘の跡を見つけることができる。

 タダモトは、その城山の登り道である土の道に入ったところで、ふいと
立ち止まり、睦を見上げてきた。睦は、そのタダモトの目を見て、彼の問い
を理解した。
 「タダモト、引き綱を外せって、ことね。・・・・・・
                      やれやれ・・・。」
 『新納流(にいろりゅう)』には鍛錬法のひとつとして「走る」がある。
しかし、その「走る」は、ただ黙々と整備された道を走ることではない。道な
き野山に分け入って走るのだ。地面に足を取られないよう、あるいは前方の障
害物をはらうか、よけるか、あるいは跳び越えるか、瞬時に判断しながら走る。
それが『新納流』だ。

 「そうね。久しぶりに挑戦してみようかしら。でもね、私は一応もう大人
なの。いきなり人の家の庭に飛び出るコースはなしにしてよ。それと、ハチの
巣とハゼの木も勘弁してね。いい、約束してね。」
 タダモトに念押しして、首輪から引き綱を外す。タダモトは「委細承知」と
言わんばかりに一声吠えると、道を外れて山の中へ駆け出した。睦も負けじと、
その後を追う。
 「タダモトッ!待て~っ」
 と追いかけながら、顔の前にふさがる枝、クモの巣をとっさにはらいながら、
山の中を進んでいく。タダモトは潜り抜けた倒木を、睦はよいしょっと乗り越え
ていく。
 (う~~ん、私、やっぱり相当身体重くなったわ・・・)
 ふいと斜面で足が滑って、倒れこまされる。ガサッ、ガサッ、ズッシ~ン。
タダモトが心配そうに振り向いてきた。
 「大丈夫、大丈夫。二本足の人間は、倒れるのも当たり前なの。」
 足は大丈夫、くじいていないようだ。
 「よしっ、タダモト、行こう!」
 再び一人と一匹は、山の中を走り始める。
                      (つづく)
 
 

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